シリア、イラン、イラクに協力の動き

2019.3.19


 military.comによれば、シリアの国防大臣は月曜日、彼が「非合法」だと呼ぶものを糾弾し、ダマスカスは自衛権を持つと明言しました。一方、イラクは数日以内にシリアとの国境を開くと言いました。

 シリアのアリ・アイユーブ大将(Gen. Ali Ayoub)は、首都ダマスカスで会談を持った、訪問中のイランとイラクの陸軍指揮官との合同記者会見の間に話しました。

 アメリカは現在、約2,000人をシリア東部と北部にもち、数ヶ月でそれらの数百人を撤退させる予定です。

 ダマスカスでの会合は、アメリカがイランとどの同盟国を孤立化させ、制裁を強化することを模索するときにイラン、イラクとシリアの強力な同盟を描き出しました。

 テヘランはイスラム国を含めたイスラムの民兵と戦う政府軍とともに戦うために、兵士とイランが支援する戦闘員をシリアとイラクに送っています。それらはアメリカが支援するクルド人が率いる戦闘員によって、シリア東部でその支配下にある最後の地域で、いまにも打倒されようとしています。

 「アメリカ人は別の場所を立ち去ったときにシリアを去るでしょう。なぜなら、これは非合法な駐留で、正当性があろうと否定されます」とアイユーブ大将は言いました。「シリアはこれらの軍隊の撤退が必要だと断言します。それは占領軍であり、国の主権を侵犯しています」と彼は言いました。

 何年ものぶり返しのあと、シリア政府軍は2016年以降、攻勢を行い、ロシアとイランの支援のおかげで国の広範な部分を取り戻しました。アイユーブ大将は最終的に北西部のイドリブ州(Idlib)の反政府派の最後の主要な拠点を獲得すると誓約しました。

 シリアにおけるイランとロシアの間の緊張についての報告について尋ねられると、アイユーブ大将は強くそれらを否定し、「友好国と同盟の役割は地上で成し遂げられていることすべてにおいて重要です」と言いました。

 日曜日にダマスカスに到着したイラン陸軍指揮官のモハメッド・ホセイン・バグヘリ中将(Maj. Gen. Mohammad Hossein Bagheri)は「シリアとイラクはイラン・イスラム共和国とイラン軍に、補給支援とともにアドバイスを通じて、彼らの側に立ち、助けることをもとめています」と言いました。彼はイラン兵はシリア当局によって招致され、シリア人によって求められたときにだけ立ち去りますとつけ加えました。

 イラン国営IRNA通信車は、イラン、シリアとイラクはシリアの外国軍の駐留を終わらせるためにともに活動するだろうというバグヘリ中将の言葉を引用しました。「現段階はダマスカスの承認なく国内に駐留しているすべての軍隊の出国と国家主権と領土の保全の復権を狙っています」と彼は言いました。

 バグヘリ中将は3カ国は近年行ってきた協力を続けるだろうとつけ加えました。

 イラク陸軍指揮官、オスマン・ガハネミ大将(Gen. Osman Ghanemi)はシリアとイラクの国境について詳細には触れずに、数日以内に開かれるとだけ言いました。


 トランプ大統領の撤退命令のあと、すぐに変化が起き始めているようです。

 アメリカはイスラム国を打倒することでイラクを助けましたが、イラクはシリアとともに外国軍の追い出しにかかるようです。ずっといてくださいという日本とは大きな違いです。

 3カ国の関係がどうなるかはわかりませんが、シリアとイラクがクルド人を追い出したいわけですから、それにイランが協力するようなことも考えられます。

 これでこの地域の動きは一層不透明になりそうです。

 アメリカが目論むクルド人の保護は不可能でしょう。もともと、成功の可能性は低かったのですが、これまではなんとか綱渡りでやってきました。それが軍事に疎い大統領の判断で完全につぶれたという印象ですね。トランプ一人の問題ではないとはいえ、戦略的迷走があったのは間違いがありません。

 シリアへの介入と撤退に関しては、よく総括して、今後に活かすしかないのでしょう。こういう権力の間で力が弱い人たちが死んでいます。それを考えると辛くなります。

 

 


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