米海兵隊が新しい砲撃タブレットを配備

2019.9.18


 military.comによれば、米海兵隊の支援火力部隊はいまや、手軽で耐久性のあるタブレットから大砲、迫撃砲、艦砲射撃を調整できます。

 攻撃目標引き継ぎシステム・バージョン2.0(The Target Handoff System version 2.0: THSv2)は、海兵隊員に正確な砲撃任務を要請するためにすばやくGPS座標を確立させます。海兵隊システム部の新しい発表によれば、海兵隊員は2019年9月後半にイスランド・マラダー演習(Island Marauder)の間に、この装置が隊の通信システムの多くに接続できるかをデモンストレーションします。

 「それは素早く、政策に攻撃目標を特定して位置を測る能力を戦闘員に提供し、砲撃支援システムや武器のプラットフォームへデジタルの情報を送信するモジュラー型の装備一式です」と、システム部の砲撃支援調整チームリーダー、ジェフ・ノベル(Jeff Nebel)は発表の中で言いました。

 海兵隊は、小部隊の指揮官が任務に関連する命令、グラフィック、デジタルデータを閲覧して、拡散するのを助けるシステム、海兵空陸タスクフォース・ハンドヘルド(the Marine Air-Ground Task Force Common Handheld: MCH)のような戦術タブレットを海兵隊の標準部分にし始めています。

 しかし、MCHは主に戦場における状況の認知のために使われますが、THSv2は上級野戦砲兵戦術データシステム(the Advanced Field Artillery Tactical Data System)とその他の射撃支援・兵器プラットフォームへ情報を提供する、と発表は述べます。

 海兵隊は2018年度に射撃タブレットの要求をはじめましたが、2016年以降、その努力に取り組んでいます。発表によれば、それは海兵隊の空陸タスクフォース部隊にある位置の地勢の更新された人工衛星の写真を見られるようにします。

 ノベルは発表の中で「観測者と射撃プラットフォームの間のデジタル通信リンクが提供した初期の射撃要請の不正確なデータ転送の可能性を減らしもします」と言いました。

 配備以降、THSv2はそれを実弾射撃のイベントやその他の訓練で使った海兵隊員に人気が高まっていると海兵隊当局はいい、年次のハードウェアとソフトウェアの更新はより増加した能力を提供できるだろうとつけ加えました。

 「システムは発展させるに足るだけ強固です」と、THSv2のアナリスト、ウィリアム・ベンシュ(William Bensch)は発表でいいました。「我々は、素早く、より効果的に敵と交戦するために戦闘員に最良の装備を提供することを模索していて、THSv2はそれを実現します」。


 砲撃による支援は、必要な時に、必要な場所へ、必要な砲弾を送ることだと、米軍の戦闘マニュアルには書いてあります。こういう間接砲撃は少しでも早く、正確な方がよいのですが、問題はその手順が伝言ゲームだということです。

 前線にいる観測員や部隊指揮官が敵の位置を地図上で特定し、その座標を無線で連絡します。かつては地図をみて、敵がいる位置の座標を数字で特定したあと、無線で砲兵隊に教えます。砲兵隊は敵が見えないほど遠くにいるので、その座標をもとにして、砲の仰角や方位を算出し、観測用の発煙弾を発射します。発煙弾は着弾すると煙を発するので、観測員や部隊指揮官が位置に間違いがないかを確認して、砲兵隊に「効力射」とよばれる実弾を発射するよう要請します。砲兵隊は複数の大砲でその座標に所定の砲弾を発射します。観測員や部隊指揮官は効力射の効果を確認して、更に同じ座標に撃ち込むのか、座標を変更するかを指示します。

 これらの手順のどこかで間違いが起きると、砲兵隊は敵がいない場所や、最悪の場合、味方の上に砲弾を落とします。実際、過去に友軍の砲撃による戦死者はかなりいたといわれています。

 しかし、戦術タブレットに衛星写真(地図ではないことに注意)を表示させれば、GPSが内蔵されたタブレットは自軍の位置を間違いなく地図に表示できます。そこから確実に敵の位置も特定でき、音声で座標を伝えるのではなく、デジタルデータで正確な座標を砲兵隊に伝達できますから、間違いは一層減ると期待できます。

 米軍の装備改良への熱意は常に感心させられます。

 


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