トランプが軍法裁判に介入?
military.comによれば、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)がアフガン人の爆弾犯容疑者の死について殺人罪に問われた元グリーンベレーへ支援を公言したことは、大統領が結果に影響を及ぼそうとしているという理由で陸軍の裁判を危険にさらし得ます。
「トランプが裁判を壊せるか?。もちろん、彼はできるでしょう」と、エール大学教授、ユージーン・フィデル(Eugene Fidell)は月曜日に言いました。
バウ・バグダール元二等兵(Pvt. Bowe Bergdahl)の弁護団のメンバーだったフィデルはMilitary.comに、トランプの支援は軍隊の司法問題の初期段階において「非合法的な指揮影響力」を行使したとして解釈され得ると言いました。
最高指揮官のトランプは日曜日に「私は殺人罪に問われた米軍の英雄のマット・ゴルシュタイン少佐(Maj. Matt Golsteyn)の裁判を見直すでしょう。彼は海外にいる間にテロリストの爆弾犯を殺したことを認めた後、我々自身の政府から死刑に処せられるかもしれません」と述べたツィートを送りました。
ゴルシュタイン裁判における潜在的な影響力の問題は、バクダールの軍法裁判で弁護団による主張の裏返しだと、フィデルは言いました。
脱走と敵前での不正行為に問われたバクダール裁判で弁護団は、最高刑を受けるべき「クズの裏切り者」と「汚く腐った裏切り者」と呼んだ立候補者としてのトランプのビデオ映像を再生しました。
軍裁判官はトランプの声明を「不穏なもの」と呼んだものの、バクダールは結局、2017年11月に有罪となり、不名誉除隊、二等兵への降格、10カ月毎月1,000ドルを支払う判決を受けました。
判決は刑期を含みませんでした。その時、トランプは刑期がないことを「我が国と我が軍を完全にまったく侮辱するもの」と呼びました。
ゴルシュタインに対する裁判は2010年、彼がアフガニスタンで第3特殊作戦群の大尉で、南西部のヘルマンド州(Helmand)の火種の町、マルジャ(Marja)周辺でタリバンに対する作戦に参加していた2010年に遡ります。
戦闘中に、ドアに取り付けられた即製爆弾が、ゴルシュタインの部隊と共に活動していた海兵隊員2人が死亡し、他3人が負傷しました。
この任務におけるゴルシュタインの武勇は彼に銀星章を獲得させました。
しかし、2011年に中央情報局との聞き取りの間に、彼は拘束していたアフガン人の爆弾犯を殺したことを認めたようです。
陸軍の聞き取りはゴルシュタインが銀星章と特殊部隊の飾りを剥ぎ取られる結果となりました。彼は戒告状を出され、除隊を待つ間、非活動状態に置かれました。
ゴルシュタインがフォックスニュースのインタビューを受け、再び彼がアフガン人の爆弾犯容疑者を殺したと言った、2016年まで問題はありませんでした。2度目の陸軍の聞き取りが始まり、先週、殺人罪で起訴される結果となりました。
有罪になれば、ゴルシュタインは死刑になる可能性があります。
この将校の支援者はダンカン・ハンター下院議員(Rep. Duncan Hunter・カリフォルニア州選出・共和党)を含みます。彼は月曜日のツィートで「陸軍がゴルシュタイン少佐にやっていることは茶番です」と言いました。彼は「この事件の完全な事実を再評価せよとの私の要請に耳を傾けた」とトランプを称賛しました。
中間選挙で辛うじて再選を勝ち取ったハンターは、妻と共に8月に共謀、有線通信不正行為、選挙戦資金法違反で連邦裁判所に起訴されました。起訴は保留されています。
最高指揮官の過度の影響力の行使の問題は前大統領のバラク・オバマ(Barack Obama)の政権の間、2013年に起こりました。ホワイトハウスで、オバマは性的暴行に関与した隊員は「起訴され、地位を剥ぎ取られ、軍法裁判にかけられ、解雇され、不名誉除隊にされるべきだ」と言いました。
オバマの意見は後に、いくつかの軍法裁判で裁判官と被告弁護士たちから批判されました。ハワイで、オバマの意見のために、海軍の法廷判事は2人の被告人が懲罰がある除隊にはできないと判決を出しました。
オバマの介入といわれるものは、むしろ、一般的な意見を述べたものであって、何かを指示した訳ではなさそうですから、それほどの問題とは思えません。
むしろ、オバマは指揮系統を無視して、現地部隊にホワイトハウスから状況を問い合わせたりして、それが米軍を混乱させたことの方が問題でしょう。
トランプの発言はなお一層の問題を含んでいます。裁判を見直すと公言しているのですから。これは明白に軍司法への介入です。
脱走兵のバウ・バグダールについては、当サイトで繰り返し紹介してきました。彼の裁判にもトランプは再三口を挟みました。そういう不満が今回の裁判に出ているわけです。
トランプにすれば、敵を不法に殺したくらいで大したことではないのでしょう。しかし、ジュネーブ条約の遵守に関しては多大な努力を惜しまない米軍には大問題なのです。
ゴルシュタインはすでにかなりの処罰を受けています。将校が戒告状を受け取るというのはキャリアが絶たれるのと同じです。下士卒の場合は挽回のチャンスがありますが、将校は道が閉ざされたことを意味します。さらに、除隊させられた訳ですから、組織としての懲戒処分は終わっています。
しかし、マスコミの上で殺害を認めたことで、法務官たちは放置できないと考えたのでしょう。
拘束後に容疑者を殺害した点で、本件は重大犯罪です。ジュネーブ条約違反であるだけでなく、容疑者から陸軍情報部が聞き出せたかもしれない情報は得られなかったことにもなります。捕虜との信頼関係を作り、情報を聞き出すという米陸軍情報部の伝統が、一将校の判断で無になった点は厳しく裁かれそうです。
トランプが気まぐれで軍司法に介入すれば、それは悪しき前例となり、ロシアなどが最大限に利用しようとするでしょう。彼らも捕虜を殺し、アメリカもやっているではないかと主張できるからです。ジュネーブ条約を締結していない武装勢力はなおさらのことです。
側近たちはその点を指摘して、トランプを思いとどまらせようとするかもしれません。
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