情報漏洩のマニングの釈放要請が却下

2019.4.24


 military.comによれば、米連邦高等裁判所は月曜日、元陸軍情報アナリストのチェルシー・マニング(Chelsea Manning)による、ウィキリークスの調査をしている大陪審に証言するのを拒否したために入れられた刑務所から釈放されるべきという訴えを却下しました。

 リッチモンドの第4米巡回上訴裁判所の裁判官3人による審査団の3段落の満場一致の決定は、彼女は民事の法廷侮辱罪で誤って判決を受けたことと、法廷侮辱罪の決定が法廷に持ち込まれる間の保釈金を求めたことの、マニングの両方の論拠を却下しました。

 マニングはウィキリークスの大陪審で証言するのを拒否したあと、3月8日からアレクサンドリア拘置センター(the Alexandria Detention Center)で収監されています。

 彼女が収監されてから、ウィキリークスの創始者、ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)に対する刑事起訴が封を切られ、米当局は彼の送還を求めています。マニングの弁護士は彼女の証言はアサンジがすでに起訴されていることもあるので、不必要だと異議を唱えました。

 マニングは大量の軍と外交の文書をウィキリークスへ漏洩したために、当時の大統領、バラク・オバマ大(President Barack Obama)が35年間の刑罰の残りを減刑するまで、軍刑務所で7年間服役しました。

 マニングの弁護士は、彼女は軍法裁判の調査の間に当局に知ることのすべてを話し、刑務所はマニングが受けた性別適合手術に関連する適切な医療を受けられないので彼女の収監は不必要な仕打ちだとも異議を唱えました。

 検察官は、彼らは大陪審の証言のために訴追免除を受けたマニングは、ウィキリークスとのつながりについて、過去に開示したことよりもさらに多くのことを言えるかもしれず、彼女は嫌がらせのためだという推測だけで大陪審のプロセスを混乱させているのは常道を逸していると答えました。彼らは刑務所は刑務所が彼女の医療上の必要性を可能にするために努力したともいいます。

 検察官はウィキリークスへのマニングの情報漏えいをアメリカ史上における最大の機密情報漏洩だと呼んでいます。

 月曜日の見解はジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)が指名したアリソン・ダンカン(Allyson Duncan)、ジョージ・W・H・ブッシュが指名したポール・ナイメイヤー(Paul Niemayer)、ビル・クリントン(Bill Clinton)が指名したロバート・キング(Robert King)が発しました。

 マニングの弁護士は、彼女は月曜日遅くに声明を出す予定だと言いました。

 裁判官の法廷侮辱の調査結果の条件の下で、マニングは彼女が証言することに同意するか、大陪審の任期が終わるまで刑務所に入れられたままでしょう。その日は不明です。


 マニングが収監されていたことは見落としていました。オバマ大統領が恩赦を与えた後(記事はこちら)、市民生活を送っていたはずですが、アサンジの裁判での証言を拒否したために法廷侮辱罪に問われたようです。

 それに対して意義を提出したのが却下されたということです。保釈金の件はともかく、法廷侮辱罪が誤解に基づくという主張は成り立つ可能性がありますから、主張するのは当然でしょう。

 マニングがアサンジの性暴力に関係していたとは考えにくく、どんな証言を引き出せるのかは疑問です。狙いはアサンジの性暴力よりも機密漏洩にあるのは明らかです。

 さらに、検察の反論はどれだけの誠意が含まれているのかでも判断すべきでしょうね。本当に嫌がらせでないのか。医療体制は十分に用意したのかは、批評の対象となるべきです。

 過去に繰り返し紹介してきたとおり、マニングは情報漏洩で収監中に虐待を受け、それは軍裁判官が「不当な勾留」だったとして、勾留期間を刑期から差し引いています。

 それについて過去に、このような記事で紹介しました。(記事はこちら

 裁判官のデニス・リンド大佐(Col. Denise Lind)は、フォート・メーデ(Fort Meade)で行われた裁判前審問でこの決定を下しました。リンド大佐は、マニングが9ヶ月間、クァンティコの海兵隊の営巣にいた間、非合法的な裁判前の処罰を受けていたことを指摘しました。大佐は、マニングが有罪でも、禁固刑から112日間を差し引くことにしました。マニングは1日に23時間、窓のない監房に拘禁され、全裸にされることもよくありました。営巣当局は、それは彼が自分や他人を傷つけることを防ぐためだったと言います。裁判官は、マニングの監禁は「必要以上に厳しかった」として、合法的な政府の利益に関しては行き過ぎだたっと付け加えました。

 マニングが虐待されていることは、人権団体から抗議の声があがっていたのに国防総省は否定しました。結局、軍裁判官によって事実として認められたのです。

 こういう体験をした人を再び拘禁することは、マニングの精神を不安定にするなどの問題を引き起こす可能性があります。アサンジの裁判がはじまるには、さらに時間がかかるのでしょうから、マニングの拘束も長期化する恐れがあります。

 


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