トランプ大統領が敵将軍に敬礼で波紋

2018.6.16


 military.comによれば、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)は敵国の軍隊ではあったが、北朝鮮の将軍に外国軍の将校へ「基本的礼儀」として敬礼を返した、とホワイトハウスは木曜日に言いました。



 記者会見でホワイトハウスの報道官、サラ・サンダース(Sarah Sanders)は、火曜日のシンガポール・サミットで北朝鮮の指導者、微笑む金正恩(Kim Jong Un)と共に北朝鮮当局者の出迎えの列を下る間、トランプ大統領は礼儀正しくあっただけだったと言いました。

 北朝鮮の将軍で人民軍の大臣、ノ・カンチョル(No Kwang Chol)は握手をはじめて、それから敬礼をしました。

 トランプは敬礼を返して、握手もしました。

 サンダース報道官は、それは大統領の側の「基本的礼儀」の仕草だったと言いました。「群島局が敬礼するとき、それを返すものです」と彼女は言いました。

 元空軍中佐のリック・フランコーナ(Lt. Col. Rick Francona)はCNNに、それはおそらくトランプにとって、休戦に終わった1950〜53年の朝鮮戦争がアメリカと韓国を厳密にはいまだに北朝鮮と戦争状態のままにしたという点で「少々居心地が悪かったろう」と言いました。

 しかし、「返礼しないのは屈辱的でしょう」とフランコーナは言いました。「私は大統領が文化的な事件を起こさないことを重んじたと思います」。

 民主党議員数人はそれほど寛容ではありませんでした。

 メリーランド州選出の民主党議員、クリス・ヴァン・ホレーン上院議員(Sen. Chris Van Hollen)は、彼はトランプの敬礼に「強い吐き気」を見出すと言いました。

 ツィートの中でヴァン・ホレーンは「案の定、北朝鮮は我らが大統領を宣伝キャンペーンに活用しました」と言いました。

 敬礼は北朝鮮国営テレビのチャンネルが放送したシンガポール・サミットに関する42分間のドキュメンタリーの一部でした。その中で、金正恩は偉業をなしたとして称賛されました。

 大統領の敬礼はロナルド・レーガン大統領(President Ronald Reagan)が就任するまでは、決して儀礼の問題ではありませんでした。

 大統領史の歴史家たちは、海兵隊の護衛とその他の軍の隊員と敬礼を交わしたのはレーガンが最初だと信じます。

 成功している大統領は軍に対して不敬だとレッテルを貼られるのを避けるために先例にならいましたが、敬礼は気まずい瞬間を導きかねません。

 バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)はかつて、コーヒーのテイクアウトのカップを持つ間に敬礼を返しました。

 トランプは外国の高官に敬意を示したことで他者を批判するのを遠慮しませんでした。

 2009年、彼はサウジの王族にお辞儀をしたように見えたことで、オバマ大統領を批判することで他の人に加わりました。

 2017年、サウジアラビアへの大統領としての旅行で、トランプ大統領はサルマン国王(King Salman)にお辞儀しました。


 ごく小さな騒動ですが、トランプ大統領がごく基本的なマナーも知らないこと。彼が緊張しているように見えて、金正恩の方がリラックスしていることが気になります。

 トランプは私立の軍学校を卒業していますが、これはアメリカの金持ちがよくやることです。軍隊式の高校に息子を入れることで、自分が愛国者であることを周りに吹聴するのです。さらに、何か理由を設けて息子が徴兵されないように工作します。トランプは父親の友人の医師が書いた診断書で徴兵を逃れました。

 トランプは自分が他人を命令できる立場にあることが何より大事です。兵士としての活動なんか無理です。

 将軍の敬礼に反射的に敬礼を返したのは、礼儀というよりは、基本的なマナーの欠如が原因です。ノ将軍はすぐに気がついて握手に切り替えました。このとき、トランプは黙って敬礼を受けていればよかったのです。

 こんな人を選んだのだから、アメリカ人が我慢することですね。

 


 

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