米軍がより軽量小型の戦闘糧食を開発中

2018.5.30


 military.comによれば、米軍の栄養学専門家たちは、クローズ・コンバット・アサルト・レーション(the Close Combat Assault Ration: CCAR)として知られる新しい攻撃糧食の試験を開始することを望んでいます。これは2020年までに現存する野戦糧食よりも劇的に軽くなります。

 十年前、国防総省の戦闘供給局はファースト・ストライク・レーション(the First Strike Ration: FSR)の配備をはじめました。それは戦闘員に等質の一日3食のミールズ・レディ・トゥ・イート(Meals, Ready to Eat: MRE)をコンパクトで軽量のパッケージで与えるよう設計されました。

 約2ポンドと、FSRは3食分のMREの重量と大きさのほぼ半分です。

 戦闘供給局の副局長、ジェレミー・ホィットシット(Jeremy Whitsitt)によれば、クローズ・コンバット・アサルト・レーションの試作品はMRE1個分と同じで、パックの中の個人用食料の同等数よりも約75%容積が減ります。

 「それは陸軍レンジャーや特殊作戦の隊員、軽歩兵のような者たち、何日間も食料、弾薬、飲料水、その他の補給品を運ばせ、再補給の可能性がない任務のシナリオの中にいる可能性がある者たちに向けて設計されたと、彼はMilitary.comに言いました。

 地上兵用にあつらえた戦闘糧食を持つという考えはかつてあれこれ討議されてきました。2016年、海兵隊システム部指揮官のジョセフ・シュラーダー准将(Brig. Gen. Joseph Shrader)はバージニア州のクァンティコ海兵隊基地で産業界のプロたちに、彼はできる限り最軽量で最大の栄養を必要とする海兵隊の歩兵のために特別に設計されたMREを開発することに興味があると言いました。

 CCARは未だ試作本の段階ながら約1.5ポンド(約680g)だと、ホィットシットは言い、食べ物を約50%小さくするマイクロ波真空乾燥のプロセスを説明しました。

 陸軍のプレスリリースによると、CCARのサンプルメニューは、チェリーナッツ・バー、チェダーチーズ・バー、モカコーヒー・デザート・バー、真空乾燥イチゴ、ナッツとフルーツのトレイル・ミックス、朝鮮料理の炒めもののパック、小さなキッシュ4本入りのスペイン料理のキッシュのパック、フレンチトーストのパック、元の大きさの約3分の1にマイクロ波真空乾燥したバナナが含まれます。

 目標は2020年にCCARの試験を開始して、2023年にFSRと置き換えることだと、ホィットシットは言い、CCARは主要な野戦糧食であり続けるMREとは置き換えられないだろうと付け加えました。

 5日間の任務において「15食のMREをバラバラにして持ち運びが楽なものをもつよりは、彼らはこういう近接戦攻撃糧食5個を持てて、一日に3,000カロリーを得ながら、さらなる弾薬、医薬品、飲料水、彼らをより長く戦いの中に置く物品のために彼らの背のうにより多くの場所を持ちます」と彼は言いました。


 こういう行き届いた配慮が米軍の一つの特徴だと思います。装備品に対する関心。新しいものへ置き換える熱意はとてもかないません。

 現在はレトルト式の糧食ですが、一時期、フリーズドライ式の糧食がありました。お湯を入れるか、そのまま食べるかいずれかでしたが、今回は全体か全体の一部がマイクロ波真空乾燥で処理されるようです。

 歩兵の問題点は、身軽な方が動きやすいのに、自分の生活に必要な物を背中に背負う必要があることです。食料や飲料水、寝具までも担いで行く必要があります。少しでも装備を軽くすることは軍隊の夢です。

 特に水は重たく、食料に含まれる水分も大きな問題です。こうした重量の問題は、敵地に深く潜入するような特殊作戦部隊にとって足かせとなります。現場では常にすぐに食べられるものが必要です。特殊作戦の場合、基地に戻るまでに食べ物が手に入る可能性が小さいからです。

 自衛隊は主に缶詰のものが使われていて、レトルト式に切り替わるようです。佐藤正久参議院議員は缶詰の糧食がなくなることに寂しさを感じるとフェイスブックに書いていますが、缶詰はナポレオンの時代に開発された古い技術です。

 米軍もすべてをクローズ・コンバット・アサルト・レーションに切り替えるつもりはありません。食料として割高なので、特別な任務でだけ使い、ほかは安価なミールズ・レディ・トゥ・イートで済ませるつもりです。これは経済的な観点からです。

 自衛隊はここまでの糧食はありません。缶詰式の戦闘糧食Ⅰ型に最近はレトルト式の戦闘糧食Ⅱ型が取り入れられたというところです。レトルトはすぐに食べられますが、缶詰は湯煎しないとだめなので、炊事車が必要です。湯煎すると数日は食べられるといいますが、これで有事に間に合うのかは疑問です。

 自衛隊は日本領域を守るのが任務で、たまに国際活動をするだけだから、ここまで軽量小型の糧食はいらないという考え方があるのかもしれません。しかし、これだとレンジャー部隊が山中で何日間も活動する場合、缶詰型で一体どうするつもりだったのかという疑問がわきます。食べ物をとるために活動ができないのでは意味がありません。旧軍がやった間違いを繰り返すことになりそうです。

 自衛隊も非常食を一種類だけでなく、用途別に数種類開発すべきでしょう。メニューの乏しさも問題です。米軍の糧食は食べ飽きないような工夫もされています。大いに見習うべきことと考えます。

 


 
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