米原潜で再びセクハラ事件が発覚
military.comによれば、女性の差別を撤廃する米海軍で、2番目の潜水艦に搭乗した女性の乗員を標的にした、性的に露骨なリストが発覚したあと、米海軍指導部は隊員の安全の懸念に対処するのに失敗し、艦長の解任と他数名の処罰という結果になりました。
「強姦リスト」は誘導ミサイル潜水艦フロリダ(Florida)のゴールド班(米潜水艦には2班が搭乗し交代で勤務します)の隊員によって共有されました。調査官たちが「わいせつで性差別的なコメントとジョークが許されていて、指揮系統の上下の信頼は存在しませんでした」。それは情報公開法の要請を通じてMilitary.comが独占的に得た74ページの不正行為の調査によります。
ジョージア州のキングズベイ(Kings Bay)を母港とするフロリダは、志願した女性の差別を撤廃する2番目の潜水艦でした。約1年後にフロリダのゴールド班の指揮官になったグレゴリー・カーチャー大佐(Capt. Gregory Kercher)は8月に指揮力における信頼を失ったために解任されました。
潜水艦に配備された少なくとも2人の隊員が軍から解雇され、非公開の隊員がリストに関連したことで管理上の処罰に直面した、と海軍当局は言いました。
2018年6月16日、カーチャーの先任下士官の助言者が彼に潜水艦上で発見された2つのリストについて彼に警告しました。1つは女性隊員を星の数でランクづけしました。調査によれば、2番目のは名前の横に性的に露骨なコメントを含み、それらのランクと合致しました。
「『強姦リスト』の噂は乗員を通じて広められ、女性の大多数は自身の安全を心配するようになり、リストを知った男性隊員は同様に不快になりました」と、第10潜水艦群の当時の指揮官ジェフ・ジャブロン少将(Rear Adm. Jeff Jablon)はカーチャーの解任前の数日前に上官に書きました。「どんな限定された措置が(指揮官によって)行われたか、僅かな者しか知りませんでした」。
カーチャーはリストの場所を探すために艦のネットワークの捜索を命じ、それにアクセスしたものを特定したと調査官は述べましたが、公式な調査をはじめる手前で止め、司令部へ知らせませんでした。
「彼はリストへの対応でいくつかの行動はしたものの、こうした最低限の行動は期待された基準とこの問題の程度の事件のための基準に遙かに小さく落ち込をだことに疑問はありません」とジャブロンは書きました。コメントを求めましたが、カーチャーは締め切りまでにMilitary.comへ調査や解任について声明を出しませんでした。
調査は、海軍が女性が乗艦勤務を認めたあとのほぼ10年後、潜水艦のコミュニティの女性の同僚を敬意を持って扱う能力に関して厄介な問題を提起します。性的に露骨なリストは、別の潜水艦で女性の将校と士官候補生が10カ月間、裸の間に記録をとられた2014年のスキャンダルに続いて起こります。
軍の徹底的な検査のあと、すべての潜水艦の隊員を監督する最高位の提督はフロリダ艦上の状況は例外的な事件であり、軍全体の潜水艦乗りの傑出したパフォーマンスと振る舞いをまったく反映しないと確信すると述べました。
「私はこのような事件が再び起きないと保証できませんが、軍の中において我々の高い行動基準と性格を我々が強化し続けることを保証できます」と、米潜水艦部隊の指揮官、チャス・リチャード中将(Vice Adm. Chas Richard)はMilitary.comに提供した声明でいいました。「私はすべての潜水艦乗りが互いを尊厳と敬意をもって接することを期待し、彼らが我々の基準を満たさないなら責任を課すでしょう」。
恐れ、怒りと失望
オハイオ級潜水艦には、交代で艦に配置するゴールド班とブルー班があります。最初の女性の志願隊員は2016年にフロリダに着任しました。
フロリダのゴールド班の173人には将校5人、上等兵曹2人、給与等級がE-6から下の階級の水兵25人を含めて32人の女性がいました。
2018年6月3日、フロリダに乗艦する水兵が、潜水艦がインド洋のディエゴガルシア海軍補給施設(Diego Garcia)にあったとき、すべての女性のゴールド班員の名前がある最初のリストをプリントしました。水兵は女性の上級兵曹にリストを渡しました。それはすべての女性の名前の横に1つから4つのアスタリスクを含んでいました。
約10日後、同じく水兵が2番目のリストをプリントし、再び同じ女性の上級兵曹に渡しました。水兵は彼女にリストは潜水艦のコンピュータネットワークに収納されていて、数週間ごとに更新されていたといいました。男性の乗員はすぐにそれらに再び投票する予定だと、水兵は上級兵曹にいいました。
