イスラム国がシリア・レバノンから撤退
alarabiya.netによれば、イスラム国民兵は月曜日、そこに駐留した3年間を終わらせる前例なき取引の下、シリア・レバノン国境地域を避難し始めたと、シリア国営テレビと民兵組織のヒズボラは言いました。
この避難は、シリア領域でのシリア軍とヒズボラとの合同攻勢に連動して、国境のレバノン側でのこのグループに対するレバノン軍の作戦が1週間目に入った時に行われます。
避難合意の下、国境の両側の数百人の民兵と彼らの家族は、イスラム国がまだ国内で支配する唯一の州、シリア東部のデリゾール(Deir Ezzor)へバスで去るよう準備されます。
月曜日夜早くに、ヒズボラとシリア国営テレビは「イスラム国戦闘員を輸送するバスはカラマウン西部(Qalamun)の(シリアの)カラ(Qara)を去り、デリゾール州のアルブ・カマル(Albu Kamal)へ向かっています」と言いました。
ヒズボラは、数百人のイスラム国戦闘員がレバノン東部の国境地帯を去ったと言いましたが、これはレバノン軍によって確認されていません。
「(作戦の)目的は達せられました」とヒズボラの指揮官、ハサン・ナスララー(Hassan Nasrallah)は団体のテレビ・チャンネル「アル・マナル(Al-Manar)」で生放送された演説の中で言いました。
「イスラム国はレバノン領域から追い出され、国境は確保され、カラマウン西部は民兵から解放されました」と彼は言いました。
ナスララーは、戦いはヒズボラ戦闘員11人とシリア兵7人を犠牲にしたと言いました。
レバノン軍は兵士6人を失ったと言いました。
これより前、レバノン軍筋は、週末にこの地域で発見され、2014年にイスラム国が誘拐したレバノン兵8人と考えられる遺体のDNA検査が終わるまで、車列はこの地域を去らないと言いました。
レバノン軍は8月19日にジュルド・アーサル(Jurud Arsal)とジュルド・ラス・バールベック(Jurud Ras Baalbek)の国境地域でイスラム国に対して攻勢を始めました。
レバノン軍は火曜日、民兵がかつて占拠した領域の大半を占領したと言いました。
同時に、ヒズボラはイスラム国を国境地域のシリア側で排除するために平行した攻勢を始めました。
レバノン軍とヒズボラは、週末にわたる避難協定に達したあと、国境の両側で停戦を発表しました。
月曜日、数十人のレバノン兵がジュルド・ラス・バールベックの丘上の列に人を配置するのが見られました。
大半はリラックスしているように見え、兵員輸送車にもたれ、レバノン軍に随行するジャーナリストに手をふりました。
他の者たちは重機関銃を搭載した車両に乗り、9日間の戦闘で占領した乾燥した地域を見渡しました。
国境に沿う丘の上の背後に煙があがるのが見られました。
レバノン軍のファデイ・ダオウド大将(General Fadi Daoud)は、この地域は確保されたものの、民兵が敷設した地雷の危険がまだあると言いました。
「ダーイシュは終わりましたが、我々はまだ中に爆弾がある洞窟を見つけるかもしれません」と彼は言いました。
「地域には洞窟と狭い部屋があります。兵士が各部屋に入り、捜索して、安全だと印を付けないと、我々が行ったことをいえません」。シリアを破壊する戦争は何度もレバノンに溢れました。
alarabiya.netによれば、アメリカが主導する同盟軍は水曜日、ヒズボラが仲介した合意の下でレバノン国境を避難し、シリア東部へ向かうイスラム国民兵の車列を監視しており、それらを攻撃するかもしれないと言いました。
同盟軍の報道官、ライアン・ディロン大佐(Col. Ryan Dillon)は、彼らがイラク国境に向けて東進するのを防ぐために、同盟軍がすでに小さな橋を攻撃して、道路にクレーターを開けたと言いました。
「我々は彼らの位置をリアルタイムで監視しています」と彼は言い、同盟軍は移動するイスラム国戦闘員を攻撃することを除外しない」と付け加えました。
シリア反政府活動家は、火曜日にレバノン・シリア国境を去った車列はまだシリア東部(原文のまま。「レバノン東部」の誤りか)の政府支配地域にいると言いました。
イスラム国民兵はヒズボラが交渉した取り決めを受けて、バスでこの地域を避難することが許されました。
