重たすぎる防弾具をもっと軽く
military.comが、「the Center for a New American Securit: CNAS」の新しい報告書によれば、米陸軍は指揮官に、身体的なパフォーマンスを増すために、軍の重くて、過度に設計されたボディアーマーを特定の任務において置いていくことを兵士に承認すべきだと報じています。
兵士の生存性の調査を行うために陸軍調査研究所がCNASに依頼した一連の「スーパー・ソルジャー(Super Soldiers)」報告書の「兵士の重い荷重(The Soldier's Heavy Load )」によれば「ボディアーマーは一層先進的な防護を提供しますが、兵士のパフォーマンスを犠牲にします」。
「増えた兵士の荷物は遅い移動だけでなく疲労を増やしますが、状況認識をと射撃対応時間も減らすことが実験で示されています」と報告書は付け加えました。
書面は兵士がイラクとアフガニスタンで一人あたり平均119ポンド(約54kg)を定期的に運搬したと見積もる過去の報告書を利用しました。
結果として、2004〜2007年の間の戦場からの医療救助の3分の1は脊椎、結合組織や筋骨格の負傷が原因で、戦闘で被る負傷の2倍でした。
報告書の著者は陸軍にいくつかの勧告をします。一つは軍が中隊レベルの指揮官に、必要に応じて、特定の脅威と任務に基づいて防護のレベルを修正する権限を明確に任せることです、
「重いボディアーマーを着ることは、アフガニスタンのような山岳地形の長距離・複数日のパトロールにおいては作戦上実際的ではないかもしれません」と報告書は述べます。
「実際には、どの防護レベルを身につけるかは通常、上級指揮官に限定されています」。
陸軍の研究者、ジェームス・ヂャン(James Zheng)は報告書の中で「ボディアーマーは本質的に規制的な重量です。潜在的に致命的な脅威に抵抗する必要がある時まで、兵士の作戦上の有効性には寄与しません」と付け加えました。
報告書の著者の一人、ポール・シャーラー(Paul Scharre)はMilitary.comに、指揮官たちは彼らが単にお偉方から批判されようとしているのではなく、陸軍が「なぜ我が国民はこのボディアーマーを着ていないのですか」と議会に引きずり出されようとしているのでないかと懸念していると言いました。
「我々は防護装備を配布します。ボディアーマーは効果的で命を救いますから、それは素晴らしいものです。しかし、極度に重くもあるのです。それは兵士が効果的に運搬できる重量のかなりの割合になります」とシャーラーは言いました。
報告書は陸軍が注文仕立てのボディアーマーの実現可能性と軽量化した重量、増加した部位範囲、向上した機動性の評価を行うことも勧告します。
しかし、報告書は2008年に最初に配備されたボディアーマーシステムである、陸軍の改良アウター戦術ベスト(Improved Outer Tactical Vest: IOTV)を示すだけです。ボディアーマーを改良するための「PEOソルジャー(Program Executive Office Soldier: PEO Soldier)」による、より最近の努力には言及しません。
陸軍調査研究所のために作られたことから、PEOソルジャーは報告書に関してコメントを拒否しましたが、昨年、それがより大きな「兵士防護システム(Soldier Protection System: SPS)」の一部である「モジュラー可変ベスト(Modular Scalable Vest)」を配備するための最後の計画を発表したことを指摘しました。
そのベストは最も重くて約25ポンド(11.3kg)で、IOTVよりも5ポンド(2.3kg)軽いのです。
「SPSシステムはモジュラー式で、拡大縮小可能で、兵士に合わせて仕立てられます」と、PEOソルジャーの広報、アルトン・スチュワート(Alton Stewart)は声明で言いました。「重量も減らし、現在の脅威レベルを打破します」。
報告書は、たとえば陸軍戦闘ヘルメットの重量が6.5ポンド(2.9kg)だと述べて、兵士の個人装備の不正確な重量を提供するグラフィックにも依存します。
陸軍は2017年3月に、リビジョン・ミリタリー社(Revision Military)に、現在のヘルメットのケブラーのかわりに高密度ポリエチレンで作られた進化型戦闘ヘルメット(ACH)、「Gen II」を293,870個製造するために最高9千8百万ドルの契約を与えました。
Gen IIは大きいサイズで約2.5ポンド(1.1kg)です。それは現在のACHよりも約24%軽量です。
シャーラーは4月に公表された先の「スーパー・ソルジャー」報告書は、陸軍が2009年にプレート・キャリアで重量を減らした方法と陸軍の兵士防護システムの現在の目標のような、より新しいボディアーマーを網羅したと言いました。
2009年に最初に配備された「兵士プレート・キャリア・システム(The Soldier Plate Carrier System: SPCS)」は、IOTVよりも約9ポンド(4.0kg)軽量です。それはサイズにより30ポンド(13.6kg)を少し超える重さです。
SPCSは詳細な研究の結果で、2008年に陸軍の非対称戦グループと、緊急装備部隊(the Rapid Equipping Force)のようなその他の陸軍の組織によって行われました。
それは、兵士の負担を軽減するために、兵士の負担がどのくらいかかっているかを調べることでした。
研究は27ポンド(12.2kg)の陸軍のM240機関銃と比較して、プレート・キャリアから18ポンド(8.2kg)を超える特殊作戦兵器、7.62mm口径Mk48機関銃までの軽装備で戦闘部隊をアフガニスタンに配備しました。
記事の後半は省略しました。
米軍が装備品の改良に熱心なのは有名です。米軍の対処が遅いときは、世論が尻を叩きます。元軍人などのコミュニティで問題が議論されるからです。
米軍では不良品の毛布を兵士に支給していたことで国防長官が辞任したことがあると聞きます。日本でこの程度の問題で防衛大臣が辞任することはないでしょう。
まして、装備品の問題が語られることはありません。自衛隊のOBが自分たちの後輩を心配して、兵器の欠陥を公にすることはありません。
そもそも、現役の自衛官たちも、武器の欠陥を問題にしません。航空自衛隊はオスプレイがエンジン停止状態でもオートローテーション機能を使って着陸できると宣言しました。開発元が推奨していないと言うにもか関わらずです。
実戦がないから、不良品で訓練していても問題がないのです。実戦が想定される海外派遣が現実化した途端、62式機関銃がミニミ軽機関銃へ更新されました。62式機関銃の性能が低いことは隊員の間で常識でした。
自衛隊ならボディアーマーの重量すら、敵に手の内を知られるとして非公表にしかねません。米軍では兵器の欠陥も公にしています。こういう公開志向のやり方が軍を強くするのです。
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