米軍の軍法改定が施行される

2019.1.2
修正 2019.7.1


 military.comによれば、2019年1月1日にはじまる米軍の統一軍規法典(the Uniformed Code of Military Justice: UCMJ)の一連の抜本的改革と更新は、いくつかの罪の追加、被害者の権利の拡張、いくつかの軍基地での運転者の合法的な血中アルコール制限の標準化を含みます。

 一部が統合参謀本部が2013年に行った勧告に起因する変化の多くは、2017年の国防権限法(the National Defense Authorization Act: NDAA)において命令されました。今年早くにドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)から大統領命令を通じて政策に導入され、それらは2017年のNDAAのプロセスの中で上院軍事委員会議長だったジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)が60年前に成立してから「統一軍規法典への最も重要な改革」と呼んだものをもたらしました。

 新しい法律は兵士にどう影響するのでしょうか。ここに要約を示します。

罪の拡張

 法律はUCMJの犯罪リストに新しい法令を追加し、過去に一般条項(General Article)として知られていたUCMJ第134条の下にあると考えられていたいくつかの犯罪を、それ自体への条項へと移動します。

 たとえば、新しい刑法上の罪は、徴用や訓練の任務にある兵士と彼らの徴用官や教官と兵士の間の性的な関係を同意の有無に関係なく禁止します。

 「不倫(adultery)」を禁止する条項は「婚外性行為(extramarital sexual conduct)」と変えられ、裁判所の命令による法的別居が起訴に対する許可された防衛として加えられました。

 クレジット・デビットカードによって行われた盗みは「窃盗(larceny)」の分類から、それ自体の条項へと移動されます。

 ストーキングとサイバー空間上のストーキングの両方は新しくそれ自体の条項へ犯罪として追加されました。

 目撃者や犯罪の報告をした者に対するあらゆる報復、管理不行き届きや職権乱用は新しく犯罪とみなされます。

飲酒運転規則の標準化

 新しい規則は軍基地で運転する者たちの最高許容血中アルコール・レベルを0.10(mg/ml)から0.08へ下げます。

 ほとんどの基地は基地が配置されている州の法的限界と同じ血中アルコール限度を施行します。しかし、これまでは2つの州にまたがる基地では、基地指揮官は0.10を超えない限りは施工可能な制限を選択できます。新しい0.08の規則はこれらの基地へ直接影響し、これらの施設を0.08のほとんど全国的な制限へと一致させます。

新しい調査権限

 変化の下で、軍裁判官はフェイスブックのようなサービスプロバイダーへ、オンラインメッセージのような電子コミュニケーションのコンテンツを開示することを命じる令状を出す新しく追加された能力を持ちます。

 軍裁判官はそれらを軍法裁判へ持ち込む前に決定を下せるようにもして、調査段階の初期において彼らに通信傍受を命じたり、召喚令状を出すことを認めます。

新しい被害者保護

 新しい規則によると、犯罪に関係なくあらゆる被害者は、尋問の間に弁護士や政府の評議員の同席を得ることができます。

 被害者の権利も法定後見人や裁判官の選考任命を含めるよう拡大されます。これは被害者が未成年であったり、彼または彼女を表現できない場合、援護するための者たちを含めて、被害者の権利を彼らの利益を代表する者たちへと拡大します。

裁判官、陪審員団の変更

 新しい規則は処罰が6ヶ月以下の特定の犯罪の特別軍法裁判の間に、陪審員、陪審員団の軍隊版、裁判官のみの裁判かのいずれかを選ぶ被告人の選択肢をなくします。そのかわり、政府はこれらの裁判においてどのバージョンを選ぶかを認められます。陸軍によると、この新しい規則に影響される犯罪は勤務中の飲酒や下士官への不敬が含まれます。

 有罪判決を受けた兵士はいま、民間の連邦裁判所で用いられる判決の規則に似た、分割判決として知られるものを受け取ります。この変更の下で、被告人は判決を決めるか軍裁判官が判決を出すのを認めるかを陪審員団へ要求できます。裁判官が判決を出す場合、それぞれの犯罪はいまは別個のものとみなされます。裁判官は処罰が同時に出されるかどうかも決定します。

 もう一つの新しい法律は特別および高等軍法裁判の要求される陪審の規模と有罪判決に必要な投票数の両方を拡大します。陪審員の規模は特別軍法裁判の3人から4人へ、高等軍法裁判は5人から8人へ増え、有罪判決には4分の3の投票が必要です。この率はかつては3分の2でした。


 それぞれの変更点を興味深く読みましたが、日本に一番影響がありそなのは飲酒運転の件ですね。基地がある地域では米軍兵士による飲酒運転が跡を絶ちません。

 日本では呼気アルコール濃度が0.15mg/mlで免許停止、0.25mg/mlを超えると免許取り消しです。米軍の基準は血中アルコール濃度ですので、血中アルコール濃度が制限値の0.8mg/mlの場合、呼気アルコール濃度は0.16mg/mlです。日本の0.15mg/mlとほぼ同じというわけです。

 


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