ディロン大佐は「我々はレバノンのヒズボラとイスラム国や(シリア)政府のいかなる合意にも参加していません」と言いました。
彼はあらゆる攻撃は、そうすることが可能で、戦闘員と民間人の区別を識別して、見分けられるならば、武力紛争の法律に従ってなされると付け加えました。
彼のコメントは別の米当局者が、過激派は戦場で死ぬべきだと言い、数百人のイスラム国戦闘員と民間人を避難させる取り決めを非難した数時間後にありました。
初めて公開された避難合意はすでに、彼らを根絶するのではなく、イラク国境へ民兵を放出するシリアとレバノンのヒズボラを非難する多くのイラク人を怒らせています。
イスラム国に対する国際同盟の米特使、ブレット・マッグーク(Brett McGurk)は水曜日、イスラム国のテロリストはイラクの同意なしにイラク国境へシリアを通ってバス輸送されるのではなく、戦場で死ぬべきだとツィートしました。マッグークは、対イスラム国同盟は、こうしたテロリストが決してイラクに入らぬことを保証するのを手助けすると付け加えました。
レバノン軍は8月18日にイスラム国に対する攻撃を開始し、シリア軍とヒズボラ戦闘員はシリア側で同時攻撃をはじめました。民兵は国境に沿った小さな地域に閉じ込められると、終末に停戦に合意しました。レバノンは合意を擁護し、その中で民兵は2014年に捕らえられたレバノン兵9人の遺体の場所を明かしたといわれます。
前半の記事は昨日紹介できなかったもので、後半の記事がその後に出てきたので、重複しないように省略しつつ訳しました。
これらの記事のポイントは次のとおりです。
- シリア・レバノン国境地帯でイスラム国は停戦に応じた
- レバノン軍は兵士の遺体の在り処を教えることを条件として、イスラム国はそれに応じた
- 同盟軍は可能なら非難する車列を攻撃する意向
幼稚な防衛政策しかできない日本政府と比べて、現実的な動きだと感心させられました。
シリア東部でイスラム国は包囲されていて、現在の主戦場であるラッカ市やデリゾール市からは隔絶されています。このままここで死ぬよりは、他の戦線へ転戦したいと彼らが考えるのは当然です。ラッカはすでに包囲されているので、行き先はまだ包囲されていないデリゾール市かありません。
シリア軍、レバノン軍、ヒズボラはイスラム国を殲滅させても構いませんでしたが、レバノン軍は行方不明になっている兵士9人の遺体を回収したいと考えており、それを条件にする方が得策だと考えました。
このように、普通、軍隊や政府は自国兵士や自国民が外国で死んだ場合、極力、その遺体を取り戻そうとするものです。あっさりとそれを諦めるのが日本政府で、シリアでイスラム国に日本人2人が殺されると、すぐに遺体の回収を求めないと発表してしまいました。自衛官が海外任務中に死亡しても、その死因をごまかすほどいい加減です。まったく情けない話です。政府が国民を愛さない以上、国民が国を愛することはないでしょう。
最初の記事を訳していて、この転戦を容認せず、彼らを殲滅する必要があると感じていましたが、やはり、同盟軍はその意向のようです。
しかし、移動するのは戦闘員だけではなく、彼らの家族も一緒ですから、単純に空爆することはできないとも思いました。彼らも攻撃は予測しているでしょう。「人間の盾」として家族を使うでしょう。そこで同盟軍はどうするのかということになります。
考えられるのは特殊部隊と武装ヘリコプターによるメンバーの拘束です。イラク軍はシリア国内に入る気はないと以前に述べているので、米軍が中心となって作戦を行う可能性があります。
適当な場所で車列を待ち受け、重機関銃によりバスのエンジンやタイヤを撃って停車させ、拡声器で投降を促します。抵抗した場合は攻撃することになりますが、この状況では多分投降するでしょう。長時間バスに揺られて、戦闘の緊張感からも解放された時に、再び闘志を奮い起こすのは容易ではありません。
こうしてシリア戦について書く時、私は本物の戦争について考えていると実感することができます。29日の北朝鮮の弾道ミサイルの話を書く時、このような「本物の戦争」を語っている気はまったくしません。
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