米軍がロケットで補給品運搬を計画

2018.8.5


 military.comによれば、トップの将官によると、米軍はいつの日か、再利用できるロケットで世界中の前進活動位置とその他の基地へ貨物を運ぶでしょう。

 「我々は戦争のスピードを手に入れなければなりません。宇宙での機動。なんという概念でしょう。私は宇宙への急速なアクセスを必要とします」と、空軍航空機動軍団のカールトン・D・エバーハート2世大将(Gen. Carlton D. Everhart II)は言いました。

 まもなく退役するエバーハート大将はワシントン特別区での国防記者グループの朝食会で話し、司令部の未来の優先事項について彼の展望を説明しました。

 「彼らは私に(BFRロケットが)30分間で地球の周りに行けると言います」と彼は言い、スペースX社(SpaceX・スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ社のこと)の次世代の再利用可能ロケットのコンセプトに言及しました。「30分間で150トンです。(それは)C-5ギャラクシーの(使用及び飛行の)費用よりも少ないのです」。

 エバーハート大将は、彼は最近、打ち上げサービスのヴアージン・オービット社(Virgin Orbit)と同じく、カルフォルニアに拠点を置くスペースX社の担当者に会ったと言いました。

 彼はジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)の航空宇宙会社ブルー・オリジン社(Blue Origin)に会う計画です。

 彼の会談は、デビッド・ゴールドフェイン空軍参謀長(Air Force Chief of Staff Gen. David Goldfein)が彼に航空機動軍団がどのように宇宙の領域にテコ入れするかを調査するよう仕事を与えたあとで行われました。

 「この垂直リフトは『宇宙、それは人類に残された最後の開拓地である』というフレーズを作り、私の興味をそそります」とエバーハート大将は言いました。

 もし、アメリカが宇宙に貨物を事前に配置するなら、それは空、陸上、海による出荷の制限を解くだろうと、彼は言いました。

 エバーハート大将は、このコンセプトはハンヴィー、弾薬、戦術装備、建設資材とその他の戦時補給品を収納できる貨物・臨港駅、つまりは宇宙の「浮島」を導き得ると言いました。

 「私はそこに人々を持っていなくてもよいのです」と彼は言いました。

 「私はそこに自動化された積み込みシステムのようなものと貨物を持たねばならないだけです」。

 システムがどのように機能するかについて、エバーハート大将は最大の戦術的アドバンテージを軍に供給するために、彼ら自身のテクノロジーをテコ入れする産業界のパートナー次第だと言いました。

 貨物がロシアと中国のような敵対国からどのように守られるかの詳細は未だ議論されていると、彼は付け加えました。

 物理的な防護とサイバー上で防護されたシステムは両方共選択肢です。

 エバーハート大将は、このアイデアに関するいくつかの内部ホワイトペーパー研究が書かれ、空軍宇宙軍指揮官のジョン・レイモンド大将(white paper studies)との話し合いが進行中だと言いました。

 「彼らが宇宙を学び、移動を学ぶために、私は宇宙軍(の兵士)を動きやすくしたいのです」とエバーハート大将は言いました。

 空軍が可能性がある宇宙貨物任務を担当するか、最終的にトランプ政権が提案した『宇宙軍』に属するのかは不明です。

 エバーハート大将は、このコンセプトが議員たちができるだけ早くにプログラムを承認できるように、将来の予算要求にすばやく加えられていることを望むと言いました。

 「調達したのなら、これらのコンセプトを実現しなければなりません。私はいま、それを必要とします。私は異なった手段を調べる必要があります」と彼は言い、2022までに予算がつくのでは遅すぎると、付け加えました。

 それは宇宙打ち上げ会社がより早く動く能力をもつからだと、エバーハート大将は言いました。

 「私は、このコンセプトは来る5年間以内に存在すると考えます」と彼は言い、スペースXのような会社はすでに類似した打ち上げを行い、商業分野で再補給を行っているところだと、付け加えました。

 「その5年後に、私はそれが起きているだろうと思います」と彼は言いました。

 「我々はこれをかなりの程度回転させているところです。これをしなければ、我々は航空の領域に留まるだけで、航空機動軍団は重要ではなくなるでしょう」。


 また、アメリカの軍事的先進性を感じさせられる記事が出てきました。

 アフガニスタンではパキスタンからの陸路が各所で武装勢力に襲撃されたことがありました。一時はNATO軍がパキスタン軍を誤爆して、パキスタンが陸路を封鎖したこともありました。そのため、米軍はドイツから中央アジア経由の空路で補給品を運びました。

 こういう問題を解消するには、宇宙から現地の基地へ直接補給品を運べばよいことになります。

 技術のほかに、問題はいくつもありそうです。

 記事にも書かれているように、敵からロケットを守るのは困難です。着地する頃にはロケットは減速していて、距離さえ詰めれば、空対空ミサイルでなくても、携帯型ロケットランチャーで破壊できるかもしれません。ロシアや中国を想定する前に、着陸直前の防護を考えなければなりません。

 宇宙条約は地球の軌道上に武器を配置することを禁じています。補給品の中に、明らかな武器があれば問題になります。しかし、それが宇宙から地上を攻撃できない程度の武器なら、条約には違反しないことになります。その辺の法律上の詰めが必要です。

 日本は、間違っても、こんな大掛かりな技術を真似しようと思わないことです。国内の防衛が主任務であることを考えれば、各地に補給処を設けておくだけで足ります。日本の防衛予算はアメリカとは桁違いに少ないのです。同じことをしようとすれば、別の重要な部分にしわ寄せが行きます。

 

 


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