アフガン戦略でトランプ政権が対立

2017.8.5


 military.comによれば、伝えられるところでは、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)は、先月、ジム・マティス国防長官(Defense Secretary Jim Mattis)らが同席した国防総省での対決的な会議の間に、アフガニスタンの米司令官、ジョン・ニコルソン陸軍大将(Army Gen. John Nicholson)を解任するよう指示しました。

 マティス長官と統合参謀本部議長、ジョセフ・ダンフォード大将(Gen. Joseph Dunford)は、7月19日の会議でニコルソン大将を擁護しました。会議はアフガニスタン戦略全般について、ホワイトハウスのスティーブ・バノン(Steve Bannon)と、安全保障担当顧問、H・R・マクマスター陸軍中将(Army Lt. Gen. H.R. McMaster)との間の怒鳴りあいとなりました。

 最初にNBC Newsが報じ、後に他のメディアが補強した辛辣な会議は、終わりが見えない16年間の戦争のあと、アフガンで進展がないことに対するトランプの欲求不満の爆発に支配されました。

 NNC News によれば、トランプは「我々は勝っていない、負けている」と言いました。

 会議はマティス長官が準備し、7月中旬までに出すと暫定的に約束した、アフガンとこの地域の新しい戦略を検討するために召集されました。

 2月中旬以降、アフガン駐留米軍とNATOの「確固たる支援任務(the Resolute Support mission)」の指揮官のニコルソン大将は、すでに現場にいる8,400人の米軍兵士を訓練、顧問、作戦支援をするために追加の3,000〜5,000人の兵士を増強するよう軍に働きかけていました。

 NBCの記事に応じて、国家安全保障評議会の報道官、マイケル・アントン(Michael Anton)は以下の声明を出しました。「大統領の国家安全保障チームは、この複雑なら地域に対処するために我々の国力のすべての面を活用する南アジアのための包括的で統合された戦略をはじめとする策定中です」「その戦略は各協力機関のプロセスで慎重に取り組んできました。決定はまだですが、大統領のチームは彼のために、この重要な地域から生じるアメリカへの脅威と好機に対処するオプションを作成中です」。

 ホワイトハウスの予定によれば、トランプは木曜日の朝、ホワイトハウスで、伝えられるところでは、マティスとダンフォードがニコルソンのアフガンでの成果を擁護する時に加わったマクマスターと会いました。

 7月19日の会議で、トランプはアフガンの戦略を決めないまま出て行きました。

 「彼の顧問たちは驚きました」とNBCの記事は、政権高官を引用しました。

 「マティスに近い国防総省当局者2人は、彼はその朝、ホワイトハウスから怒った様子で帰りました。マティスは問題と取り組む時、よく散歩します。その日の午後、散歩はいくもより長くかかりました」と当局者は言いました。

 ニコルソン大将の地位に関する議論の中、大将は上院軍事委員会議長、ジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)から賞賛を受け取りました。彼はアフガンでの失敗をホワイトハウスの責任とします。

 「現場指揮官でなく、最高指揮官にこの失敗の責任があります」と、マケイン議員は脳腫瘍の治療を受けるアリゾナ州から声明で言いました。

 マケインは、「ニコルソンは35年間、名誉と卓越した能力で我が国に奉仕しました。彼は共に勤務した者たちから信頼と感嘆を得て、私の全幅の信頼を得ています」と言いました。

 「私は大統領に、できるだけ早く政権内の違いを解決して、アフガンとこの地域での我が国の安全保障の利益を成し遂げられる政策と戦略を決定するよう求めました」とマケインは言いました。


 知らぬ間に、トランプ政権内でとんでもない喧嘩が起きていたようです。

 それも、アフガン戦略という難しいテーマでです。

 オバマ政権でも、軍人と文民の間のギクシャクとした関係はいわれていますが、こんな話はありませんでした。戦略に関して、オバマは将軍たちを信頼していたようですし、マクリスタル大将の解任は大将の失言に原因がありました。

 あまりものを考えないトランプ大統領にとって、進展がないアフガン戦は理解できない問題なのでしょう。ニコルソン大将みたいに、成果が問題視されて大統領が解任しようとした人はいませんでした。

 おまけに、トランプは怒って会議を投げ出したようです。これはリーダーとして最悪の態度です。軍人出身の顧問たちには、これは許しがたい態度です。軍人はそういう行動をとらないように教育されるからです。

 いまのところ、ニコルソン大将は解任されていません。誰かが説得して、大統領の考えを変えさせたのでしょう。

 どうせこんな展開になると、最初から分かっていました。トランプは部下がうまくやっていないと思うと、首を切って解決しようとします。元軍人の顧問たちにすれば、ニコルソン大将に落ち度はなく、現場が難しいだけなのです。それを理解しないボスにいつまで仕えることができるのでしょう。

 側近たちがまとまって辞職して、トランプ政権が終わる可能性も出てきそうです。

 

 

 


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