アルニックMCの航跡データが不明
シンガポール沖での駆逐艦USSジョン・S・マケイン(USS John S. McCain DDG 56)と石油・化学タンカー、アルニックMC(Alnic MC)との衝突事故は、米海軍に全艦艇の活動停止命令が出るような波紋を呼んでいます。
フィッツジェラルドの事故のように、marinetraffic.comでアルニックMCの動きを確認しようとしましたが、事故の時間帯、タンカーは航行データを送信していなかったようです。アルニックMCは南シナ海を直進したようにマップでは示されますが、速度を示すデータが断続的に記録されていて、データが送信されていなかったことを示しています。アプリは航路の分かっている点を直線でつなぐだけのようです。しかし、船は214度の方向に進んでいたらしいとはいえます。(船が記録する公式な航行データは別に保管されていて、シンガポール当局に提出されているはずです)
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事故後の21日午前6時58分(20日午後22時58分UTC)には310度を向いて、速度が0.8knotに落ちているので、これは事故によって針路が変わったのだろうと思われます。
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タンカーが214度に進んでいたとして、ジョン・S・マケインは南へ向かって右舷前方から進んできたことになります。
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船が交差する場合、相手を右に見る船に回避義務があります。この事故ではアルニックMC側です。しかし、大型タンカーは相手を発見しても、動きが鈍いために回避できないでしょう。アルニックMCが危険を察知していたか。何らかの警告や回避動作を行ったかは、どの記事にも出ていません。リベリアの新聞にも記事はなく、船の所有企業、管理会社のウェブサイトにも何の情報もありません。日本みたいに報告したり、米軍相手だから捜査が難航すると騒いだりはしないようです。
ジョン・S・マケインの動きについては、いずれ情報が出るでしょうが、それまでは結論は出せません。アルニックMCの動きが分からないと、事故原因は考えようがありません。
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