米紙にみるバグダッディ暗殺の詳細

2019.10.29
追加2019.10.30 18:50


 ニュー ヨークタイムズ紙によれば、デルタフォースの遊撃隊はイスラム国戦闘員2人を捕虜にして、世界一の指名手配テロ リスト、アブ・バクー・アル・バグダッディ(Abu Bakr al-Baghdadi)が隠れていた破壊された家屋から多数の情報を得たと、月曜日に当局者はいいました。

 イラクで勾留されている捕虜たちは米軍の尋問を受けています。トランプ政権が捕まったイスラム国戦闘員の過去の習慣を踏襲 したら、男たちは最終的に起訴のためにイラク政府に引き渡されます。

 アル・バグダッディが週末に殺された夜襲に続いた2時間の地域の捜索の間に手に入った拘束された者たちと書類両方は、軍と 情報当局にとって宝の山の情報を提供するかもしれないと、現職・元職の当局者はいいました。

 当局者は、情報はアル・バグダッディがもはやグループの直接的な作戦の統制を行っていなかったという評価を明確にすると予 測されます。当局者は国防総省、CIAとその他の情報局に、まだ押収した書類両方と電子記録の初期評価を行っているところだ と警告しました。

 アル・バグダッディが隠れていたシリア北西部の家屋から押収した情報資材はグループの作戦について新しい詳細を含みそうで す。

 しかし、当局者は彼らはイスラム国に対する追撃を素早く起こす情報を見つけることを予想しないといいました。

 イラクで放送されたインタビューで、アル・バグダッディの義理の兄弟のモハマンド・アリ・サジド(Mohammad Ali Sajid)は、イスラム国の指導者がどうやってフラッシュドライブで送ったメッセージで連絡していたか、彼のまわりの人たちがどうやって携帯電話を使っていたかを説明し ました。米当局はかつて、電子的な盗聴によって居場所を見つけられるのを防ぐために、アル・バグダッディはまわりの人たちに 携帯電話を使うのを認めなかったといいました。

 デルタフォース・チームが見つけた資材がなんであれ、情報の宝はそれでも、行動と財政の情報を含め、イスラム国がどうやっ て活動したかに致命的な光を当てます。イスラム国はイラクとシリアでの残忍な当地に関する大量の記録を残していると知られて いて、一部の元情報当局者はアル・バグダッディが、アメリカの情報当局者に有益な副官、クーリエ、契約その他の情報のリスト を残したかも知れないと指摘しました。

 「イスラム国は官僚主義的な組織でした」と、国家テロ対策センター元所長のニコラス・J・ラスムッセン(Nicholas J. Rasmussen)は月曜日にいいました。「彼はそういうものを持ち歩きましたか?。外国から来た人たちの名簿。外国人戦闘員。彼はディスクにそのすべてを持っています か?」。

 彼は「それは組織の理解とそれがどう機能するかを築きあげることのすべてです」とつけ加えました。

 デルタフォースの遊撃隊が拘束した捕虜2人はアメリカの拘禁下にあると、統合参謀本部議長のマーク・A・ミレー大将 (Gen. Mark A. Milley)は月曜日に記者にいいましたが、詳細は述べませんでした。

 ミレー大将は遊撃隊員がトンネルに隠れていたアル・バグダッディをどうやって見つけたかを簡単に説明しました。イラクで放 送されたインタビューで、アル・バグダッディの義理の兄弟、サジド氏はイスラム国の指導者が宗教書のライブラリー、換気シス テムとライトを装備して、地下トンネルでどうやって生活していたかを説明しました。彼はアル・バグダッディが長さ8ヤード (7.3m)、幅5ヤード(4.6m)の掩蔽豪として住んでいたトンネルの一つを説明しました。

 アル・アラビア・ハダス(Al Arabiya Hadath)が放送したインタビューの中でサジド氏は、アル・バグダッディが位置を変えるとき、彼は5人の男を同伴させたトヨタ製の白いピックアップ2台で移動していた といいました。

 ある国務省高官は月曜日に、米軍は週末に、アル・バグダッディの副官と考えられる男、アブ・ハサン・アル・ムハジール (Abu Hassan al-Muhajir)も殺したといいました。アル・ムハジールはテログループの公報も務めたと、当局者はいいました。作戦はユーフラテス川の近くのジャラブラス地区 (Jarabulus)で行われ、シリア系クルド人が率いる民兵が重大な役割を担ったとつけ加えました。

 さらに月曜日には、ミレー大将はロシアのカウンターパート、ロシア軍参謀長、ヴァレリー・グラシモフ大将(Gen. Valery Gerasimov)と電話で話しました。シリアでのアメリカとロシアの作戦の衝突回避の努力の一環として、2人は先に10月にシリアについて話していました。ミレー大将 はイギリスの参謀長、ニコラス・カーター大将(Gen. Nicholas Carter)とも話しました。

 情報当局者はアルゴアバグダッディと他の国のイスラム国の提携者のつながりに関する情報を求めて新しい資材を精査すると予 想されます。それはアル・バグダッディなき中核のイスラム国グループから様々な指示でどれくらい早く動けるのかについて、よ りよく理解するのを米政府を助けるでしょう。

 「それは他の国のイスラム国の残兵にバグダッディが作戦統制を行っていた範囲に有益な洞察も提供するでしょう」と元CIA 職員で中東の専門家のノーム・ロウル(Norm Roule)はいいました。

