ニジェールで地元警察を対テロ訓練

2018.4.30


 military.comによれば、ニジェールの対テロ戦は米特殊部隊から地元警察の手に渡るようです。

 米当局の注意深く見守る中、ニジェールの首都で地元警察官の精鋭グループは家の中に忍び込み、人質を救出して、過激派を拘束し、その他の者を殺そうとしました。

 アフリカで最も隔絶し、貧困な国々の一つでの警察訓練は、イスラム国とアルカイダにつながりがある過激派がアフリカの巨大なサヘル地域(Sahel)で増加しつつある大胆な攻撃を行うとき、極めて重要です。10月、米兵4人とニジェール兵5人がイスラム国とつながりがある戦闘員によると主張される待ち伏せで殺されました。

 世界のこの部分での米軍の役割に関する疑問の中、過激派がコミュニティのレベルと国境沿いでよりうまく阻止され得るとの希望により、地元法執行機関職員の訓練に関する目新しい焦点があります。課題はニジェールで膨大です。そこでは広大で、大部分が統治されていない地域の住民が当局への信頼を失っているといいます。

 過激主義が成長するに連れて、「特に劣悪で、しばしば虐待的な統治、拡大と補充の核心の中で問題を見失わないことが大事です」と人権団体「Human Rights Watch」の西アフリカ担当、コリニー・ドフカ(Corinne Dufka)は言いました。「イスラム主義グループは地元大衆に侵食するために、上手に地元の苦情を利用しています」。

 それは地元治安軍による虐待の習慣だと彼女は言い、彼らを職業化する努力を求めました。

 ニジェール駐米大使のエリック・P・ウィテカー(Eric P. Whitaker)は、アメリカは来年からの数年間で、統治、教育、医療、農業、治安などを改善する地元のプログラムに5億ドル以上を投下して対処していると言いました。

 国務省の対テロ支援プログラムも、国境の統治と調査から人権と司法までのあらゆる部分で地元治安部隊を訓練することで、そうした懸念に対処しています。

 2015年11月、首都マリの豪華ホテルで20人以上を殺した攻撃の後、アメリカは地元警察約100人の危機対応の訓練で1500万ドルを投じました。国務省対テロ局のプログラム部の責任者、サミュエル・L・ピネダ(Samuel L. Pineda)によれば、彼らはさらなる攻撃に対応するために必要な装備も与えられました。

 プログラムは効果を生んだと、彼は言いました。2016年3月のバマコ(Bamako)の欧州連合軍事訓練任務司令部への攻撃の間、訓練を受けた警察官数人が応戦しました。2017年6月の首都郊外の外国人に人気があるリゾート地への攻撃で、彼らは攻撃者を殺し、犠牲者を救出するのを助けました。

 「我々は透明度の高い軍隊を作ることを望み、人々がそれらの軍隊を信頼することを望みます」とピネダは言いました。「誰も地元の市場が吹き飛ばされるのを望みませんから、彼らが大衆の信頼を得れば、情報は入ってきます」。

 2018年、対テロ局はサハラ以南のアフリカに推定1億600万ドルを投下しました。

 その内約5000万ドルは、ブルキナファソ、カメルーン、チャド、ナイジェリアとモーリタニアを含む、国務省の西・中央アフリカ対テロ・プログラムに与えられました。

 マリの危機対応プログラムはニジェールで結果として複製されました。そこでは対テロ支援プログラムが、今年の訓練と装備のために約1000万ドルを使っています。

 今月の米軍のフリントロック対テロ年次演習の間、ニジェール地元警察官はその他の西アフリカ諸国の軍隊とだけでなく、ニジェールの警官隊と軍隊との調整を試すために訓練を行いました。

 首都ニアメーでの襲撃に参加した警察官は、2012年のリビアのベンガジの米領事館攻撃の後で創設された、危機においてアメリカの外交施設を最初に対応するために考案されたホスト国の警察部隊を訓練し、装備をする、大使館増強・対応特別プログラム(SPEAR)の一部です。彼らはその他の攻撃にも対応します。

 「我々は事態のために彼らを訓練します」と、ニジェールの対テロ支援プログラムを統括する、外交保安サービス特別エージェントのケント・ミラー(Kent Miller)は言いました。「今年と昨年は、地方の環境に焦点がありました」。

 目的は、彼らがより人口が多い地域に入れないように、国境で過激派を邪魔することです、と彼は言いました。

 都市では、希望は危機対応部隊とSPEARの警察官が対応することです。彼らは武器、弾薬、装備品、襲撃を練習するための施設、射撃場と指導を与えられます。

 「訓練の重要性は対応するための知識の要素を我が手にすることで、我々はそれから彼らに現実世界の状況を当てはめます」と、首都の警察指揮官助手のジブリル・オウスマン(Djibril Ousmane)は言いました。

 しかし課題は、過激派たちも彼らに勝つためにコミュニティに金を与えていることだと、彼は言いました。

 「貧困と戦うのは困難です」とオウスマンは言いました。「正しい手段があれば、もっと多くができます」。


 特殊部隊4人が殺害される映像が公表された事件以降、この動きが加速しているようです。しかし、前回紹介したように、それほど高度な訓練が行われているようには見えません。果たして、どこまで有効なのか、私は懐疑的です。

 武力を強化しても、武装勢力はコミュニティの信頼を得ようとします。アフガニスタンでタリバンが撲滅できないのは、未だにアフガン政府よりもタリバンの方が国民に信頼されているからです。アフガン政府の職員は賄賂を渡さないと動こうとしません。タリバンは無償でやってくれます。

 こういう流れを断ち切らないと、武装勢力の根絶は難しいと思われます。

 タリバンもかつては国際支援団体を受け入れませんでしたが、いまは「国境なき医師団」を受け入れるなど、西欧的価値観を認めるような変化が見えています。そのような方向に武装勢力を導く手段も必要です。当然、そのための時間はかかります。

 

 


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