自衛隊が米・豪と合同で強襲上陸訓練
military.comによれば、米海兵隊員、オーストラリア兵と日本の真新しい水陸両用部隊は今週、海岸強襲演習を行い、3カ国が太平洋で競合する島を守るためにどのように団結するかを垣間見せました。
タリスマン・セイバー演習(Exercise Talisman Sabre)の間に、オーストラリアのクィーンランド東部の沿岸の街、ボーウェン(Bowen)で、隊員たちは海岸へ行くために水陸両用強襲車(AAV)に詰め込まれました。それから一部は工場を襲撃する任務を負った場所へさらに進みました。
AAVはドッグ型揚陸艦グリーンベイ(Green Bay)から発進、強襲揚陸艦ワスプ(Wasp)から上陸用舟艇、エアクッション艇がハンヴィーと軽装甲偵察車を海岸へ運びました。
海軍と海兵隊の資産を混合したことは、隊員が「大規模で強制的な進入」を可能にしたと、第31海兵遠征部隊作戦将校のマイク・モロスズクザック少佐(Maj. Mike Mroszczak)は革新的な演習を説明するニュースリリースでいいました。
「米海兵隊、オーストラリア陸軍、日本陸上自衛隊が野心的な合同の進入をタリスマン・セイバー演習の間にここの同じ目的の地域に行ったという事実は過言ではありません」と彼はいいました。
日本の新しい水陸両用強襲展開旅団(原文の直訳。水陸機動団のこと)は、係争中の東シナ海の尖閣諸島をめぐるこの国と中国の緊張の中、昨年編成されました。アメリカは、中国がそれらを奪おうとした場合は、日本の政権は無人島にわずかなつながりしか持たないと認識します。
水陸両用旅団には約2,000人の日本兵がいて、その約300人がタリスマン・セイバー演習に参加したと、スターズ・アンド・ストライプス紙は報じました。
タリスマン・セイバー演習は3週間にわたり行われ、アメリカ、オーストラリア、日本の兵士が航空、海上、陸上な襲撃を行いました。演習はワスプがオーストラリアのブリスベン(Brisbane)に寄港して終わりました。
紹介が遅れました。この記事は日本時間では25日に報じられていました。記事中の「今週」は実際には先週のことです。
タリスマン・セイバー演習は2005年から隔年で開催され、これまでに8回行われました。日本は2015年から参加していて、今年で3回目の参加になります。2015年の参加人員は40人。2017年は第1空挺団第3普通科大隊基幹の約60人が参加して、空挺作戦の演習を行いました。今年は水陸機動団と第1ヘリコプター団の合計330人が参加しました。規模は徐々に拡大しています。
この演習は日本では専門的なメディアでしか報じられていません。
防衛省の発表をみると、オーストラリア軍が参加していることを隠したいのが、米軍との合同演習であるかのような発表をしています。陸上自衛隊のニュースリリースには「陸上自衛隊は、豪州における米軍との実動訓練(タリスマン・セイバー19)を通じて、水陸両用作戦及びこれに引き続く陸上戦闘における戦術技量並びに日米共同対処能力の向上を図り、もってインド太平洋地域の平和と安定に寄与する。」と書いてあるだけです。(ニュースリリースはこちら)
別の広報の記事には次のように書いてあります。(記事はこちら)
豪州における米軍との実動訓練(タリスマン・セイバー19)
陸上自衛隊は、オーストラリアにおける米軍との実動訓練に参加しており、7月22日(月)実施した着上陸に引き続く上陸後の戦闘等の総合訓練を終了しました。
本訓練を通じ、水陸両用作戦及びこれに引き続く陸上戦闘における戦術技量並びに日米共同対処能力の向上を図るとともに、日米豪との信頼関係を強化することができました。
7月25日(木)以降は、整備、海上機動等を予定してます。
他の記事に、ようやくオーストラリア軍との信頼関係強化の記述があります。(記事はこちら)
豪州における米軍との実動訓練(タリスマン・セイバー19) 陸上自衛隊は、オーストラリアにおける米軍との実動訓練に参加しており、7月22日(月)実施した着上陸に引き続く上陸後の戦闘等の総合訓練を終了しました。 本訓練を通じ、水陸両用作戦及びこれに引き続く陸上戦闘における戦術技量並びに日米共同対処能力の向上を図るとともに、日米豪との信頼関係を強化することができました。 7月25日(木)以降は、整備、海上機動等を予定してます。
これらの記事から米海兵隊とオーストラリア陸軍と合同で教習上陸作戦をやったことはわかりません。また、ほかの軍隊も演習に参加していたことはわからないようになっています。
あたかも通常の海兵隊との演習みたいですが、記事にあるように「米海兵隊、オーストラリア陸軍、日本陸上自衛隊が野心的な合同の進入」と評価されるべき内容だったのです。普通、こういう演習は日米豪の混成部隊による上陸演習と表現されます。
この記事の写真の説明文にも、3カ国の部隊が強襲上陸演習を行ったと明確に書いています。この演習のフェイスブックの公式アカウントをみると、イギリス軍、ニュージーランド軍、カナダ軍も参加していたことが分かります(公式アカウントはこちら)。上陸演習について、水陸機動団は海兵隊と共に上陸し、オーストラリア軍は自軍とイギリス軍特殊部隊を上陸させたと説明されています。その後、同盟部隊は敵を追って、内陸の拠点まで前進しました。
記事中に「3カ国が太平洋で競合する島を守るためにどのように団結するか」とあるように、この訓練は太平洋のどこかで日米豪が敵対する国が占領した場所を海から奪還するためのものです。
水陸機動団は米海軍の艦船から発進していますが、だから米軍との合同演習だとはいえません。オーストラリア軍も同時に上陸していて、すべての部隊が共通の目標に向けて前進しているのですから、同じ演習を行ったといえます。
水陸機動団は日本の領土を守るための部隊のはずです。日本の離島の奪還にオーストラリア軍が参加することは、日本人は想像すらしません。タリスマン・セイバー演習はもとはアメリカとオーストラリアの合同演習です。日本がそこに参加する理由は何かは明確に示される必要があります。
この話を野党が国会で追及しても、与党は「技量向上のための合同演習であり、共同作戦は想定していない」といえばマスコミも国民も納得し、「野党の追及が甘い」と思うだけです。
考えようによっては、こういう演習は南シナ海で中国が他国が領有する島を占領したときに、アメリカが主導して行う奪還作戦に参加するためにやっているようにも見えます。自衛隊OBの佐藤正久参議院議員は、米軍がこの海域で航行の自由作戦をやると、なぜかフェイスブックに投稿して、作戦を支持します。将来、南シナ海で自衛隊が戦う可能性はありそうです。
水陸機動団が編成された時、このような説明はされませんでした。離島も日本の領土であり、それを防衛するために必要だと信じ込まされてきました。しかし、実際にはわざわざ外国まで行き、合同演習をしています。自国領土の奪還のためだけなら、自国内での演習で済むはずです。
自衛隊にはまだ独自に上陸作戦を行うまでの装備や編成はなされていません。航空支援、統合化された指揮系統は確立されていないので、それを米軍にやってもらって、まずは上陸作戦を隊員に体験させるということなら、これはもうお恥ずかしい話です。こんな演習のために予算を使うのなら、自前の装備や指揮系統の確率を急いだ方がよいはずです。
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