トランスジェンダー禁止令に訴訟相次ぐ

2017.9.7


 military.comによれば、軍隊に入隊する手続きをしたトランスジェンダーのカルフォルニアの住人のカップルと4つの隊員家族のグループが火曜日、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)に対して、トランスジェンダーの人々が軍隊に入隊するのを禁止する彼の命令を阻止することを狙い、訴訟を起こしています。

 活動グループ「The Equality California」に支援された彼らの訴訟は、トランスジェンダーの人々が軍隊に入隊することを禁止し、軍隊のヘルスケア計画に性別適合手術へ資金を出すことを禁止する、8月25日のトランプの命令に対する4つ目の提訴です。

 新しい訴訟の原告には、8年生以降トランスジェンダーの男性とされるユッカ・バレー(Yucca Valley)出身の20歳のエイデン・ストックマン(Aiden Stockman)、ゲイの人々が公然と軍隊に勤務することを禁止した「Don't Ask, Don't Tell(尋ねない言わない)」政策によって阻止された時に海軍にはじめて入隊しようとした29歳のタマシン・リーヴズ(Tamasyn Reeves)を含みます。

 ストックマンは空軍に志願する準備をしており、トランプの命令が彼が軍隊に入隊することを妨げることを懸念します。

 訴状は、彼は空軍に入隊する前に乳房切除術を完了したかったので、昨年、志願を遅らせたといいます。

 「私は身体的に良好な状態です。私を一つの分野で秀でていることを止めるものはありません。それは私を落胆させます」と、6月にトランプがツィッターにトランスジェンダーの人々を軍隊で禁止すると書いたあと、テレビ局KMIRに言いました。

 トランプの命令はまだ実施されませんでした。

 「The Equality California」の訴訟はメリーランド州の「the ACLU」、ワシントン州の「Lambda Legal」、ワシントン特別区の「the National Center for Lesbian Rights」「GLBTQ Legal Advocates and Defenders」による類似した告発に加わります。

 それはトランプが「合理的な根拠」なしに政策転換を発表し、それはトランスジェンダーの人々に対する差別だと言います。

 「トランスジェンダーの個人の利益のために起こされたこの動きは、すべての資格があるアメリカ人が合衆国軍に勤務するための機会均等を持つことを確実にしようとします、と「the Equality California」の訴状はいいます。訴訟はロスアンゼルスの中央カルフォルニア地方裁判所へ提出される予定です。

 その訴訟のその他の原告は、ジャクイス・テート陸軍軍曹(Army Sgt. Jaquice Tate)、2008年以降に軍隊で勤務する憲兵将校、陸軍技術兵、海外に配置される空軍三等軍曹、2012年以降軍隊に勤務するカルフォルニア州出身の空軍兵士です。

 「私はすべての人々に、金が理由ではなく、これは単に我々の多くが軍隊の任務を達成する能力があり、長い間そうしてきたことを示すためだと知ってほしいのです」と、イラク帰還兵のテートは言いました。

 3番目の新兵も訴訟で名前を挙げられます。

 州空軍に入隊する手続きをとった23歳のニコラス・タルボット(Nicholas Talbott)は、オハイオ州のトランスジェンダーの男性です。

 テートを除いて、参加した隊員は訴訟に参加したことで職業上の報復をおそれ、訴状の中でジョン(John)またはジェーン・ドゥ(Jane Doe)として特定されます。

 原告の現役の陸軍隊員と空軍隊員は、トランプの命令が、契約が切れた時に彼らが軍に再志願するのを禁止し、潜在的に20年間軍務についた時にだけもらえる退職金を否定するのを恐れます。

 圧力団体と市民権グループは大統領がツィッターにトランスジェンダーを軍隊で近所すると書いた6月以降、トランプ政権に対して新しい政策について訴訟の準備をしています。

 トランプの命令はオバマ政権が2016年6月にトランスジェンダーの人々が公然と軍務につくことを認める政策を覆しました。

 トランプは命令の中で、彼はオバマ政権がトランスジェンダーの人々に軍隊を開放した場合の、軍の準備態勢を十分に研究したとは思わないと書きました。

 「我が軍は決定的で圧倒的な勝利に集中しなければならず、軍隊内のトランスジェンダーがもたらす、とてつもない医療費と混乱を負えません」と、彼は6月26日にツィッターに書きました。

 元海軍長官レイ・マバス(Ray Mabus)が「政策を覆し、トランスジェンダーの人々の軍務を禁じるトランプ大統領が書いた理論的根拠は意味をなしません」と書いて、オバマ政権の軍長官3人は先週、GLADの訴訟を支持する宣言を書きました。

 2016年6月、ランド社(The Rand Corp.)は、6,630人未満のトランスジェンダーの人々が軍務についていて、彼らの一部のみが性別に関連した医療を求め、性別移行の保健費用は年間840万ドル未満で、比較的小さいという研究を公表しました。

 海軍大学院を引退した教授8月のレポートは、トランスジェンダーを軍から追放する政策は、新兵と訓練教官を彼らと入れ替えるために、最大9億6,000万ドルかかると見積もりました。

 「軍隊のトランスジェンダーの隊員に必要な医療を提供するコストは大したことはなく、派遣や軍の準備態勢には明らかに影響がありません」と「The Equality California」の事務局長、リック・ズブア(Rick Zbur)は言い、トランスジェンダーが公然と軍務につくのを認めるオバマ政権の研究を要約しました。

 潜在的な外科手術は「すべての隊員が時々かかる、他すべての短期間の健康状態と少しも変わりません」。


 トランプが自らの偏見で決めた命令が、米軍内に混乱を引き起こしています。それこそ、軍の準備態勢を損ないかねない問題です。

 この問題はすでに何度も紹介していますが、実際には、今後、どんどん話は拡大していきます。

 トランスジェンダーを軍から追い出す方が金がかかるのです。トランプが言うように、莫大な医療費を国家が負担することはありません。それ以外に理由らしい理由がないのですから、この禁止令は根拠がないということになります。単に、男は男らしく、女は女らしくあるべきだという倫理観が感じ取れるだけです。

 前にも書いたように、米軍は日本人女性と隊員の結婚についても、最終的には許可しました。兵士の希望は最大限、かなえられるべきという理想を優先させてきました。この問題が大統領の趣味で決められる可能性は低いと考えます。

 

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.