退役軍人の大半はイラク・アフガン戦争を評価せず
military.comによれば、新しい調査研究に参加した退役軍人の大半は、イラクとアフガニスタンでの戦争の費用と負荷はいずれかの戦争でなされたどんな成功や進展よりも重たいといいます。
水曜日に公表されたピュー研究所の報告書は、新しい調査に回答した退役軍人の3分の2の64%は、イラク戦争は「戦う価値がなかった」といい、58%はアフガニスタンでの戦争について同じことをいいました。
ピュー研究所は5月14日から6月3日の間に1,284人の米軍の退役軍人に調査を行いました。研究所は調査結果を比較するために5月14日から24日に1,087人のアメリカの成人に類似した調査を行いました。
「イラクやアフガニスタンいずれかで勤務した退役軍人はこれらの戦争に勤務したことがなかった者たちよりも、これらの交戦により否定的です」と報告書は述べました。アメリカ人の60%以上はイラク戦争について同じことを感じ、調査された大衆の59%はアフガニスタンについて同意しました。
同様にシリアでの紛争の増しつつある否定的な見方があり、回答した退役軍人の55%は作戦について悲観的でした。一般大衆の36%のみが、シリアでのアメリカの努力は「やる価値がある」と言いました。
「意見に階級や戦闘経験に基づく違いはありません」と調査員は言いました。
しかし、政党の間では意見の相違がありました。
共和党員と共和党志向の退役軍人は、民主党員と民主党志向に分類される退役軍人よりもずっとイラクとアフガニスタンの戦争は戦う価値があるというようです。共和党の退役軍人の45%、民主党の退役軍人の15%がイラク戦争は戦う価値があるといい、共和党の退役軍人の46%、民主党の退役軍人の26%がアフガニスタンについて同じことをいうと、研究は見出しました。退役軍人でない人びとに同じことがいえました。
さらに、共和党の退役軍人は民主党員よりもずっと多く、シリアの作戦は価値がある(54%対25%)というようだと、報告書は述べます。
研究はこれまでのドナルド・トランプ大統領の政権に対する米軍退役軍人の意見についても尋ねました。
退役軍人の大半、57%は大統領が最高指揮官としての任務を担っている方法を承認します。中東の紛争に関する意見と同じく、政党による回答者の間の大きな意見の相違がありました。
ピュー研究所の報告はこちらにあります。全文のpdfファイルもあるので、あとで読んでみます。
この調査結果は意外ではありません。過去にも似たような調査が行われていて、当サイトでも紹介しています。
対テロ戦争がはじまってから、女性隊員の対テロ戦争への支持が減り、隊員の民主党への支持が増えています。
もともと、敵がいないところへ侵攻するイラク戦争については米軍内にも異論がありました。さらに、多くのイラクの民間人を死傷させる事件が連続し、懐疑的意見は更に増えたはずです。
バラク・オバマは、戦線をアフガニスタンへ移すべきだと主張し、大統領になりました。当時、アルカイダの指導者、オサマ・ビン・ラディンがそこにいると考えられていたからです。
ところが、ビン・ラディンの居場所はつかめなくなり、最終的にはパキスタンで殺害されます。アフガンスタンに駐留する意味はなくなりましたが、タリバンの抵抗に遭い、治安を回復しないまま撤退することはできなくなりました。ここで戦争の目的が大きく変わり、アルカイダの殲滅から、タリバンの掃討へ変化しました。
タリバンの抵抗は強く、変化した目標はタリバンとの和解へとさらに変わってしまいました。
シリアへの介入は、率直に言って、遅すぎました。アサド政権が自国民を弾圧しているのを何年も国際社会は無視して、非人道行為を半ば認めていました。直ちに介入して反アサド勢力を支援していれば、うまく残虐行為をとめられたかもしれません。当サイトでは直ちに介入すべきだと主張し続けましたが、何年も経ってから介入したため、アルカイダからイスラム国が分派して戦線はイラクへも広がり、さらにはロシアの参戦も招きました。正直なところ、情勢が好転する見込みはありません。アサドが老衰で死ぬまで、紛争は続くのかもしれません。
こういう展開ですから、イラクとアフガニスタンでの戦争に対して評価が低いのは当然です。
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