米軍が宗教的な容姿に関する規則を緩和

2020.1.5


 military.comに よれば、ネバダ州陸軍の最初の宗教上の適応免除は、ノルウェー系の異教徒の兵士に髭を生やす許可を与えました。最近の陸軍の ニュースリリースによれば、現在、2件の類似した要請が異教徒の兵士から出されています。

 2017年、国防総省は拡張しました。認可する教義の数を増やし、兵士が彼らが誠実に信じる信条に従って、ターバンや髭の ような禁止されているアイテムを着用させる宗教上の適応免除を適用する方法についてのガイダンスを出しました。

 それ以来、陸軍と空軍は、ターバンを巻き、髭を生やすことが多いシーク教やイスラム教のメンバーに免除を与えて新聞の見出 しを飾っています。

 ある免除はネバダ州陸軍の第3665重火器中隊のベンジャミン・ホッパー1等軍曹(Sgt. 1st Class Benjamin Hopper)にバイキング髭(スケッグ)を生やすことを許しました。それは彼を神聖で、男らしさを決定づける特徴とみなさせます。

 「簡単にいうと、それは異教の信仰の支柱、我々の先祖と古代神、生き方を讃えています」と、アラバマ州、マディソン (Madison)出身の34歳はリリースの中でいいました。「私の個人的な信仰は、軍歴の中で実践してこられた現代の戦士 のライフスタイルに深く結びつきます。

 彼の多神論の信仰はスカンジナビアが中心の古代の信仰と慣行に基づいています。

 宗教上の適応免除を求める隊員たちは、高等軍事裁判を消臭する権限を持つ将校へ、文書化した要請、従軍聖職者の面接の記 録、司法上の評価と指揮系統からの勧告のセットを提出しなければなりません。

 ニュースリリースは、ネバダ州軍では軍隊の規則と政策が進化するにつれて、宗教的な適応が増加するだろうと予測します。

 しかし、統合国家従軍聖職者のドナルド・クランデル少佐(Maj. Donald Crandell)は、免除は軍の任務につく間に信仰や信条を示す「特別な」手順を用意されるべきだといいました。

 「聖職者団は適応の本当の追求を支援します」とクランデル少佐はいいました。「しかし、我々はこの方向での傾向を積極的に 促進したり、それを一般化しようとはしません」。

 一方、ホッパー軍曹は過去2ヶ月間、アフガニスタンに派遣されていて、陸軍のこの新しいプロセスを知らない上官に会った場 合に備えて、常に彼の免除証を持ち続けるといいました。

 「私が記録のために免除証を示し、適用できる規則と指示の全部を引用したら、髭への焦点はほとんど消え去る傾向にありま す」と彼はいいました。「私はそれを陸軍がフィットネステストの間に黒い靴下を承認したときにとても似た様相だと理解しま す。新しい、承認されたものですから、いつもいつも変化を好まない人々に出会います。それが人生です」。

 しかし、最大2インチのグルーミングの彼の免除はアフガニスタンで毒物暴露の脅威があれば、どの時点ででも中断されます。

 「アフガニスタンに派遣された間、私の髭が原因で職業上のパフォーマンスと任務の達成をまったく妨げていませんでした」と ホッパー軍曹はいいました。「陸軍規則670-1にかなっているかを確認するために、私は他の者よりも少し早く起床します が、それだけのことです」。

 アメリカがイランのスレイマニ司令官らを暗殺した中、髭の話は重要性が薄いかもしれません。確かにそうですが、数 日前から少しずつ訳していたので掲載します。軍隊の文化は戦争の内容にも影響を与えることがあります。

 米軍は規則には厳格です。第二次世界大戦中、ジョージ・パットン大将がネクタイをしていない隊員をとがめたら、その隊員が 軍医が発行した、首の治療中はネクタイ着用を免じるとの免除証を示したので謝ったという逸話があります。この免除証は記事の それと同じ機能を持っています。

 とりわけ、憲法の規定を重んじる米軍は規則を決めるときも憲法を重んじます。だから、信教の自由を尊重する観点から、髭を 生やすことも許可されます。

 実は、米軍の司法システムが苦手なのは良心的兵役拒否者の裁判だといわれます。脱走罪は最高刑が死刑です。良心的兵役拒否 者は二度と軍隊に戻らないと考え、それは脱走罪の罪の構成を決定づける要素なのです。脱柵しても、また軍隊に戻る意志がある 場合は無許可離隊罪、その意志がない場合は脱走罪で罪の重さは大きく違います。

 軍隊の存在理由からして、二度と軍隊に戻らない者に対して、極刑があり得るのです。この場合、信教の自由の適用は難しく、 イスラム教徒の隊員が同じイスラム教徒を殺したくないから中東への派遣を拒否する場合くらいにしか認められません。

 しかし、信仰を理由に髭を認めるのなら、良心的兵役拒否者への対応も将来は変わるかもしれないと思います。その期待が少し 芽生えたのが、今回の記事だと思いたくなります。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.