東ゴウタ空爆にロシアが関与か?

2018.2.22


 alarabiya.netによれば、国境なき医師団(MSF)の医師はシリアの東ゴウタ(Eastern Ghouta)で、定期的またはその場その場で組織から支援を受けている、少なくとも13カ所の病院と診療所が攻撃を受け、過去3日間に損害を受けるか破壊されたと言いました。

 アサド政権の襲撃の猛攻は、過去48時間以内に少なくとも250人の民間人を殺し、その内の57人は子供でした。

 「戦争の始まりから我々が知っていたように、東ゴウタでいま、救命措置の必要性はあがっています」と、シリアのMSFプログラマーのためのMSFオペレーション・コーディネータのロリーナ・ビルバオ(Lorena Bilbao)は言いました。

 「我々は我々が支援する施設へいくらかの基本的な医療必需品の補給線を維持でき、我々は彼らが緊急の要があるとき、我々が定期的に支援しない施設へその場その場の医療寄付もしています。しかし、現場のシリア人医療従事者の救命活動と実質的に違って、我々が利用できないいくつかの物があります。我々は医療品を持つ東ゴウタの内外の者たちへ、それらの貯蔵品をそれに依存して生きる東ゴウタの医療従事者へ緊急のアクセスを認めるよう訴えます」。

 これはロシアが東ゴウタのシリア人反政府勢力が支配する飛び地を飲み込む暴力に関して、木曜日に国連安保理を開催するように要請したときに来たとバシリー・ノベンジア大使(Ambassador Vassily Nebenzia)は言いました。

 ノベンジア大使は理事会に公開会合は、彼らの展望、状況の理解、この状況から脱する方法についての彼らの理解を示すために、すべての側に許されるようにしたいと言いました。

 military.comによれば、クレムリンは水曜日、今週はじめから少なくとも250人が殺されたというシリアの反政府勢力が支配する東ゴウタの飛び地に対する空爆への、関与を否定しました。

 「これらは根拠の無い告発です。何を根拠とするかが不明確です。特定のデータは与えられませんでした。我々は同意しません」と、大統領報道官のドミトリー・ペシュコフ(Dmitry Peskov)は、ロシアが攻撃に責任があるというアメリカのブリーフィングに応えて言いました。

 イギリスに拠点を置く監視団体「The Syrian Observatory for Human Rights」も攻撃はロシアの軍用機によるものと言いました。

 火曜日のダマスカス郊外の飛び地に対する爆撃は19人の子どもを含む民間人106人を殺しました。

 東ゴウタの4年間で最大の流血の日となった月曜日に127人が殺されたあと、民間人の死者が100人を上回り、二番目に多く血が流れた日となりました。

 攻撃は重要な病院を活動不能にして、包囲された民間人が利用できる僅かの医療品をさらに制限しました。

 反政府勢力の支配地域は名目上は暴力を抑える緊張緩和の取り決めに含まれますが、バシャル・アル・アサド大統領(President Bashar al-Assad)はそれを奪還するための地上攻撃を準備しているようです。

 ロシア軍は、2015年9月にアサド大統領を助け、複数の戦線がある戦争の方向を変えるため、2年にわたりシリアで作戦を戦っています。


 二つの記事を紹介しました。

 東ゴウタへの包囲攻撃はもう何度も紹介してきました。何年も前から、この飛び地はシリア軍による包囲を受け、住民は逃げることもできず、閉じ込められたままです。支援団体が何とか支援物資を届けているものの、状況は最悪です。

 アメリカがロシアが空爆を行ったというのは、レーダーによる確認が取れていることを意味します。ロシアが使う航空基地から飛び立った航空機が東ゴウタ上空を飛び、爆撃を行う場合の飛行パターンを示したということです。

 ロシアは否定していますが、こういう主張は常のことです。ロシアはシリアで自軍による誤爆を一つも認めていません。

 いまやロシアは反アメリカ的行動で存在を示すことしかしません。冷戦が終わったあと、この二大国が国際ルールの基準を示す存在になれば、中国とて態度を変えたかも知れませんが、ロシアはしばらくの間は静かにして国力を高め、自信がついたあたりからは、反アメリカ的行動により、アメリカと関係が悪い国との関係を強めてきました。

 こうして、無駄な血が流される結果となっています。世界が協力して問題に立ち向かうのが理想なのに、それはごく限られた分野に限定されています。シリアでは、それが象徴的な形で顕在し、人々の人権を圧迫しているのです。

 

 


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