ロシアが退役軍人相手にネット工作
military.comが、「アメリカ・ベトナム帰還兵会(Vietnam Veterans of America)」の2年越しの調査によれば、2016年の選挙に影響しようとした同じロシアの「トロール・ファクトリーズ(ネットで協力者を集めるために、いわゆる“釣り”を行うこと)」が、オンラインで憎しみに溢れ、対立を生むメッセージで、現役隊員、退役軍人と彼らの家族を標的にし続けていると報じました。
「彼らはブランド化が信じられないほど上手で、(軍隊と退役軍人のコミュニティの中で)我々が対立するようにしています」と、VVAの主任調査官で191ページの報告書の著者、クリストファー・ゴールドスミス(Kristofer Goldsmith)はいいました。
フェイスブックのようなソーシャルメディア上の活動の大半は穏便なものだと、彼はいいました。
しかし、正当な退役軍人団体のふりをする偽グループによる投稿が、米国内で憎しみ、怒り、不和をかきたてるのを狙い、メッセージと嘘のニュース記事がばら撒かれたと、イラクで軍務についた、元陸軍軍曹のゴールドスミスはいいました。
「彼らの目標はファイナンシャル詐欺を働き、反米プロパガンダを拡散し、オンラインのコミュニティを操り、悪用により不和をばら撒き、国家の分断を起こすことです」とVVAは偽グループについていいました。
「彼らの目標は選挙介入も含み、彼らの活動と影響は一年中切れ目なく続き、政治的な選挙に限定されません」と報告書はつけ加えました。
ゴールドスミスは、退役軍人を狙った疑わしい活動を追跡し、主な発信源がサンクト・ペテルブルクに拠点を置くロシアの新興財閥のヤブジェニー・プリゴツィン(Yevgeny Prigozhin)が資金を出すインターネット調査会社であるとの結論に達したといいました。
2016年2月、当時の特別顧問、ロバート・ミュラー(Robert Mueller)が選んだ陪審員たちは、プリゴツィンと彼の3つの会社、12人の社員を2016年の大統領選挙を含めたアメリカの政治に干渉としたことで起訴しました。
ロシア軍へ供給する巨大な給食ビジネスと、ウラジミール・プーチン大統領(President Vladimir Putin)が出席したモスクワのロシアの親睦会により、メディアから「プーチンの料理人」とニックネームがつけられたプリゴツィンは、告発を無視しました。
彼はロシアの国営RIAノーボスチ通信社にその時、「アメリカ人は非常に影響を受けやすい人々だ。彼らは彼らが見たいと望むものを見る。悪魔が見たいと思えば、彼らはそれを見る」と言いました。
VVAの報告書は、ネットでのトローリングに中国が別に参加していることも見出しました。
「偽のアカウントが、ワシントン特別区とその周辺に集まる諜報と国防のコミュニティの高位で影響力を持つメンバーに接触するために敵対する中国の情報局によって利用されてもいます」と報告書は述べました。「中国当局はこれらのコミュニティの経済的に弱いメンバーを食い物にして、スパイを徴用するために借金を活用します」。
Military.comとの電話インタビューでゴールドスミスは、彼は2017年にアメリカ・ベトナム帰還兵会を自称するグループの疑わしいフェイスブックのページを見つけたとき、隊員と退役軍人と彼らの家族のトローリングの調査を始めたといいました。それは会の公式ロゴを使っていました。
彼はそのサイトをプリゴツィンのインターネット調査会社とつながるブルガリアの「トロール・ファーム」へと追跡しました。
偽のアメリカ・ベトナム帰還兵会は、アフリカ系アメリカ人のコミュニティの取り締まるのような問題で退役軍人のコミュニティを分断することを狙って、正当なニュース記事を偽の記事と混ぜた、とゴールドスミスは言いました。
報告書によれば、偽物の多くはソーシャルメディアから排除されているものの、「彼らの投稿とコメントは、オンライン・サイトを維持し、運営する「アドミン」として知られる外国のアドミニストレーターによって宣伝され、続けています」。
報告書は、ベトナム、ブラジルとウクライナのアドミンを通じて、ロシア発のコンテンツを拡散するための、アメリカに焦点を当てた「退役軍人の国(Veterans Nation)」の実例をあげました。
報告書は、インドネシア、イラン、マレーシア、フィリピンとベトナムのアドミンを持つフェイスブックの「アメリカの英雄を讃える(Honoring our American Heroes)もあげました。
報告書によれば、外国のアドミンは模造の商品を売りながら、嘘、政治的分断と憎しみに満ちたコンテンツを拡散しようとして、これらの確定した正当な退役軍人組織の評判を利用するために、その他の退役軍人サービス機関のロゴも使っています。
「ゴールドスター・ファミリー(Gold Star families)」は頻繁に、殉職した隊員の棺桶に嘆く家族の写真を政治化する外国のアドミンによって利用されています。」と報告書は述べました。
ゴールドスミスは、VVAは退役軍人を狙ったオンラインのトローリングをより詳しく調べるためにFBIとその他の行政機関を急がせることを期待して、報告書を公表したといいました。
報告書はホワイトハウスに、大統領命令でアメリカのサイバーセキリュティを閣僚レベルへ押し上げ、「悪人たちからのリスクへの対応と保護を優先し、一元化すること」を要請しました。
報告書によれば、復員軍人援護局は個人的なサイバーセキリュティとオンラインの改ざんの実例を特定する方法を訓練・教育もすべきです。
ロシアの大統領選挙への介入もありましたが、こうして情報を発信するのにネットは手軽なツールです。実際、私もある日本の政治家の発言にコメントをつけたら、実在するのが疑わしい人物からコメントがついたことがあります。プロフィールや過去の投稿がほとんど空なのに、反論だけはしっかり書いていました。関係者が正体を偽って書いている可能性があると思っています。
こういうのに釣られる人もいます。バラク・オバマが大統領に立候補したときに、彼がアフリカ出身で大統領になる資格がないという偽情報が流されたとき、これを信じ込んだ現役米軍人を少なくとも2人知っています。こんな馬鹿げた話に引っかかる人もいるわけです。
自衛隊では、こういう問題になにか対処をしているのでしょうか?。ネット上で好き勝手に発言していた空自幹部がいたくらいですから、多分、何の対策もとっていないのでしょうね。そういう人が、この種の偽情報に引っかかるようになると、ややこしい事件に発展するかもしれません。
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