レーダー事件に新たな展開
レーダー照射事件が急展開を見せているようです。韓国が敵意がないレーダー照射を認めるという情報が出ていますので、それについて考えます。
まず、中央日報がシム・スンソプ韓国海軍参謀総長が1月7日、海軍第1艦隊司令部を訪問して「すべての諸隊は外国艦艇・航空機遭遇など海洋で発生し得るいかなる偶発状況にも作戦例規や規定、国際法に則り即刻に対応し、現場で作戦を終結させなければならない」と述べたと報じました。
広開土大王(クァンゲト・デワン)側に何らかの不適切な対応があったことを思わせる出来事です。
さらに、軍事評論家の小川和久氏が、韓国当局者から「火器管制レーダーは照射していません。あのXバンドの電波はほかのレーダーからの電波です。海軍参謀本部に確認しました。信じてください」と説明を受けたとフェイスブックに書いています。
ここから小川氏は、水上レーダーのSPS-95Kの電波だった可能性を指摘します。
広開土大王のレーダーと周波数の一覧を示します。
機種名 |
帯域名 |
周波数 |
MW-08 |
Cバンド |
4〜8 GHz |
SPS-95K |
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9.05〜10 GHz
または
5.45〜5.825GHz
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SPS-49 |
Lバンド |
851〜942 MHz |
STIR-180 |
Xバンド(Iバンド)
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8〜12 GHz
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STIR-180と同じ周波数を出す可能性があるのはSPS-95Kだけだから、これが動いていた可能性はたしかにあります。SPS-95Kが周波数を9.05GHz以上に設定していたら、Xバンドと共通する周波数になったわけですから。ただ、資料によりSPS-95Kの周波数が違っているので、断定することはできませんでした。
防衛省のビデオ映像を見ても、MW-08、SPS-95K、SPS-49のような、アンテナが360度回転するレーダーはすべて動いているように見えます。哨戒機のクルーもレーダーが回転しているのを確認しています。
しかし、防衛省の主張は、レーダー波は回転するタイプのレーダーの特徴である、定期的に電波の強さが上下するのとは違い、同じ強さが一定時間持続するものだったということです。
稼働中にアンテナが360度回転するレーダーは、アンテナが目標に向いた時に電波の強さが最大になり、反対を向いたときには電波が来なくなります。SPS-95Kのアンテナの回転速度は16RPMで、哨戒機は3.75秒毎にレーダー波の照射を受けるはずです。ところが、防衛省は一定の強さが持続する電波だったと主張しています。
もし本当にSPS-95Kが照射したのが本当なら、P-1哨戒機の電波解析機材は恐ろしく性能が低いことになります。電波の強弱を判別できないことになるからです。3.75秒周期で変動する電波が一定の強さの電波としか解析できないことになるからです。
SPS-95Kの回転を止めてアンテナを移動体である哨戒機に向け続ける機能があるのかどうかは分かりませんが、そういう機能があるという確認は現段階では取れていないし、おそらくはないでしょう。水上レーダーには不要な機能です。
また、SPS-95Kが動いていたとすると、それは哨戒機がかなり前から探知していたはずです。おそらく、哨戒機はレーダー波を探知したから、その方向へ飛び、現場に到来したはずです。それなのに、現場を旋回中に知っているはずの電波を受けて驚いたことになります。
これらの説明できない事柄がある限り、事件の真相の説明としては、まだ不十分だということになります。真相は別のところにあるかもしれません。
さらに見方を変えると、SPS-95Kの電波が照射された電波であったとすると、この事件は哨戒機のクルーの確認不足が原因ということになり、日本にとっては不利な材料となります。水上レーダーの電波を射撃管制レーダーの電波と勘違いして報告したことになるからです。これは一番恐れるべき結末です。振り上げた拳の落としどころがなくなるのです。
この事件はまだすべて解明されたとはいえず。さらなる情報開示が必要です。
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