バグダッディ暗殺にクルド人の協力

2019.10.30


 military.comに よれば、米軍が急襲の間に殺された世界一の指名手配テロリストの頭部がない体を明白に識別する前、クルド人のスパイがアブ・ バクル・アル・バグダッディ(Abu Bakr al-Baghdadi)の家屋に忍び込み、DNAによって長らく捜索されたイスラム国の指導者の身元を確認するために、彼の下着を盗んだと、クルド人当局者は言いまし た。

 シリア民主軍(Syrian Democratic Forces: SDF)の上級顧問、ポラット・カン(Polat Can)は月曜日に、テロ指導者を監視し続けるためにCIAとともに活動をはじめる前、クルド人が率いる軍隊自身の情報源が アル・バグダッディをシリアのイドリブ州へ追跡したと言いました。彼はアル・バグダッディは頻繁に移動することで知られ、す ぐに位置を変えると予想されたと言いました。

 アル・バグダッディが移動する前に、クルド人の秘密捜査員が彼に手が届き、自称「カリフ」の下着を回収することができた と、カンは言いました。DNA試験をつうじて、彼は彼らが容疑者がアル・バグダッディだと100%確信できたといいまし た。」

 「彼の居場所の特定だけでなく、アル・バグダッディへの情報とアクセスのすべては、我々自身の活動の結果でした」とカンは 書きました。「我々の情報源は座標を送り、空中投下を指示し、最後の瞬間まで作戦が成功することに参加しました」。

 アル・バグダッディの死亡の発表の中で、トランプはクルド人が「有益な」情報を提供したが、軍事的な役割はまったくしな かったと言っています。

 米当局者はカンの説明を確認していませんが、SDF指揮官のマズロム・アビディ大将(Gen. Mazloum Abdi)は月曜日にフォックス・ニュースに対して、クルド軍は急襲のときに家屋の中に内部通報者を持っていたと言いました。そのエージェントは彼らに、家屋の下のトンネ ル、アル・バグダッディと共に何人がいるか、彼の移動の計画について述べていました。

 アル・バグダッディは行き止まりのトンネルへ3人の子供とともに逃げ、そこで彼はメソメソ泣き、追いつめられ、自爆ベスト を起爆しました。

 アル・バグダッディの頭部は爆発のあとも無傷だったため、遊撃隊は生体認証、特に顔認証を用いて、直ちに彼だと特定できま した。トランプ(Trump)は、たった15分間で明確な結果を出した現場での試験で彼の身元を確認するために、アル・バグ ダッディのDNAのサンプルも持っていったといいました。

 アル・バグダッディの身元を確認するために使われた装置が何かは不明ですが、過去数年間にわたり、軍は素早い結果を出すた めに携帯型DNA鑑定機の技術を開発していました。

 技術者は現場からアル・バグダッディの遺体の「かなりの部分」を手に入れられたと、トランプは言いました。

 月曜日、統合参謀本部議長のマーク・ミレー陸軍大将(Army Gen. Mark A. Milley)は、アル・バグダッディの遺体は武力紛争の法律に従って「適切に処分された」と言いましたが、詳細は述べませんでした。

 情報源はフォックス・ニュースに、2011年に殺されたアルカイダの指導者、オサマ・ビン・ラディン(Usama bin Laden)と同じく、彼は海に水葬されたといいました。

 誰がテロ組織を掌握していたかは正確にはわからないままですが、トランプは火曜日に、アル・バグダッディの「ナンバー1の 後継者」が米兵によって殺されたと、攻撃目標の名前を出さずに述べました。

 国務省高官は月曜日にフォックス・ニュースに対して、アル・バグダッディの右腕と考えられていたイスラム国の広報、アブ・ ハサン・アル・ムハジール(Abu Hassan al-Muhajir)の死亡を確認しました。

 リーダーシップの欠如は、シリアとイラクの一部にまたがって伸びた、物質的なカリフの広大な範囲をすでに失ったあと、テロ 組織にとって最新の大きな痛手です。

 この記事でトランプの嘘がまた明らかになりました。

 アル・バグダッディ本人と特定したのは顔認証だと考えられます。アル・バグダッディのDNAサンプルを現場に持っていくは ずはありません。最近は短時間でDNA鑑定が行える装置があるようですが、それでも1時間はかかり、専門家の同行も必要で す。民間人を戦闘に参加させることは普通はしません。

 以前に自爆して瀕死のテロリストのビデオ映像を見たことがありますが、体が真ん中で避けて、頭部は無事でした。アル・バグ ダッディも頭部がそのまま残ったのでしょう。それで顔認証で短時間で本人と分かったのです。おそらく、トランプは下着の DNA鑑定と混同して、事実と違うことを言ったのです。

 また、イラクからデルタフォースが発進するしかなかったのは、最近、シリアから部隊を撤退させたためだったかもしれませ ん。これを見ても、トランプの決断が間違っていたといえます。レーダーを避けるために低空飛行を余儀なくされ、地上からの銃 撃も受けた原因となったからです。

 唯一、救いだと思うのは、攻撃時にもクルド人の内通者を現場に確保していたということです。米軍とクルド軍の関係が壊れて いないことを思わせます。


 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.