米陸軍参謀長が下院で半島問題を証言

2018.3.16


 military.comによれば、米陸軍の指揮官は木曜日に、軍が北朝鮮との戦争を準備するために過去18ヶ月間をどう費やしたかを述べ、簡単な計画を描いて見せました。

 下院歳出委員会の国防小委員会のメンバーは、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)と金正恩(Kim Jong-un)の会談が、核兵器に関して合意できなかった場合、可能性がある非常事態計画に強い関心があると表明しました。

 マーク・ミレー陸軍参謀長(Army Chief of Staff Mark Milley)は、半島そのものでそこに配置された部隊と、米太平洋司令部の活動地域の部隊も共に緊急事態作戦のためにかなりの量の訓練を行ったと言いました。

 「我々には、大雑把に言って、太平洋司令部の作戦地域の陸軍兵士70,000人と、演習スケジュールに従って別の30,000人があります」と彼は言いました。

 「さらにそれから、1年間か18ヶ月間前と思いますが、我々はアメリカ大陸で、朝鮮半島に特定しないものの朝鮮半島に適用できるハイエンドの統合された武力戦争に特化した準備の訓練を増やすために選抜部隊に指定するかもしれない部隊にガイダンスを与えました」。

 「さらに、我々はこれらの部隊をかなり強く運用しており、彼らを準備のとても高いレベルにします」とミレー参謀長は付け加えました。

 ケンタッキー州選出の共和党議員、ハロルド・ロジャース下院議員(Rep. Harold Rogers)は、陸軍が半島での急な作戦に備えるために何をしてきたかを尋ねました。

 「ここ数か月のいつもと違う活動、つまり北朝鮮を考慮して、起きるかもしれないことへの準備において、あなたはどんな変化をなしましたか?」と彼は尋ねました。

 陸軍長官になったばかりのマーク・エスパー(Mark Esper)は議員に、陸軍は最良のことを望みますが、最悪に備えますと言いました。
 
 エスパー長官は最近、準備態勢を直に観察するために、韓国に配置された米兵と指揮官を訪問しました。

 「私は誰もが我々が準備するものを確実にするため激務を行っているといえます。我々は、いうなれば国務省、外交官の持ち札を強化するため、意思決定者のために利用可能なすべての選択肢を我々が持つのを確実にするために必要なことをやっています」、

 ミレー参謀長はロジャース議員に、北朝鮮について、詳細には立ち入れないと言いました。

 「議員、私は口実を作りたくありませんが、我々がやっていることの詳細は秘密のセッションに実際に来て、説明したいと思います」と彼は言いました。

 訓練は別として、陸軍は「事前配置された備蓄物すべてをいっぱいにすること」を確実にして、「そこにいる部隊と最初に対応すると予測される部隊両方」を増加するための手順を踏んでいると、彼は言いました。

 陸軍はいくつかの可能性がある任務に備えるのを確実にするために、韓国内の現場の指揮官、太平洋司令部の指揮官と密接に活動しています。

 「あらゆる可能性がある非常事態に備えて、大統領が必要ならば最も広範なオプションを持つように、我々はここ12〜18ヶ月間ほどにわたりかなりの量のことを行っています」

 国防小委員会議長、テキサス州選出の共和党議員、ケイ・グランジャー(Kay Granger)は、彼女は北朝鮮について秘密のブリーフィングのための日を決める予定だと言い、「我々全員が疑問を持っているのは承知なので、小委員会の全員が招かれるでしょう」と付け加えました。

 ロジャース議員は、なぜ陸軍は2019年会計年度に155mm砲弾を非常に大きく増加するよう要求するのかと尋ねました。

 陸軍は16,500発を購入する2018年会計年度の要求に比較して、148,000発の155mm砲弾を資金供給するよう要求しました。

 「私はケンタッキー州軍で155mmの退役砲兵です。だから、155mm砲弾には親近感があります。ここで何が起きているのですか?」とロジャース議員は尋ねました。

 ミレー参謀長は、機動と移動の機会を作り出すために合衆国陸軍は砲兵を基盤としてきており、今もなおそうであるために、軍が十分な155mmの弾薬を備蓄したい。だから、砲兵はそうするための我々の能力の基盤だと言いました。

 「さらに、非常事態において砲兵と弾薬消費率は本当に高く、よって私は、いかなる非常事態にも耐えるために、弾薬備蓄は十二分なのを確実にしたいと望みます」と彼は言いました。


 日本の国会では、こういう議論は不可能ですね。敵に手の内をさらすとして、答弁は拒否されます。

 動員されると予想される部隊の定員いっぱいに隊員を異動して、戦争になった場合に備えていることや砲弾の備蓄量なんて、防衛省は言いたがらないことです。

 通常、軍隊は各部署で定員割れをしているものです。それでも日常の業務や訓練に支障がない低度には充足させておきます。戦争が近くなると、派遣する部隊に他の部隊から隊員を異動させ、定員いっぱいにします。単に人員を送るだけでなく、訓練をしてチームワークを高めます。

 155mm砲弾は最もよく使われる榴弾砲の砲弾で、これを大量に用意していることは、大量の砲撃で敵の動きを止め、その間にこちらが動いて、有利な体勢を作ることを意味しています。ミレー参謀長が言うのは、ナポレオン時代からの陸戦の定石です。ナポレオンは、戦争は大砲が多い方が勝つと言いました。もちろん、榴弾砲だけでは意味がありません。敵の位置と攻撃の結果を調べる航空機との連携が必要です。

 こうしたことを公の議会で議論することは民主国家の証です。残念なことに、日本でこの種の議論は聞かれません。議員に知識がないことや防衛省が言いたがらないことが原因です。

 国会議員から軍事問題で優れた意見が聞かれることは希です。というか、最近は聞いたことがありません。防衛省は何でも秘密にしたがり、必要がないことまで秘密にしてしまいます。

 しかし、アメリカ人はそうは考えません。民主主義にとって、ある程度の情報開示は常に必要です。また、これだけ莫大な砲弾を用意していると北朝鮮に教えてやることで、敵を震え上がらせ、戦いを思い止まらせることも期待できるのです。悪いことだけでないことを、日本人はもっと意識する必要があります。

 

 


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