「性的に露骨なリストは様々なUSSフロリダの様々な女性を外観、性格、彼女らと共に行いたい性的な行為で記述します」と調査は述べます。「リストは攻撃的な性的行為を記述しますが、合意のない行為には言及しません」。
上級兵曹は彼女と2番目の上級兵曹が6月16日に男性の上官にそれらを持っていく前にリストの写真をとりました。その上官は性暴力防止・対応の窓担当者にわたし、その人はそれらを指揮層の機会均等管理者に渡しました。カーチャーの先任下士官の助言者もリストについて知らされました。
調査によれば、助言者の最先任下士官は艦長にそのまま渡しました。しかし、カーチャーは「彼らは紙切れを持っていただけだ」として調査を始めることを拒否しました。
「艦長は調査官が配置される前に、それがどこで作成され、誰がリストを作成したかを特定する必要があると信じました」と調査は書きました。
最先任下士官は、その時点でリストについてさらに話をするのを止めたと調査官にいいました。彼はカーチャーが水兵と容疑者とリストの話をしたときに、その場にいませんでした。ある時点で、カーチャーは彼に、彼は関与しすぎたから「ペースを落とせ」と言ったと、調査は述べます。
ドライブ上のリストの位置を調べるための潜水艦のネットワークの捜索は失敗しました。カーチャーは彼が自分でリストを見つけられるように、ネットワークを検索する方法をグーグルで調べもしました。
海軍犯罪調査部が関与しましたが、潜水艦のコンピュータネットワークとドライブの徹底的な犯罪科学上の捜索の後、彼らもリストの場所を見つけられませんでした、と米潜水艦軍の報道官のサラ・セルフ=ケイラー中佐(Cmdr. Sarah Self-Kyler)はいいました。
時が経つにつれ、噂が潜水艦上で広まりましたが、カーチャーはこれらに責任がある者を見つけるために彼がしていたことを伝えませんでした。
「年少の水兵たちは指揮官が誰がリストを書いて追加していたのかを積極的に見つけようとして、なにもしていないのを知れば安全を感じません」と報告書は述べます。少なくとも一人の女性は、彼女は指揮官がずっと前にリストのことは忘れたと考えたといいました。
リストについて尋ねたとき、女性乗員は恐怖、怒りと失望でいっぱいだったと報告書はいいます。男性はゾッとして、ショックを受け、激怒し信頼が損なわれた感情を説明したと、調査官は書きました。
一人の女性は調査官に、リストは彼女に、乗員仲間を信頼したいものの、艦上の男性すべてに疑心を抱かせたといいました。
最初にリストのコピーを最初に得た女性上級兵曹はそれらの写真を故郷のボーイフレンドと家族に送りはじめたと報告書は述べます。彼女はコピーをフロリダの母港にいる先任の上官にも送りました。
「正しいことをすることで上位の指揮系統を信頼できず、彼らがそれを敷物の下に掃き込もうとしていると強く信じたため、(彼女は)写真を船の外へ送りました」と報告書は述べます。
信頼と信用の裏切り
別の指揮の風潮の懸念と共に、ほぼ2カ月間なにもしなかったため、カーチャーはフロリダのゴールドの指揮官としての地位を解任されました。
「リストが発見されてから数週間後、女性上級兵曹が正式に着手してはじめて、カーチャー艦長は追加の行動が当然だと認めました」とカーチャーの群指揮官のジャブロンは解任勧告の書簡で書きました。
指揮官は高い基準の責任、信頼性とリーダーシップに縛られているとセルフ=ケイラーは言い、海軍は彼らが基準に達しないなら、彼らに責任を負わせると付け加えました。
カーチャーに加えて、調査は下士卒2人が不適切な行動を示したことを見出した、と彼女はいいました。
「これらの隊員は海軍から管理除隊(administratively discharged)となりました」とセルフ=ケイラーはいいました。「報告の取り扱いを誤ったために、追加の管理処分が他の指揮官に対してとられました」。
調査によれば、ある時点で、リストについて懸念した何人かの女性たちは「愚痴を言うな。感情的になるな」といわれました。その人物は部門レベルの指揮官だったとわかりましたと、セルフ=ケイラーはいいました。
「(彼らは後に)適切な管理処分を受けました」と彼女はいいました。
調査は司令部の機会均等報告プロセスが効果がないことも見出しました。これらのプログラムに責任がある要員も責任があると、セルフ=ケイラーはいいました。
結局、船乗り仲間を性別を問わずに最大の尊厳、敬意を払えないすべての隊員は対価を支払うだろうと、潜水艦軍に責任をもつリチャード中将はいいました。
「一度知らされたら、我が軍の指導層は素早く対応し、調査し、責任ある者に彼らの行動に対して完全な責任をとらせました」。
