トランスジェンダー禁止は裁判所が差し止め中

2018.4.1


 military.comによれば、大半のトランスジェンダーの人々を軍務から締め出す意思を発表した最近のホワイトハウスの覚書にも関わらず、進行中の訴訟はこの問題について軍団を許可待ち状態のままにしています。

 国防総省が、法廷が決定を出すまでトランスジェンダーの採用や保有に関しては何も変わっていないし、変わらないだろうと言う一方で、トランスジェンダーの兵士が公に勤務することにどんな費用と予測される事柄が関係するかについては、議論が対立し続けています。

 この問題について国防総省の専門家委員会に助言した将校を含めた数名の現役トランスジェンダーの兵士は、一部が主張してきたほど費用とリスクは高くないと言いました。

 「我々は、これまでのところの国防総省の秘密委員会の勧告に基づいた、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)とジム・マティス国防長官(Defense Secretary Jim Mattis)の命令があっても、4つの連邦裁判所の裁定に合致してトランスジェンダーの個人を利用可能にし、雇い続けるでしょう」と国防総省の報道官、デーブ・イーストバーン少佐(Maj. Dave Eastburn)は言いました。

 イーストバーン少佐は、トランスジェンダーの個人2人が1月1日の志願を再開する法廷の命令で採用され、法的措置の最終的解決を待たずに追い出された現在勤務するトランスジェンダーの兵士はいないと言いました。

 15年来の情報将校で宇宙工学者のブライアン・〝ブリー〟・フラム現役空軍中佐(Lt. Col. Bryan "Bree" Fram)は、彼らが勤務継続を許されるよう主張するために国防総省の委員会と面談した9人のトランスジェンダー軍人の中にいます。

 フラムは当時の国防長官アシュトン・カーター(Defense Secretary Ashton Carter)が2016年6月にトランスジェンダーの兵士が公に勤務できるように命令した時に、同僚にカミングアウトしました。

 「一人一人、彼らは私のところに着来て、『あなたと共に勤務して光栄だ』と言いました」と彼は言いました。

 フラムは、彼は国防総省の専門家委員会に、彼が表明した見解は彼自身のもので、空軍や国防総省のそれらを反映しないと言いました。

 彼は詳細を言いませんでしたが、「人々が軍隊から追放されるなら、他すべてのアメリカ人と違って扱われることは信じがたいほど不幸です。ある時点で、立法上や訴訟が我々に勤務を続けられるようにすると、私は明確に期待しています」。

 国防総省の動きに応えて活動家グループ「the Spart*A」に向けた記事の中で、フラムは提案された禁止令にも関わらず、「トランスジェンダーの隊員は、軍歴すべてで彼らが行ってきたのと同じく、靴紐を結び、この国への軍務で働いています。

 「しかし、これらの同じ隊員は、彼ら自身をよりよくする機会を奪い、彼らに軍隊を去るように告げるか、より狭い部分では、二流市民でいさせる政策転換に直面します」。

 フラムは、トランスジェンダーの隊員は性的アイデンティティに関する精神ストレスのために、より大きな自殺の危険があるという国防総省の研究の断定は個別の問題だとしました。

 「私が知る限り、政策変更以降、現役トランスジェンダー隊員の自殺はありませんでした」と彼は書き、トランスジェンダーの兵士が公に勤務することを許した2016年のカーター長官の決定に言及しました。

 火曜日、多くの日々の中で2回目に、マティス長官は国防総省とトランプの金曜日夜遅くに発表された命令についてコメントを拒否しました。

 活動グループは命令はトランスジェンダーの個人が勤務することを実際上禁止すると主張します。

 「私はそれに本当に立ち入りたくありません」とマティス長官は国防総省の記者たちとのカメラなしのセッションで言いました。裁判が進行中の間、「私はトランスジェンダーを議論しようとしていません」と彼は付け加えました。

 月曜日、マティス長官は国防総省とホワイトハウスからのトランスジェンダー令は、最高に致死性の高い軍隊を作る全体的努力の一部だと言いました。

 しかし、活動グループ「the OutServe-SLDN」の長、マット・ソーン(Matt Thorn)は、提案は逆効果だと言いました。

 「これは(トランスジェンダーの個人が軍務につくことの)明確な禁止」であり、その結果は「準備と致死性を徐々に蝕む」とソーンは言いました。

裁判所の判決

 OutServeとその他の活動グループは、現在の規則のいかなる変更にも対抗する、一時的差し止めを勝ち取った、ワシントン州検事総長ボブ・ファーガソン(Bob Ferguson)が起こしたシアトルの連邦地裁での訴訟に参加しました。

 火曜日、原告は差し止めを永久のものにするために異議を唱えました。

 マーシャ・ペックマン判事は判決を差し控えたものの、両者に憲法上の問題について要約を提出するように命じました。

 彼女はオバマ政権下で法律が成立した現在の規則を変える上で、政府が苦戦をするだろうと示唆もしました。

 ペックマン判事は、国防総省は国防問題に関して恭順を与えられるべきだとの司法省の弁護士、ライアン・パーカー(Ryan Parker)の主要な主張を却下しました。

 ペックマン判事は、法廷はかつて軍隊が人種により兵士を差別すること、女性を軍務につけないこと、女性に戦闘させないこと、同性愛者を禁止するのを許すことで恭順を与えられたと指摘しました。

 「振り返ってみれば、それらの恭順のすべては誤りでした」とペックマン判事は言いました。

 シアトル訴訟の証言で、統合ルイス・マッコード基地(Joint Base Lewis-McChord)に配属されるトランスジェンダーのキャサリン・シュミット陸軍2等軍曹(Staff Sgt. Catherine Schmid)は、トランプ政権の提案は彼女に軍服を着て国に仕える市民権を与えないと言いました。

 「人々がトランスジェンダーは軍務につけないとか、部隊が我々の存在で悪影響を受ける、私の医療が私の任務のほとんどの基本部分を行えないようにすると言うとき、彼らが本当に言いたいのは、私が訓練された仕事の任務を行う能力がないということです」とシュミット軍曹は言いました。

 シアトル訴訟に加えて、ワシントン特別区、ボルチモア州、リバーサイド州、カルフォルニア州の連邦地裁は、トランスジェンダーの軍務に関して政府に反対の判決を出しました。

 訴訟は昨年7月の、トランスジェンダーの個人が軍務についたり再雇用されることを禁止するというトランプのツィートの余波でした。

 ツィートは国防総省を驚かせ、統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォード大将(Gen. Joseph Dunford)はすばやく各軍へ、説明があるまで方針を変えないようにいう覚書を出しました。


 長い記事なので、専門家委員会(PANEL OF EXPERTS)、医療費(MEDICAL COSTS)、反対意見(OPPOSITION)、ランド社の研究(RAND STUDY)、矛盾する見解(CONFLICTING VIEWS)については、すでに紹介した記事と重複する部分もあるので省略しました。

 マティスはトランプに従っているのではなく、この禁止令を出せば必ずや訴訟が起こされ、憲法裁判として最高裁まで行き、そこで却下されると踏んでいるのかも知れないと、思い直しました。

 トランスジェンダーであることを理由に軍務を禁じる合理的な理由はどうやっても見当たりません。

 トランプがどんなに悪態をついても、最高裁の命令ではどうしようもありませんと、側近たちは肩をすくめるつもりかもしれません。

 今後はトランスジェンダー訴訟の行方に注視していこうと思います。

 

 


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