米軍が対ロシアで砲兵を強化へ
military.comによれば、陸軍高官は月曜日、ヨーロッパの戦争の最初の数週間で航空支援なしに地上部隊をおいたままにする、ロシアの驚異に対抗するために軍の大砲・ミサイルシステムの射程を劇的に増加する計画を示しました。
陸軍は軍の主要兵器のプラットフォームを置換することを目的とした改革の努力において、長射程精密射撃を近代化の再優先事項に指定しました。
「我々は開発中のすべてのシステムの最大射程を緊密に、奥深く、戦略的に推進しなければなりません。我々は敵を圧倒しなければなりません」と。米陸軍太平洋司令部の指揮官、ロバート・ブラウン大将(Gen. Robert Brown)はアラバマ州ハンツヴィル(Huntsville)の「the Association of the United States Army's Global Force Symposium」のパネルディスカッションで聴衆に言いました。
「我々は現在、そうしていません。それは大きなギャップです……我々は現在、ロケット砲ほど遠くへ撃つ大砲を必要とします。我々は現在、ミサイルほど遠くへ撃つロケット砲を必要としていて、499kmまで飛ぶミサイルが必要です」。
現在、ロシアの防空は固定翼機が近接航空支援を実行しないようにするのに十分に効果的です。諜報、監視、偵察およびその他の支援任務は地上戦闘部隊に不可欠だと、ランド社(Rand Corp)の上級政策研究員、ジョン・ゴードン五世(John Gordon IV)は言いました。
ランド社はオクラホマ州、フォート・シル(Fort Sill)で当局のために研究を行い、ロシアとの紛争の最初の7~10日間において、「ロシア軍は地上戦闘の数量とすべての面で非常に大きな優越性を持っている」と結論しました。
「これらロシア軍の防空の戦力と射程と致死性のために、それは航空支援のすべての形をずっとより困難にしていて、地上部隊は影響を被りそうです」とゴードンは言いました。
「それは米陸軍野戦砲を重視させそうです。それは、少なくと初期において、重大な航空支援の量の低下、より乏しい統合ISR(諜報、監視、偵察)、より乏しい近接航空支援、より乏しい阻止、より乏しい攻勢及び防御防空での航空支援を補うために長射程射撃を重視させそうです。そのため、これらのロシアの防空の品質のために、そのすべては陸軍の作戦に対する影響を及ぼしそうです」と彼は言いました。
ロシアはアメリカよりも大量の優れた大砲システムも持つと、ゴードンは言いました。
「ロシア軍はこの事柄を深刻にとります。大砲は皇帝の時代からロシア陸軍の強みでした」と彼は言いました。
「彼らは多数の異なる分野で、特に大砲で我々に対する射程の優勢を持ちます」とゴードンは言いました。「一般的に近代的なロシアの大砲は現世代のアメリカの大砲よりも50~100%大きな射程を持っています」。
現在、長射程精密射撃近代化の優先順位に責任を持つ新しく結成された部門間協力チームを率いる陸軍の野戦砲学校の指揮官、スティーブン・マラニアン准将(Brig Gen. Stephen Maranian)は、陸軍は長期的に長射程射撃を向上させるために超高速度、電磁気学、大口径大砲を研究していると言いました。
より短期的には、軍は精密攻撃ミサイル(the Precision Strike Missile)と共に陸軍の戦術ミサイルシステム(ATacMS)を置換することで活動しているとマラニアン准将は言いました。
160kmの射程を持つATacMSは、2007年に打ち切られましたが、陸軍はその後、計画の運用年数を延長しました。
「2019年に次の会計年度内に、我々は(精密攻撃ミサイルの)試作品が飛ぶのを見るでしょう」とマラニアン准将は言いました。
「ここから、2023年初期に基盤となるミサイルの納入があるでしょう」。
ベース・ミサイルはATAcMsから大きくアップグレードして、中距離核戦力全廃条約(INF)の制限である499kmへ射程を伸ばしますと彼は言いました。
「速度では1.5倍、能力では2倍、そしてATAcMsよりもより致命的な能力となりそうです」と彼は付け加えました。
マラニアン准将は、基盤となるミサイルは、洋上の船を攻撃する能力、地上の領域の移動する目標を攻撃する能力、重装甲の目標を攻撃する子爆発体を持つ能力と目標に突き進むためのセンサーを使う能力といったマルチドメインの標的を追求するでしょうと言いました。
それらが基盤となる精密攻撃ミサイルが提供するこのミサイルの未来の好スパイラルのすべての面です。
大砲に関して、マラニアン准将陸軍は、旅団戦闘団に存在する火力の劇的な増加を計画していると言いました。
陸軍はパラディン155mm自走榴弾砲のアップグレードを試みていました。
M109A6パラディン統合管理(PIM)は先週、初期動作試験・評価を完了したばかりだと、マラニアン准将は言いました。
陸軍はシステムの射程を拡張する技術、拡張射程キャノン砲(ERCA)に依存しています。
アップグレードされた射程を40kmへ増やすロケット・アシストの発射体は2021年会計年度までに準備される予定だと、彼は言いました。
射程を70kmへ押し上げるのを助けるアップグレードされた砲尾は、最初の一分間に4発、その後は一分間に1発伸ばし、安定率を1分間に6〜10発の安定発射率にする自動装填器の組み込みと合わせて、 2023年会計年度のタイムフレームまでに準備されると、マラニアン准将は言いました。
「それはあらゆる戦域で、あらゆる敵に対して勝負にならないほどの達成の基本となります」と彼は言いました。
ロシアとの戦いに備えているからといって、開戦が近いわけではありません。可能性がある場合、どんな準備をすればよいかを考え、具体策を講じるのが米軍です。
一旦、ロシアが東ヨーロッパに侵攻したら、圧倒的な火力と機動力で押してくることは明白です。そこで、侵攻を思いとどまらせるために、事前に重砲を東ヨーロッパ諸国に配置するという手が考えられます。
そのためには、重砲の性能を公開して、ロシア軍の中で図上演習を行わせ、侵攻すれば多大な被害が出ることを学ばせる必要があります。そういう仕事をマラニアン准将は行っているのです。
射程の延長と発射速度の向上で、圧倒的な火力を砲兵に持たせる計画を立てる企画力はさすがです。
榴弾砲の場合、発射速度を増やすと、人力での装填では間に合わなくなりますから、自動化は当然です。その分、砲の重量が増すので、牽引式ではなく、自走式なのも当然です。加熱した砲は微妙に反り返り、照準を狂わせるので、発射中にも砲身の湾曲を計測して、照準を自動で修正するような機能も必要かもしれません。
自衛隊では最近、よく分からない装備品の購入が続いています。オスプレイ、イージス・アショアの導入には疑問があることは、すでに何度も説明してきました。イージス・アショアの導入を決めた後で、今度はTHAADミサイルも必要だという話が出てきました。
日本では、一体、誰がどんな考察をして、兵器の導入を決めているのか、国民にはまったく開示されません。米軍のように公開されたシンポジウムで担当者がコンセプトを説明することはありません。「敵に手の内を見せない」という言葉が常套句として使われ、国民への防衛力の開示を拒否しています。
米軍に似ているように見える自衛隊は、実はまったく別の性質を持った組織です。私はこれでよいのかという危惧を常に持っています。
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