暴発事故でM4小銃の取り扱いが変更
military.comによれば、米陸軍武器当局は最近、兵士が説明できない、意図しない発砲を経験したあと、M4A1小銃の機能チェックと即時対応訓練を更新するために、二通の安全メッセージを全軍に送りました。
安全メッセージによれば、ケンタッキー州、フォート・ノックス(Fort Knox)で3月末に起きた事件は、製品改良プログラム(PIP)で、M4A1へ回収されたM4が関係しました。
メッセージによれは、「オペレーターはセレクターがセミとオートの戻り止め(戻り止めの外側)の間で引き金を引きました。武器は引き金を引いたときは発射しませんでしたが、セレクターがさらに動いたときに発射しました」。
事故では誰も傷つきませんでした。米陸軍「Tank-automotive and Armaments Command: TACOM」は問題に対処するために3月と4月に使用の安全に関するメッセージを出しました。
米特殊作戦軍に独占的に使われてから、M4A1はいまや陸軍の主要な個人兵器です。それは他の軍で使われたM4で基準のバースト設定ではなく、フルオートマチックで特徴づけられます。
しかし、最近のTACOMのメッセージは国防総省の在庫の中のM4とM4A1小銃すべてだけでなく、M16A2、M16A3、M16A4に対して指示が出されました。
TACOMに加えて、陸軍の武器研究開発エンジニアリングセンター(ARDEC)、歩兵武器プロジェクトマネージャー(Project Manager Soldier Weapons)が事件を調査しているところだと、メッセージは述べます。
ARDEC当局は原因を解明するために詳細なフォルト・ツリー分析を作成しているところです。故障した武器のサンプルは分解され、寸法の分析が進行中だと、当局者は言いました。メッセージによると、武器の部品と公差のシミュレーションとモデル化も進行中です。
現在まで、単一の原因は特定されていないと、メッセージは述べました。
新しい機能チェック
解明されるまで、部隊はM4A1製品改良プログラムすべてに対してこの追加の機能チェックを行う必要があると、メッセージ「18-004」は述べます。
PIPで転換された武器はバースト射撃の設定で、XS照準器とレーザーエッチングされます。
- 薬室、ボルトの表面、弾倉をよく観察して武器が空であることを確実にせよ。武器は常に安全な方向に向けよ。
- 武器を装填し、セレクターレバーを安全の位置に動かして、引き金を引け。撃針は落ちないはずである。
- セレクターレバーをセミの位置へ動かし、それからセレクターをセミとオートの間に動かして、引き金を引け。引き金が引かれると、撃針が落ちるはずである。引き金を引いたときに撃針が落ちないのなら、これは故障している。この情報を記録し、次の手順へ進め。
- 撃針が落ちないなら、セレクターをどちらか一方の方向に動かせ。引き金を引かなくても撃針が落ちるなら、これは故障している。この情報を記録せよ。
- 手順(3)と(4)の故障から記録された情報を収集し、さらなる調査のために武器を隔離せよ。武器のシリアル番号と共にTACOMへ連絡せよ。
- 武器が手順(3)と(4)に合格したら、機能チェックは完了である。
追加の機能チェックはこの問題の範囲を陸軍当局に知らせ、影響を受ける武器の数を特定するためのものだと、メッセージは述べます。
M16とM4シリーズの小銃とライフル銃すべては、この追加の機能チェックを10日以内か実弾射撃をする前のいずれか早い方で受けなければなりません。
新しい即時対応訓練
TACOMは、引き金を引いたときに武器が発砲するかどうか、SPORTSとして知られる伝統的な即時対応訓練をC-SPORTSへ変更したとメッセージ「18-005」は述べます。
- セレクターがセミ、オート、バーストに設定されることを確認せよ。
- 適正に取り付けられているかを確実にするために、弾倉の上部を叩け。
- チャージングハンドルを後方へ完全に引き、保持せよ。
- 薬莢または弾薬筒の排出を観察し、弾薬筒または薬莢が排出され、薬室が空であるのを確実にせよ。
- 新しい弾を込めるためにチャージングハンドルを動かせ。
- ボルトが閉鎖されたのを確実にするために、フォワード・アシストを軽く叩け。
- 引き金を引くと、武器は発射するはずである。
専門用語が多くて、少しわかりにくいのですが、M16の教範から部品の名前を示しておきます。
③ フォワード・アシスト ④ 引き金
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この事故はちょっと驚きでした。旧日本軍の九四式拳銃が引き金を引かずに発砲する奇妙な銃として知られていますが、それに似たことです。
それにしても、こういうことを公にする米軍の態度には常に感心させられます。自衛隊の武器について、防衛省が欠点を認め、公表したことがないのは、隠しているのか、欠点が一つもないのかのいずれかです。どちらかは火を見るよりも明らかです。
アメリカには銃に詳しい人も大勢います。米軍が問題を改めないようだと、あちこちから批判が出ます。なので、米軍はすぐに対処します。日本では武器に関して詳しい人が少なくて、意見を言う人はあまりいません。こういうことから、自衛隊に欠陥兵器があっても、改善が図られることは少ないのです。
自衛隊もいい加減に態度を改めないと、いつか痛い目にあうはずだと思っています。
弱点をさらすなど、「敵に手の内を見せる」に等しいなどと言う者もいるかも知れません。しかし、それこそが戦力を弱める質の悪い考えなのです。
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