若い退役軍人の自殺率が急増

2018.12.5


 military.comによれば、34歳以下の退役軍人の自殺率は過去2年間に急増し、復員軍人援護局に民間の自殺防止プログラムがするよりも多く18〜34歳のグループに焦点を置かせたと、同局のトップは火曜日に言いました。

 すべての世代の退役軍人の自殺数は一日平均22人です。しかし、「我々が退役軍人の自殺の全国的な数に失望するとき、我々は18〜34歳の自殺率の増加に配慮しているところです」と、同局の自殺防止国内責任者のケイタ・フランクリン医師(Dr. Keita Franklin)は言いました。

 「私の民間のカウンターパートは55歳を越えた男性に焦点を置くことがよくあります」とフランクリンは言いました。「でも局内の私と同僚にとっては、18〜34歳の率が過去2年間に10パーセント、過去2年間にわたり各年5パーセント増加しているのです」。

 フランクリンは9月に公表された同局の国内自殺率データ報告の2016年の統計を引用しました。この報告は2016年に若い退役軍人の自殺率は10万人あたり45人になり、2015年の40.4人、2014年の35人から増えたと述べました。

 彼女は最近の統計分析で現れたもう一つの要素が戦闘地域へ一度も派遣されなかった州軍と予備役の退役軍人の自殺率だと言いました。

 1日あたりの退役軍人の自殺の20件の4件近くが国内の災害任務でトラウマを体験した可能性があるものの戦闘地域にはいなかった州軍と予備役の隊員だと彼女は付け加えました。

 過去に国防総省の自殺予防部に勤務したフランクリンは、自殺予防における民間のカウンターパートは女性の自殺で同じ率に直面していないとも指摘しました。「女性(退役軍人)の率は退役軍人でない対照者より1.8倍高いという事実は我々が懸念するものと同じです」。

 彼女はデータは「女性のは、薬物より非致死性の方法で(自殺)しようとし、男性はより完遂することを示しています。我々は女性の退役軍人の増加した率に焦点を置いていて、それは民間のカウンターパートはあまり取り扱っていないものです」と言いました。

 臨床ソーシャルワーカーの資格をもつフランクリンは、9/11後の退役軍人問題の年次調査に関する負傷戦士プロジェクト(the Wounded Warrior Project)についてカーネギー国際平和基金(the Carnegie Endowment for International Peace)でブルッキングス研究所(the Brookings Institution)が主催したパネルディスカッションで声明を出しました。彼女はパネルの後でMilitary.comのインタビューを受けました。

 復員軍人援護局で、元長官のデビッド・シュルキン医師(Dr. David Shulkin)とロバート・ウィルキー現長官(Robert Wilkie)は自殺予防を最優先事項にしてきましたが、同局は未だに若年の退役軍人の間の自殺増加を説明するための答えを得ていないと、フランクリンは言いました。

 彼女は最初は若年の退役軍人の問題は軍隊から民間の生活への移行プロセスに起因するかもしれないと考えたと言いました。「移行はとても重要です」と彼女は言いました。「我々はそれは我々が彼らをうまく移行させることに関係があり、おそらく、我々は彼らにうまく移行するために準備をさせるため、もっと多くができると考えます」。

 負傷戦士プロジェクト(WWP)の調査に関する引き続いたパネルディスカッションで、WWPの最高責任者のマイク・リニングトン退役陸軍中将(Lt. Gen. Mike Linnington)は、彼は若年の退役軍人の間の増加した自殺率に関するフランクリンの懸念を共有すると言いました。

 彼は、過去に負傷戦士プロジェクトは大半は退役陸軍の教育と雇用に向けた資金調達の努力を向けましたが、新しいデータに基づいて「我々は金を投じる場所について内部決定をしなければなりません」と言いました。

 「それは我々がメンタルヘルスケアでより多くを行っている理由です」とリニングトン中将は言い、PTSDと外傷性脳損傷を被った退役陸軍のために集中治療の2〜3週間コースを行う4つの団体を助けるために次の5年間で1億6000万ドルを増やすという、先月発表したWWPの誓約をあげました。

 計画どおりに、WWPの戦士ケア・ネットワーク(Warrior Care Network)はボストンのマサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)でのホーム・ベース(Home Base)プログラムに6500万ドル、シカゴのラッシュ大学医療センター(Rush University Medical Center)でのロード・ホーム(Road Home)プログラムに4500万ドル、アトラスのエモリー・ヘルスケア(Emory Healthcare)の退役陸軍プログラムに2500万ドル、ロサンゼルスのUCLAヘルス(UCLA Health)でのオペレーション・メンド(Operation Mend)に2000万ドル。その他の500万ドルはその他のプロジェクトへ行くと当局者は言いました。

 6月に復員軍人援護局の退役陸軍の自殺に関する包括的報告は、退役軍人は民間人よりも自殺することが2倍多いと結論しました。退役軍人は全人口の約8パーセントでありながら、自殺の14パーセントを占めると、同局の報告は言いました。

 報告は疾病管理予防センター(the Centers for Disease Control and Prevention)の国内死亡指数から2015年のデータに基づきました。これは同局が利用可能な最後の完全な統計セットでした。

 「異なる年齢を調整した後の2015年の自殺率は退役軍人ではない成人と比べて退役軍人では2.1倍高くなりました」と報告は言いました。


 また、退役軍人の自殺について新しい傾向が確認されました。

 かつては対テロ戦争の大規模な派遣が終わってかなり経ってから退役軍人の自殺率が増えるという事態が起きたことがありました。

 これはPTSDが時間が経ってからでも発症することで説明できるのかと思っていました。

 自殺が若い軍人に多い傾向があることは、以前から指摘されていましたが、このようにまとまって増える理由は不可解です。

 可能性にあげられている国内の災害に派遣され、現場でトラウマを体験したとの理由は、なんとも判断できません。コメントを書きようがないというところです。

 ハリケーンの巨大化、山火事の多発は地球温暖化に原因があるとされます。それが退役軍人の自殺に影響しているのかもしれません。だとすると、トランプ大統領のような化石燃料支持派は軍人の敵ということになります。

 自衛隊ではこういう研究は行われていないらしくて、何も発表しません。そういう態度はいずれ問題の深刻化を生むと考えなくてはなりません。日本には防衛問題を専門にやる政治家もいないので、外部からの圧力も皆無に近い。改善の見込みは立ちそうにありません。

 


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