米陸軍が棒状の戦闘糧食を開発中
military.comによれば、通常の大きさのほんの一部へと食べ物を縮める新しい技術のおかげで、未来の兵士は小さな棒状の食品でベーコン・エッグの朝食を食べているかもしれません。
真空調理器を考えてみてください。しかし、それはみなさんの次なる調理済み糧食(MRE)に行き着くかもしれない戦術的キッシュです。
あるディッシュはベーコン、卵、チーズとヘビー・クリームではじまります。材料は80分間の圧縮のために真空マイクロ波乾燥機に入れられます。その結果は、スニッカーズのキャンデー・バーよりも小さく、約2倍のカロリーがあり、ずっと多い栄養があるバーです。
「バーでできた完全食。それが目標です」と、米陸軍ネーティック兵士研究開発エンジニアリング・センター(the U.S. Army Natick Soldier Research, Development, and Engineering Center)の上級食品技術者、トム・ヤン(Tom Yang)は言いました。
ネーティックのヤンとその他の食品科学者は陸軍の新世代携帯食を研究しているところです。未来のメニューには、歩き回る兵士のためのMREピザ、携帯可能な果物と軽量の食料があります。
ヤンのバーはすぐに新しい近接戦闘強襲食(the Close Combat Assault Ration: CCAR)に見つかるかもしれません。それはより軽く、小さいにも関わらず、通常のMREより3倍の栄養を含むことになっています。新しい食料の試作品は類似するMREの約3分の1の重さです。
軍は無補給で1週間続くかもしれない小規模で孤立した部隊にどう食料を与えるかを見つけ出そうとしていると、ヤンは言いました。現在、兵士はそれだけ生き抜くには21個のMREを必要とします。
「誰もより多くのMREを運びたくありません」とヤンは言いました。「現場からの第一のフィードバックは、我々は重量を減らせる必要があるということです」。
重さを減らす秘密は、食べ物にとっては、真空マイクロ波乾燥機として知られる技術かもしれません。
この手法は乾燥機の中に食品を置き、コンテナから空気を全部吸い出し、それが縮むまで食品を乾燥させます。
真空では、水分は通常よりもずっと低い温度で熱せられます。人気になりつつある真空調理法と多くの点で違うものの、2つの技術はどちらも、調理者がプロセスをより管理して、より低い温度で調理するために、真空シーリングを用います。
真空マイクロ波乾燥では、食品は摂氏30度や基本的に室温で調理され、それはあらゆる物を堅く、粉状にする高温に一層さらさらないことを意味します、乾燥が穏やかなことは、食品がそれほど栄養を失わないことも意味します。
ヤンは、目標はビーフジャーキーみたいに乾いていない、レーズンみたいに弾力のあるMREのベーコンを作ることだと言いました。
陸軍は新しい技術はより新鮮な味がする果物と野菜がつく糧食という結果になると信じます。
軍のプレスリリースによれば、真空マイクロ波で調理したバナナは、元の大きさの3分の1ですが、完全に乾燥させたバナナチップスみたいに堅くなく、依然として弾力があり柔軟です。
発表は、タート・チェリー・ナッツのバー、チェダー・チーズのバー、モカのデザートのバー、真空乾燥のイチゴ、果物とナッツのトレイル・ミックス、朝鮮風焼肉、スペイン風キッシュとフレンチトーストを含む、新しい糧食のその他のアイテムを列挙します。
ヤンは、彼が最近、チーズケーキを携帯可能なバーの形へ縮め、それがうまく行ったと言いました。
彼は、この技術は何十年も使われてきたのに、シュリンク用の機械はあまりにも大きく、かさばっていたと指摘しました。しかし、乾燥機が縮まると、その実用性は増しました。
新しい、軽量の糧食はは小規模で、高機動の部隊が増えた戦争で劇的に便利なことを証明するかもしれないと、「戦闘態勢キッチン いかにして米軍は食事を形作るか(Combat-Ready Kitchen: How the U.S. Military Shapes the Way You Eat.)」の著者、アナスタシア・マルクス・デ・サルセド(Anastacia Marx de Salcedo)は言いました。
