北朝鮮のグアム攻撃は中止か?

2017.8.15


 bbc.comによれば、北朝鮮の指導者、金正恩(Kim Jong-un)は米太平洋領のグアムへ向けてミサイルを撃つ計画を概説したものの、延期するだろうと同国のメディアは言いました。

 「グアムでの包囲射撃」は準備しているものの、北朝鮮は決定を下す前に「バカなヤンキー」がすることを見守ると言いました。

 先週のグアムに対する脅威は両者の間で交わされた鋭いレトリックで拡大しました。

 この最新のレポートはますます激しい言葉の戦争の中断を指します。

 韓国の文在寅大統領(President Moon Jae-in)は一方で、アメリカは韓国の同意なしに朝鮮半島への攻撃を始めないよう求め、「誰も(韓国の)同意なしに、軍事行動をとる決定をできません」と言いました。

北朝鮮の声明は本当に何を意味するのか?

 国営通信社KCNAの報道は、金正恩は「長い時間、計画を検討して」、軍高官と議論していたと言いました。

 北朝鮮の戦略軍の指揮官は現在、「グアムでの包囲射撃の準備を完了したあと」、命令を待っているだけです。

 しかし、重要なことに、金氏はいかなる決定をする前にもアメリカを見守るとも言い、挑発的なレトリックで明らかな減速を合図しました。

 通信員は、威嚇した脅威の日々の後、金正恩が最終的にポーズボタンを押す気分の中にいるかもしれないと言いますが、北朝鮮ほどの秘密主義の国で、誰にも決して分かりません。

 アナリストは、それは単に平壌がグアムへの攻撃を始める完全な準備ができていなくて、単なる時間稼ぎかもしれないと言います。

北朝鮮の隣国は何を言っているか?

 北朝鮮の最も近い同盟、韓国と中国は冷静でいることと、外交的解決のために再開された努力を呼びかけていました。

 火曜日、韓国の文在寅大統領は、アメリカは一方的に振る舞ってはならないと言いました。

 二カ国の防衛合意は、どちらでも脅かされたときは、共に協議しなければならないと明言します。

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文大統領の言葉の背後の意味
ソウル支局 ヨギタ・リメイ(Yogita Limaye)

 グアムが攻撃されたら北朝鮮に反撃するために、アメリカが韓国の承認を必要とするかどうかということについて疑問があがっています。

 国際法と韓国とアメリカの軍事合意によれば、それは行いません。

 では、なぜ文大統領はソウルの同意なしに軍事行動をとれないと言ったのでしょうか?。

 国民大学校(Kookmin University)のパク・ヒラク(Hwee Rhak Park)は、大統領の主要な支持者である韓国のリベラルに向けた、政府が状況を統率していることを示すための、ジェスチャーかもしれないと言います。

 韓国はしばしば北の隣国によって、アメリカの操り人形だと批判されていて、これはレトリックを和らげるようアメリカへの不明瞭なメッセージでもあるかもしれません。

 彼が何を意味しても、韓国の大統領のスタンスは最初からまったく明白でした。彼は外交的解決を望み、平壌との対話を受け入れると繰り返して言いました。

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 中国外交部は月曜日、北朝鮮がミサイル試験を米韓軍事演習の凍結と交換に止める「停止の提案のための停止」を繰り返して言いました。


 記事はこのあと「アメリカからの最後のコメントは何か?」に続くのですが、ここは省略します。

 記事は書いていませんが、北朝鮮の延期宣言は実質上の中止と思います。

 実際に4発のミサイルを発射するとは、最初から考えにくいと思っていました。どこを通って、どこに着弾させると、教えた上でミサイル攻撃した事例は世界のどこにもありません。これから攻撃すると、相手に教えてから攻撃するのは、軍事の常識にはありません。

 なので、これはいつもの瀬戸際外交であって、アメリカから何かの譲歩を引き出せれば、北朝鮮にとっては成功なのだと考えていました。

 マティス国防長官は、ミサイル発射をやめれば対話を、そうしなければ戦争だとメッセージを出したのは、それを理解した上で、対話をして緊張を緩和してもよいとの判断だったと考えられます。

 メッセージが出たので、北朝鮮は発射を中止し、アメリカの出方を見るために「延期」という表現を用いたのだといえます。実際に、何の行動もないのならミサイルを発射するというわけです。

 もっとも、アメリカが何のご褒美も出さないと、また北朝鮮がごね出す可能性はありますが、とりあえず、緊張は緩和されると見てよいということです。

 

 


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