強姦リストと指揮官の作業負荷と士気についての別の懸念の調査がフロリダがインド洋のディエゴ・ガルシアに停泊中に行われました。
問題を抱えた指揮層
リストはフロリダの感情的で唯一の問題ではありませんでした。カーチャーが指揮を執る1ヶ月前の2017年8月、長時間の勤務、睡眠不足と乗員のストレスについて、氏名不詳の監察官の申し立てが出されました。乗員は週に6日間働いていて、ある者は調査官に「隊員たちは夜間の仕事を避けるために、ホテルで過ごすために金を払う方がましです」といいました。
「日曜日に上官の誰かに艦上で見つけられたら、追加の作業をさせられる」と調査官は書きました。
それは監察官が女性乗員に言及したリストについて2番目の不満に遭遇した1年後でした。
すべての後任の指揮官は指揮風土の評価を完了するために90日間与えられる、とセルフ=ケイラーはいいました。在任期間を通じて、彼らは9〜12カ月ごとに追加の評価をしなければなりません。
「指揮官は、結果を受け取ってから30日以内に、行動計画を含めて、直接の上官と指揮風土評価エグゼクティブ・サマリーの面接報告を行わなければなりません」と彼女は言いました。
指揮体制を引き渡したあと、海軍は「艦上の文化に対処するために指揮層へ外部の支援」を提供しましたと、第16潜水戦隊の指揮官で、カーチャーの直接の上官だったクリス・ナッシュ大佐(Capt. Chris Nash)は言いました。それは指揮層の性暴力防止・対応計画と機会均等プログラムの監査を導いたと、彼は言いました。
当局は自由の方針も更新し、士気活動を増やし、隊員に家族との時間を与えており、指揮層の指導プログラムを向上させた、とナッシュは言いました。
上院の最新の指揮風土調査は2月に完了し、それは向上を示したと、彼は付け加えました。後続の潜水艦カルチャー・ワークショップは2019年6月に行われ、指揮層は指揮風土を監視し続けるでしょう。
フロリダのゴールド班は現在、派遣から帰還しました。その間、班は4ヶ月間にわたり2つの戦闘部隊を支援しました。
「私はこの乗員とこの事件に続く数ヶ月で彼らが成し遂げた進展を誇りに思う」とナッシュは言いました。
文中の「管理除隊」は軍法裁判による不名誉除隊ではありませんが、名誉除隊でもなく、除隊後の恩典に悪影響があり、経歴としても残ります。小さな不品行から医療上の問題などに適用されます。
記事中に紹介されている、もう一つの原潜での事件とは、2014年に弾道核ミサイル潜水艦「ワイオミング(USS Wyoming)」でシャワーを浴びる女性潜水艦乗組員を男性乗組員がビデオ撮影したというものです。1年間にわたって撮影、配布されたビデオ映像には女性将校がシャワーを浴びるところが写っていました。少なくとも隊員4人がこの事件で有罪を認め、禁固2年程度となりました。隊員1人は無罪となり、2人以上が未決のままです。
フロリダの事件でも米海軍は分別を示したといえます。事件はよくあるパターンをたどりました。指揮官が事件を適切に処理せず、隠そうとしたために、より重たい処罰を受けたというものです。適切に処理していれば、リスト作成に関与した者だけが処罰され、艦長の処分はありませんでした。
女性隊員は潜水艦内に新たに設置された女性用の区画にいます。最初の事件はその区画に男性隊員が入り込んで行った事件でした。今回はそうではなく、見えにくいところでやるし、本人に迷惑はかけないから問題ないだろうという発想だったと思われます。
しかし、軍隊は階級で動きます。特に、下位の男性隊員が上位の女性隊員の性的な特徴を書き記せば、それは欠礼となり、軍規に違反します。相手が下位の女性隊員であっても、それは仲間を尊重しろという軍規に違反するわけです。
米軍はこういう問題が起きると常に厳格に対処します。我が自衛隊ではどうなのか?。部隊では上官が部下にソープランドに行って童貞を捨ててこいと強要し、それでよいのだという風土が存在します。罪の意識がない者を発展途上国に派遣すれば、そこで現地の女性に対して何をはじめるかはわかったものではありません。現に、そういう事件が外国軍で起きているのです。そういう場合、自衛隊が不正行為をした隊員を厳格に処罰する制度や指揮風土があるのかも問われるところです。「自衛官はそんなことをしない」などという思い込みは捨てなければなりません。国連軍はこの手の不祥事を公開する方針に転じていて、自衛隊が不名誉なことに陥る可能性はないとはいえません。「隠せばよい」という発想も世界的には通用しないことを、知っておく必要があります。
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