役目を終えた軍用犬の待遇に問題あり

2018.3.8


 military.comによれば、米陸軍は戦術爆発物探知犬(tactical explosive detection dog: TEDD)がアフガニスタンでの仕事を終えた後で里親と業務斡旋に出すことを監督するのに失敗したと、国防総省の監察官事務所が木曜日に言いました。

 空軍も、国防省の軍用犬プログラム部局として「TEDDを処分するための陸軍の計画とプロセスの十分な管理と監督を提供しませんでした」と監察官の報告は言いました。

 結果として、軍務の終わりにおける里親探しは完全な里親の適切な記録がないまま起こり、一部の家族は潜在的な攻撃性や不適切な性質を持つTEDDを引き取りました。

 「さらに、陸軍は民間の個人と元ハンドラーに引取を許す前にオスのTEDDすべてに去勢手術を行いませんでした」と報告書は続けました。

 何匹かの犬はかつて警備の役割でそれらを使ったことがない法執行機関へ行ったと、報告書は明らかにしました。

 報告書によると、ある例では、某私企業が13匹のTEDDを引き受けたものの、「その後、犬を犬舎に置き去りにしました」。

 陸軍と空軍のどちらも、国防総省の軍用犬管理システムに合致するために、よりよい手続きと規則を考え出し、軍用犬のために軍外への移管と里親探しの吟味についてよりよいガイダンスをしなければならないという監察官の勧告に同意しました。

 監察官の報告は、アフガニスタンで簡易爆弾(IED)へ対抗するために、陸軍が2010年に始めたプログラムで、犬たちに何が起きたかを調べよとの下院軍事委員会からの要請に応えたものでした。計画は陸軍が350万ドルかかった契約の延長から手を引いた2014年に終わりました。

 「陸軍は戦闘に敵がIEDを使う中で負担を軽くするために、この爆発物探知能力を緊急に必要としました」と報告書は言いました。結局、200匹以上の犬がプログラムの中で従事しました。

 しかし、陸軍は空軍の第341訓練隊からそれらを得るよりは、私企業を通じて行うことで、犬を手に入れて訓練しました。企業は軍隊とその他の国防総省の組織に軍用犬を提供することを承認されたと、報告書は言いました。

 2016年8月、国防総省は議会に229匹のTEDDsを処分したと報告しました。空軍はこれらの内、陸軍が70匹を陸軍部隊へ移管し、40匹をハンドラーへ引き取りとして提供し、17匹を連邦機関へ移管し、46匹を連邦・州・地方の法執行機関へ移管し、47匹を民間の個人へ引き取りとして提供したと報告しました。9引きの犬は死亡しました。

 しかし、監察官の報告は、実際にはTEDDは232匹だったと言いました。3匹の追加の犬たちは陸軍のスプレットシートに載っていましたが、「我々は追加の犬が移管されたのか引き取られたのか知ることができませんでした」と報告書は言いました。

 陸軍の軍用犬プログラムの管理は2008年に簡易爆弾探知犬(IDD)プログラムの範疇で海兵隊が採用した類似した能力と対照的でした。

 監察官の報告は、海兵隊は第341訓練隊と共に手続きを開発し、訓練計画を調整し、資金を提供したと言いました。

 海兵隊のプログラムは2011年に終了する前に600匹以上の犬を参加させました。2011〜2014年に、犬たちは転出させられ、海兵隊の計画的な処分計画は懸念している関係者に計画を説明する時間を許し、引き取りの申請を評価・熟考する時間を与え、ハンドラーと民間人が引き取るのを軽減したと、報告書は言いました。

 2000年に、議会は軍用犬の引取を可能にする法律を制定し、「有用な可使時間の終わりに犬を安楽死させる習慣を終わらせました」と報告書は言いました。

 監察官オフィスはMilitary.comに、陸軍のプログラムの犬たちは可使時間が終わったあとで安楽死されなかったと言いました。

 しかし、2016年の議会報告で、空軍は軍のハンドラーに彼らを引き取ることを許す方針の欠点を指摘しました。

 軍は元軍用犬が引き取れるようになった時にハンドラーに通知するシステムの中に、潜在的に引き取りの機会を逃すことになる機能停止を見出しました。

 2000〜2015年、国防総省は軍用犬の引き取りの申請者に優先順を確立せず、元軍用犬のハンドラーに引き取りの優先順をしませんでした。

 それ以降、議会は「軍用犬の元ハンドラーを軍用犬引き取りの最優先順とするよう」勧告してきたと、報告書は言いました。


 ロイターが配信した記事では、事態はもっとひどいように説明されていました。日本語版の記事では「他の犬は安楽死させられたかも知れない(others may have been put down.)」と訳すべき部分を「一部は殺害されたとしている。」と書くなど、意図的に米軍に悪いイメージを抱かせようとしているように思われます。ロイターとしては珍しいことです。おそらくこれは、3匹の犬の消息がわからないことについて述べているのでしょう。

 それで気になって別の記事を読んでみました。

 結論としては232匹の犬の内、不明の3匹と私企業が放置した13匹の合計16匹の処遇には大いに問題があったといえますが、これは約6.8%です。

 アメリカのような犬を大事にする国で、連邦政府機関が犬を不当に扱えるはずはなく、ロイターの日本語版の記事は誤解を生みかねないものです。

 アメリカには繁殖のための巨大なパピーミルが存在する一方で、パピーミルから犬を救い出して保護する団体も多くあります。そういう団体のために無償で医療活動を行う獣医や、ペットフードを提供するメーカーもあります。犬に関するTV番組もあり、大統領の犬はファーストドッグと呼ばれます。こんな社会で政府機関が犬を不当に扱えるはずもありません。

 軍隊も軍用犬を戦友として扱い、戦地にも獣医を置いています。犬が戦闘恐怖症になれば任務から外して帰国させます。訓練基地にある病院は最新型の医療設備があります。犬が殉職すれば、送別の儀式を執り行います。

 おそらく、犬を大事にする点では、アメリカは世界で一番でしょう。

 

 


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