タリバンとの和平に関する続報

2019.8.8


 military.comによれば、アメリカとタリバンは和平交渉において、米兵のアフガニスタンからの撤退と、他の過激派グループとのつながりを断つという武装勢力からの保証に関する意見の違いを解決したと、タリバン当局者は火曜日に言いました。

 米側はタリバンが政治的なオフィスをもつカタールで開催された交渉の最新ラウンドについて直ちに詳細を提供しませんでした。しかし、彼らが昨年末にはじめた交渉を主導しているアメリカの特使、ザルメイ・ハリルザド(Zalmay Khalilzad)は、彼らが「素晴らしい進展」をみたとツイッターに投稿しました。

 二者は過去2日間にわたり会合を行い、専門チームはドーハ(Doha)で議論を続けていました。交渉の詳細を話す権限がないため、タリバン当局者は匿名で話しました。

 アメリカの最も長い紛争、18年近い戦争の平和的解決を見出す任務を遂行するハリルザドは、交渉でアフガン国内の協議と恒久的停戦の優先権を成し遂げました。しかし、タリバンはカブールの政府をメンバーから外し続け、アメリカの操り人形として退けて、承認を拒否します。

 ほぼ一年前に彼が任命されてから、何回も和平交渉を開催したにも関わらず、タリバンはほぼ毎日の割合で致命的な攻撃を続けてきました。タリバンはいま、アフガニスタンの約半分を支配し、アルカイダの指導者、オサマ・ビン・ラディン(Osama bin Laden)をかくまったあと、アメリカが率いる侵攻が彼らの政府をぐらつかせた2001年以来、最も強力です。

 アメリカとタリバンはいま、アフガニスタンが他のテロリスト・グループの隠れ家にならないとの保証と引き替えに、米軍が撤退するという合意に近づいているようです。

 ハリルザドは、彼は9月1日までに、米軍とNATO軍の約20,000人を引き揚げさせる最終合意をみるのを望んでいると言っています。

 アメリカとNATOはその戦闘任務を2014年に完了しましたが、米軍と同盟軍はアフガン軍の訓練と構築を続けます。他に、米軍はアフガン軍をタリバンとアフガニスタンのイスラム国の提携組織に対する空爆と急襲で支援もします。

 ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)は、アメリカの継続するアフガニスタンでの関与に苛立ちと兵士を帰国させる願望をしばしば表明しています。

 火曜日に、タリバンは仲間のアフガン人に来月の大統領選挙をボイコットするよう求め、政治的な標的となり得る集会に行かないよう警告もしました。

 タリバンは、安全と組織的な懸念から今年遅延している9月28日の選挙を「偽り」と呼んで却下しました。2期目の就任を目指すアシュラフ・ガニー大統領(President Ashraf Ghani)は数十人を超える候補者の中にいます。

 大統領のオフィスはタリバンに、和平に真剣であることを証明し、大衆を脅すのをやめるよう声明を出しました。

 火曜日、カブール(Kabul)で、内務省の麻薬対策部の職員を運ぶバンを爆弾が狙いました。爆発は5人を殺し、ほかに7人を負傷させたと、内務省報道官のナスラット・ラヒミ(Nasrat Rahimi)は言いました。攻撃に対して犯行声明はありません。


 続報を読んでも、あまり目新しい話はないようですね。和平合意の骨子は、外国部隊がタリバンがアフガニスタンをテロ組織の温床としないことを約束することで撤退するという点は前から変わっていません。その詳細を詰めるために、これほどの時間がかかっているわけです。だから、この和平が実現することに疑問を感じるしかないわけです。

 タリバンが約束しても、情勢は変わり得るので、果たして実現するかどうか。

 

 


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