「3日間以上持ち歩くバックパックでは、1オンスが重要です」と彼女は言いました。
マルクス・デ・サルセドは軍用糧食革命と技術と食料が大衆に届く方法に通じています。彼女は陸軍が過去に食料を縮める他の方法を試してきて、しばしば大失敗したと指摘しました。
「1950年代から60年代に大ヒットするて陸軍が考えた別の給食システム、フリーズドライを思い出させます。それはほとんど全部の水分を除去します。少年たちは間違っていました」と彼女は言いました。
新しい真空乾燥の糧食はより食べられるのを証明するかもしれませんが、マルクス・デ・サルセドは、新しいCCARはまだ実地試験をされていないと指摘しました。
通常、試作品がネーティックを去り、現場の兵士の手(さらに胃の中)に行き着くには約3〜5年間かかると、ヤンは言いました。
通常の評価ははじまっていませんが、今のところ味覚試験がボランティアの間で高評価を出していると、彼は言いました。科学者たちはまだ、新しいバーが必要な3年間を新鮮なままでいられるかを試験しています。
近接戦闘強襲食はMREに置き換えられないだろうと、ヤンは言いました。そのかわり、新しい糧食は戦場で戦っている兵士のための軽量な栄養素を提供する2009年からの試み、先制攻撃食(the First Strike Ration)の後継です。
名高いカフェイン入りのビーフジャーキーのザップルソース(Zapplesauce)とレンジャー・バー(Ranger Bar)は先制攻撃食はMREと比較してファースト・ストライク・レーションへの需要が低いため、国防調達局は調達を中止しましたと、ヤンは言いました。
近接戦闘強襲食と異国風の圧縮バーはそれらの中に含まれ、軽量で願わくは食べられる栄養物を作る上での陸軍の食料科学者による別の試みを表します。
「私の懸念は、兵士に利益をもたらす健全な科学的方法を備えた優れた技術を見つけることです」とヤンは言いました。
糧食の名称の直訳をやめました。「the Close Combat Assault Ration」は「近接戦闘強襲食」へ、「the First Strike Ration」は「先制攻撃食」としました。過去の記事とは別の訳にしています。
戦闘糧食については、過去にも取り上げてきました。米軍には糧食を開発する専門部署があり、自衛隊とは研究開発のレベルが違います。自衛隊の糧食は長期間食べ続けると口内炎を発症する人がいます。(過去の記事はこちら 1・2)
真空マイクロ波乾燥で低温で調理できるなら、熱で壊れる酵素を残せることから、加熱して作るレトルトの欠点を克服できます。長期間の使用でも安心です。
考えてみると、自衛隊の糧食開発には戦略がありません。政界で憲法改正がテーマになり、すでに装備品は遠方への戦力投射を目指して調達されているのに、国内使用を前提としてしか開発されていません。国内の防衛だけなら、地上部隊が無補給で活動することは想定しなくてもよいでしょう。しかし、日米安保条約に書かれているように、アメリカは日本が防衛任務を負ってくれることを期待し、そちらへ誘導しています。憲法改正もそこから出てきた話です。
水陸機動団がオーストラリアで米海兵隊とオーストラリア軍と合同で上陸訓練をするのを見ると、南シナ海あたりで複雑に入り組んだ領有権の島々で武力紛争が起きたときに、自衛隊が上陸作戦をやるために訓練しているようにみえます。しかし、戦闘糧食は国内の短期間の戦闘を想定して作っているように見えます。誰も変だと思わないようですが。
ヒゲの隊長、佐藤正久参議院議員は、缶詰の戦闘糧食がレトルトに切り替わるときに、缶詰がなくなるのは寂しいと、的外れなコメントを出しました。自衛隊はレトルトまでは対応できました。国内でも真空マイクロ波乾燥機は製造されています。しかし、こんな調子で、真空マイクロ波乾燥機による戦闘糧食を作れるのかは疑問です。
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