米海軍が物理的スロットルへ回帰

2019.8.17


 military.comによれば、USSジョン・S・マケイン(USS John S. McCain)が石油タンカーと衝突した2年後、米海軍は物理的スロットルを、現在、タッチスクリーン・システムを使う駆逐艦に設置するでしょう。それは調査官が部分的に艦の統合型艦橋・航行システムに責任を帰したものです。

 マケインに乗艦した隊員10人が2017年8月21日に、駆逐艦がシンガポール海峡で石油タンカーへ進路を向けたときに死亡しました。衝突はマケインの乗員による、見張りが誤って舵を別のステーションへ転送したときにはじまった一連のエラーの結果でした。

 引き続いた混乱の中、マケインの2つのプロペラの1つだけが遅くなり、マケインを石油タンカーの進路へ素早く向けさせたと、国家運輸安全委員会は最近の報告で結論しました。

 それは艦の左舷と右舷のプロペラのスロットルが、下手舵がタンカーを避けるためにマケインの速度を下げようとしたときに、「連動(ganged)」として知られるように、リンクされていなかったためだと、国家運輸安全委員会の6月19日の報告は言いました。操舵手は右舷のプロペラが左舷のよりもずっと早く回転していたことを知りませんでした。

 「それぞれのプロペラシャフトが独立した推力制御の転送は不必要に複雑で、タッチ・スクリーンのスロットル制御は下手舵のスロットルが連動せず、同調していなかったときに触覚のフィードバックを与えませんでした」と、国家運輸安全委員会の報告は言いました。「国家運輸安全委員会は、ジョン・S・マケインのタッチ・スクリーン操舵・推力制御システムの設計が衝突を招いたオペレーターのエラーの可能性を増やしました」。

 報告書は、物理亭なスロットルの制御がより多くの情報を艦を操縦する隊員に与え、プロペラが同じ速度やそれ以外で回転しているかどうかを判断するのをより簡単にすると結論しました。

 「即時の触覚両方のフィードバックをオペレーターに提供するため、それらはタッチスクリーンのディスプレイよりも好まれます」と報告書はいいます。

 調査では、海軍隊員はタッチスクリーン・システムに対して圧倒的に物理的コントロールを好むといったと、「U.S. Naval Institute News」の記者、メーガン・エクシュテイン(Megan Eckstein)は最初に報じました。

 いま、海軍は2020年夏から物理的スロットルを統合型艦橋・航行システムと共に駆逐艦に据え付けはじめるでしょうと、海軍洋上システム部の報道官、コーリーン・オローク(Colleen O'Rourke)はいいました。

 USSラメージ(USS Ramage)は、タッチスクリーンの推進システムを補完することになるスロットルを手に入れる最初の艦になるでしょう。

 マケインとUSSフィッツジェラルド(USS Fitzgerald)が関与した2017年の2件の異なる衝突の前、海軍はタッチスクリーンを支持して、アナログ・コントロールを段階的に廃止する計画でしたが、そうした計画は2件の事故の包括的評価の後で変更されたと、オロークは水曜日に「Task & Purpose」にいいました。

 「物理的コントロールの追加は、エンジンへの命令がスロットルレバーの位置で視覚的に示されるのを確実にするでしょう。それらが誤って設定されたら、どの艦橋の見張りにもすぐにそれが見えるでしょう」とオロークはいいました。

 「スロットルレバーは、追加の安全手段として、機械的に一緒に連動されるロックと共にも設置されるでしょう」。


 この件は日本でも報道されていますが、さらに詳しい情報があるかと読んでみました。

 私はタッチ・スクリーンでも問題はないのだと思います。画面の図柄をわかりやすいものに変えるとか、別の対応で改善できるはずです。単なる慣れの問題かもしれません。事故が起きたから改修されますが、それでこの種の事故がすべて防げるかはわかりません。むしろ、新しい方法に慣れるよう訓練を改善するほうが建設的かもしれません。

 


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