アフガンの麻薬工場爆撃がおわる

2019.4.29


 military.comによれば、米軍はかつて大きく宣伝した、タリバンの資金を遮断することを狙ったアフガニスタンの麻薬工場に対する爆撃作戦をそっと止めていると、アフガニスタン再建特別監察官ジョン・ソプコ(John Sopko)はいいました。

 「彼らはもはやそれをやっておらず、それは爆撃がどれだけ有効だったかを示すかもしれません」とソプコは水曜日に朝食の席で記者にいいました。

 彼は鉄の嵐爆撃作戦(the Operation Iron Tempest)は2017年末にはじまり、「タリバンの財布を叩くという意図した効果はなく、おそらくは資源の無駄でした」といいました。

 米中央軍司令部はアフガン駐留米軍へ爆撃作戦について質問をしましたが、軍は作戦が中止されたかについて直接答えませんでした。

 「合衆国軍とアフガニスタンの努力は政治的な安定の条件を整え、わが国の国益を守ることを目的とします」と報道官は電子メールでいいました。「我々の攻撃の大多数はタリバンやイスラム国に対する殺人攻撃です」。

 ソプコは大麻とヘロインの取り引きに影響するように見える唯一の要素は土壌の浸食と干ばつだといいました。

 去年の11月、国連薬物犯罪事務局(UNODC)は2017年から20%減ったものの、アフガニスタンにおけるケシを耕作する総地域は非常に高いレベルのままだと報告しました。

 しかし、減少は2018年にアフガニスタンの北部と西部を襲った大干ばつのせいだと、UNODCはいいました。

 「減少にも関わらず、ケシを耕作する全地域は記録上2番目に高い」と、UNODC上級知事のユーリ・フェドトフ(Yury Fedotov)は報告でいいました。「これは地域とそれを越えた場所の治安と安全への明白な課題です」。

 鉄の嵐作戦は2017年8月のドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)の国民への演説に由来する最初のイニシアチブの一つでした。演説の中で彼は、さらなる兵士と爆撃を必要とする「状況に基づく」アフガニスタン新戦略を発表しました。

 麻薬工場に対する爆撃作戦は大きな期待と共に始まりました。アメリカの兵器リストの中で最新鋭のF-22「ラプター」が派遣され、軍は麻薬取り引きの中心の南西部のヘルマンド州(Helmand)などの攻撃のビデオ映像を配布しました。

 2017年11月20日、当時の米軍・NATOの指揮官ジョン・ニコルソン陸軍大将(Gen. John Nicholson)は、アフガニスタンの新戦略の下の最初の重要な行動は、F-22とB-52などを用いた、いくつかのタリバンの麻薬センターの爆撃によって行われていたと発表しました。

 「昨夜、我々はタリバンを麻薬資金調達を損なうところで攻撃するためにヘルマンド州北部で空爆を行ないました」とニコルソン大将はいいました。新政権は私に敵の収入の流れを追跡することを許しました。

 しかし、ソプコは収入の流れは弾性があることを立証したといいました。彼は米麻薬取締局と国務省の国際麻薬法執行局の当局者たちは爆撃作戦は計画が不十分だと最初から警告したといいました。

 「破壊された工場は極度に小さく、可動性があったため、専門家たちは我々にこれは成功しないだろうといいました」とソプコはいいました。「彼らは建設と稼働のために約500ドルをかけました」。

 鉄の嵐作戦の状態について軍からの信頼できる答えがないことは、アフガン軍の死傷率のような、過去においては定期報告に規定通りに含められた情報を機密化する習慣を反映した、とソプコはいいました。

 「ほとんどすべての徴候、成功や失敗の測定基準はいまや機密化されたか存在しません」と彼はいいました。「この街(ワシントン特別区)では恥ずかしい事柄は機密にされる傾向があります。政府はよいニュースは機密化しません」。


 ソプコは2012年にオバマ大統領によって監察官に任命されました(経歴はこちら)。この経歴を載せているブルッキングズ研究所は中道・リベラルのシンクタンクなので、そことつながりがあるソプコがトランプ政権に批判的なのは自然なことなのでしょう。

 それはともかく、なんだか日本のことかと思わせられる記事です。都合が悪い情報は公表しなければよいという民主主義の危機が起きています。

 確かに大麻の葉や花穂を乾燥させた乾燥大麻、樹液を固めた大麻樹脂を作るだけなら大した設備はいりません。ケシは実を切って乳液を取り出し、乾燥させるか湯通しして煮詰めるだけです。やはり、簡単な設備で造れます。小屋でもあればそこが工場になります。移動も楽です。

 そこを高価なハイテク爆弾で叩く意味があるかは疑問。

 もともと、タリバンも麻薬には反対だったのですが、農作物を作りにくいアフガニスタンでは麻薬は貴重な収入源で、禁止できなかったと聞きます。自分たちの収入源にもなるため、止められないのです。

 面倒なことが嫌いなトランプ大統領には、空から麻薬工場を吹き飛ばす作戦は好手に思えたのでしょうが、敵の方が頭がよいようです。

 オバマ政権では農業指導も行い、麻薬の原料を栽培しなくてもよいようにする政策も行いましたが、現政権ではそのような行政サービスは無価値とみなされているのでしょうか。

 


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