 アルゴアバグダッディは動き回るため、家屋の資材の量は限られていました。それでも、わずかなサムドライブ、コンピュータ やその他の装置ですら、大量のデータを提供するかもしれません。

 さらに、資材を集めたデルタフォースの遊撃隊は急襲のあと、地上で約2時間を費やし、大量の資材を集めたと、捜索について 知る人物はいいました。

 情報はイスラム国の次の指導者についての証拠ももたらすかも知れず、可能性がある後継者がシリアのイスラム国戦闘員だけで なく、その提携者両方の統制を引き継いで、主張するかどうかを情報機関に明らかにします。

 「我々はバグダッディを置き換え、イスラム国2.0を作ろうとする人物に目を光らせるべきです」と、ロウルはいいました。

 情報当局者によれば、アル・バグダッディは海外の攻撃を鼓舞し、それらを指揮する両方において、テロリスト指導者の中で非 凡でした。彼はヨーロッパで攻撃を行ったイスラム国民兵の細胞に命令しながら、彼の伝道者は察知し、防ぐのがより難しい攻撃 を行うために、ヨーロッパとアメリカの一匹狼のガンマンを鼓舞もしました。

 イラクとシリアのイスラム国に対する作戦の間、伝統的な指導層を狙い、グループの最良の伝道者と英語の翻訳者を殺す上で米 軍はより少数の者に集中しました。作戦は最終的に攻撃を鼓舞するグループの能力へ縮小したと、軍当局は考えましたが、アル・ バグダッディの家屋から集められた情報機関にを分析して、その影響についつさらに学べると希望を持ちます。

 パキスタンのオサマ・ビン・ラディン(Osama bin Laden)の家屋に対する2011年の死を招く急襲で押収した資材のCIAの検証と来るべき作業負荷を比較した米当局者によれば、急襲の情報を完全に調べるには数カ月か かります。

 情報機関はその資材を評価するのに数カ月を費やし、高官は分析はアルカイダに対する洞察のためにその一部を引き続き調査し たといいました。

 ビン・ラディンの情報は、彼がどうやってアルカイダを運営したか、どうやって外部の世界と連絡したかと、その他のアルカイ ダの指導者たちとの関係について重要な詳細をもたらしました。米当局者は、彼らはアル・バグダッディの収集品から同様の情報 を期待します。

 「私は作戦上の資材の目的ではより少なく、将来の再興のためのグループの全般的な計画に関することのような、大局的見地か ら見た大きな戦略的資材の目的ではより多くを予想します」と、オバマ政権で国家安全保障会議の対テロリズム担当元高官、ジョ シュア・A・ゲルツァー(Joshua A. Geltzer)は言いました。

 土曜日の急襲で押収された資材の発見品は2015年5月のシリア東部でのもう一つのデルタフォースの任務で押収されたもの に匹敵する可能性があります。

 当時のイスラム国の最高財政担当者と米当局者が説明したアブ・サヤフ(Abu Sayyaf)の高層住居への急襲は、資材を分析することで、アメリカが率いる同盟に、グループの指導層の構造、経済活動と警備手段に関して貴重な情報を開示する大きな チャンスを与えました。

 急襲から回収されたラップトップ、携帯電話とその他の資材から収集された情報は、ある当局者によると4~7テラバイトの データであり、バグダッディの活動と同盟軍による追跡を避けようとした方法を含みました。

 「アル・バグダッディの隠れ家を占領したことは、より広範なテロリスト・ネットワークに重要で永続的なダメージを与えるこ とを意味します」と、調査コンサルタント会社「Eurasia Group」の社長、イアン・ブレマー(Ian Bremmer)は月曜日にオンラインのニュースレターで言いました。

 アル・バグダッディの急襲の生の情報以上のものは実現しそうにありません。デルタフォースの兵士が家屋を一掃し、去ると、 米軍の軍用機と無人機が連続した空爆で家屋とトンネル網を破壊し、現場が聖地とならないようにしました。

 得られた資材の分析は当然行われることで、徐々に内容が公開されることになります。それには時間がかかりますし、 公表されるのはごく一部だけす。何か公表されることがあるかを期待しましょう。

 トランプは夜襲は2時間続いたと言いましたが、この記事では急襲のあとに捜索が2時間続いたとあります。戦闘よりも捜索の 方が長かったことを思わせる記事です。おそらくですが、戦闘は短時間だったでしょう。

 ビン・ラディン暗殺のときは、ヘリコプターは建物の塀の内側に降りました。アル・バグダッディの家は庭が狭いので、少し離 れた所に降下した隊員たちは徒歩で家屋まで行ったのでしょう。

 降伏を促したらしいので、アル・バグダッディはすぐにトンネルへ避難したのでしょう。デルタフォースは塀に突破口を開ける と、建物にも穴を開けて中へ入ったはずです。壁に穴をあける専用の爆薬はいろいろあります。あとはできるだけ早くに攻撃を行 い、相手に考える時間を与えず、戦いを有利に進めたのでしょう。

 戦いは短時間で終わり、もっと重要な情報集めがはじまると、周囲に展開した部隊の出番です。物音で近づこうとする者がいな いかと監視して、必要なら武力を行使します。

 アル・バグダッディ暗殺そのものは、彼がすでにグループの指揮をとっているかが分からないことから、あまり意味はなかった でしょう。それよりも集めた情報資材の方が貴重です。


 


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