軍人の自殺防止に銃器の利用制限が有効

2019.7.21


 military.comによれば、米国防総省の新しい報告書は、軍人の間の自殺の数を減らすために、銃器の入手を制限する「手段の制限」を用いる可能性に関する議論を復活させる可能性があります。

 水曜日に公表された2017年の軍隊での自殺に関する国防総省の報告書によれば、その年の現役隊員の自殺の3分の2は銃器のそばで起き、過去5年間と合致する統計でした。

 2017年に現役兵の309件の自殺について、202件で銃器が役割を果たしました。大半は個人的に所有する銃で、軍隊の武器ではありませんでした。

 先月、「JAMA Network Open」で公表された研究の中で、研究者たちは銃を所有する兵士の自殺率は、そうでない者よりも上でした。弾を装填した銃を保管したり、運搬したりすることは、兵士の間の自殺の可能性を4倍に増すことと関連があります。

 研究は銃と弾薬の別個の保管を促進したり、非番のときに公に運搬することを止めさせることは、軍隊の自殺率(2017年は10万人あたり約22人が死亡)を減らすかもしれないことを示唆しました。

 「銃の所有権に加えて、銃器が簡単に即時に利用できることは増加した自殺のリスクに関連がありました」と、軍属保健科学大学(the Uniformed Services University of the Health Science)の心的外傷性ストレス研究センター(the Center for the Study of Traumatic Stress)の研究員、キャサリン・デンプシー(Catherine Dempsey)らは書きました。「家族との会話と銃器の入手可能性を制限することに関して監督することは潜在的な介入として評価されるべきです」。

 国防総省と復員軍人援護局が8月の2年に一度の自殺防止会議を準備するとき、議員とアナリストは、全員が射撃の訓練を受け、彼らの多くが自身の武器を所有する兵士と退役軍人の銃器の入手を制限することの実行可能性を検討しています。

 4月の下院退役軍人委員会の公聴会の間に、キャスリーン・ライス下院議員(Rep. Kathleen Rice・民主党・ニューヨーク州選出)は、隊員の間の自殺に関する議論は「銃器や火器について語ることなく、適切に取り組めない」と言いました。

 「それは証明されています」とライス議員は言いました。「銃器の利用を制限することは自殺率を減らせるかもしれません」。

 別の公聴会で、広範囲に主題を調査したランド社の研究員、テリ・タニエリアン(Terri Tanielian)は、政策は利用を減らすために作られ、役目を果たされ、試されなくてはなりませんと述べました。

 「我々は、退役軍人の間の銃器の安全性、銃器が退役軍人にもたらすリスクに直接対処する政策を促進しなければなりません」と彼女は言いました。「それは銃器の利用に関して要請し、安全な保管を議論し、自殺の高いリスクを抱える個人から適切に銃器を排除することを議論するために、医療従事者、指揮官、友人と家族に受け入れられるものでなければなりません」。

 手段の制限に関する議論は、多くのメンバーが個人的に銃を所持していて、武器関連の違反行為の発生率が低いコミュニティで試みられています。

 「銃器を利用させることが誰かを自殺しやするのではないことを指摘するのは重要です」とマイケル・アネスティス(Michael Anestis)は言いました。「銃器を利用することが誰かの頭に考えを抱かせ、彼らを自殺しやすくするのではありません」。

 デンプシーは、彼女のグループの研究は弾薬と銃器を別個にしたままにすることに集中した単純なカウンセリングと個人が公に銃器を運搬する合計時間を制限することが役に立つと指摘しました。

 「メンタルヘルスの研究の領域の外で、銃器の安全変数の種類に集中することは銃器の保管の習慣を大幅に向上させることを示しています」と研究者たちは書きました。

 2017年の自殺事件報告書によれば、現役兵の自殺率は隊員10万人あたり21.9人の死亡で、2016年は10万人あたり21.5人と似た率でした。

 陸軍の自殺率は10万人あたり24.3人、海兵隊は23.4人、空軍は19.3人、海軍は20.1人でした。

 2016年では、陸軍は10万人あたり26.7人、海兵隊は20.1人、空軍は19.4人、海軍は15.3人でした。

 国防総省によれば、軍隊だけでなくアメリカの民間人を含む年齢調整の民間人の率は10万人あたり17.4人です。

 予備役と州軍の隊員の率は現役兵のしに比べて大幅に高いままです。2017年、予備役兵は10万人あたり25.7人、州兵は29.1人でした。

 報告の中で、国防総省は2017年の数字は2014年から2016年の率は統計的に大幅には違っていませんでした。

 当局者は、2017年の率は米兵のこの年と3年間の自殺死の平均率を比べてこの結論に到達しました。

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 自殺を減らすには、手元に銃器を置かないことが重要なのは、以前からいわれていて、当サイトも何度も紹介してきました。今回発表された研究の結論も、やはり同じでした。

 憲法が民兵が国防に有効として、武装する権利を認めているため、米国民は銃器を所有できる権利があるとされています。軍人は身元がはっきりしているため、銃器の入手はより簡単で、基地の売店には銃砲店があるところもあります。そのため、軍人は個人でも銃器を所有し、それで自殺することが多いのです。

 日本では防犯のために銃砲と弾薬は別々の保管庫に入れて、鍵をかけ、別々の部屋に置き、できれば布などをかけておけということになっています。射撃用の弾は射撃場で買い、全部使い切って帰ることが推奨されていて、家にあるのは狩猟用の場合が多いのです。幸い、許可された銃砲による自殺はほとんどありません。

 これまで、自殺を考えてている兵士には、上官と衛生部隊が相談に乗り、一時的に銃器を別の場所へ保管する指導が行われてきました。これ以前は、こうした自殺手段を減らすことすら、憲法に違反すると考えられ、行われていませんでした。銃器を持っているかどうかを聞くことすらためらわれたといいます。

 今回、変化が見られるのは、いよいよ法律で何らかの制限が加えられるようだということです。実際に法律が成立するかはわかりませんが、今までになく、その方向へ傾いています。

 


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