米陸軍が電気で動く車両・航空機を開発へ

2020.10.7



 military.comに よれば、米陸軍の研究員たちは、軍の未来の航空機と地上車両用のハイブリッド電気エンジンを開発する研究活動を率いるため に、ウィスコンシン大学(the University of Wisconsin)を選びました。

 メリーランド州のアバディーン性能試験場(Aberdeen Proving Ground)の戦闘能力開発コマンド陸軍研究所(The Combat Capabilities Development Command Army Research Laboratory: ARL)は、研究活動のために大学に1,150万ドルの契約を与えました。契約は今秋にはじまります。ARLのニュースリリースによれば、活動は排気ガスを用いる新型の軽 量、小型の発電機をもたらす、石油をより使わない新しい軸受技術に焦点をおきます。

 「教授陣、職員とエンジン研究所(the Engine Research Center)とウィスコンシン電気機械・電力工学コンソーシアム(Wisconsin Electric Machines and Power Electronics Consortium)の施設により、大学にはこれらの分野で特有の能力と研究力があります」と、ウィスコンシン・マジソン大学のプロジェクトチームの研究責任者、デビッ ド・ロサイマー(David Rothamer)はいいました。「我々は重要な陸軍の必要に対処するために、陸軍研究所とその他のプロジェクトのパートナーと活動するのを楽しみにしています」。

 今年、陸軍の近代化当局は電気動力の車両への関心を表明し、ジョージア州のフォート・べニング(Fort Benning)の陸上機動当局に、軍の電気エンジンの戦術戦闘車両を装備するために必要なものを開発するよう指示を出しました。

 陸軍将来コマンドの副官で将来・コンセプトセンター(the Futures and Concepts Center)の指揮官、エリック・ウェズレー中将(Lt. Gen. Eric Wesley)は4月に、カルフォルニア州のパロ・アルト(Palo Alto)のテスラ社(Tesla Inc.)の車両設計者は、電気モーター技術は統合軽戦術車両(Joint Light Tactical Vehicle)の大きさの車両を走らせるために機能を高められることをすでに証明したといいました。

 ベニングの当局者は10月20日の事実上の電力産業の日(Electrification Industry Day)にこの活動の初期計画を共有することを計画しています。陸軍は無公害で効率的な交通機関を開発するためにビジネス界と政府とともに活動する非営利団体の CALSTARTとも提携しています。

 研究活動の一環として、ウィスコンシン大学の研究者は、総合的モジュラー「ハイブリッド電気・最適化統合ツール (Hybrid-Electric Optimization and Integration Tool)」に統合されるツールを開発し、立証し、応用します。それから、それは将来の陸軍のハイブリッド電気の航空機と地上車両を構成するために使われると、ARLの多 目的戦術動力・推進基幹研究プログラム(Versatile Tactical Power and Propulsion Essential Research Program)のプログラム・マネージャーのマイク・ウェオン(Mike Kweon)はいいました。

 研究活動は軍が有人・無人航空機用の多種燃料の種類を使えるようにする新技術も判断するでしょう。

 「いま、陸軍の無人航空機は地上の移動システム用に造られたエンジンを動力とし、これらのエンジンはガソリンやディーゼル のような市販で入手可能な燃料で動くよう開発されていました」とウェオンはリリースでいいました。

 ARLは最近、家庭用発電機を自律型地上車両と航空機の動力源に転換する活動とともに、車両整備技術者が僻地でバイオ由来 の燃料に転換できるようにする新しく、先進的な科学モデルを発表しました。

 ウィスコンシン大学の研究活動に加えて、陸軍は今年、ミネソタ大学(the University of Minnesota)、ミシガン大学(University of Michigan)、イリノイ大学(University of Illinois)、アイオワ州立大学(Iowa State University)、テキサスA&M大学(Texas A&M University)と類似した提携をしました。

 「学会の専門家、スモールビジネスと産業界を共に含めてチームを拡大することで、我々はコンセプトとアイデアを得て、それ らを陸軍の将来の能力へ転換できます」とイリノイ州のARLセントラル(ARL Central)の地域責任者、マーク・ツチョップ(Mark Tschopp)はリリースでいいました。



 これも米軍が常に先進技術を取り入れることの一端ですね。電気モーター駆動なら、発電のためのエンジンはより小さくなり、 騒音が小さくなり、排気ガスも少ない。つまり、敵に発見されにくくなります。燃料消費も減り、排気ガスによる汚染も減りま す。これはまさに、日本においても有益な技術です。

 自衛隊の装備はよくなったようで、旧態依然とした技術で構成され、訓練も似たようなものです。

 一方、こういう技術開発には金がかかり、予算配分に注意が必要になるわけですが、日本政府は高額のハイテク兵器の購入を 次々と決めるばかりで、戦略上のバランスなど気にしていないようです。金を払えば、それだけ日本が安全になるというのは、明 らかにまちがっています。

 日本はアメリカよりもずっと小さな国土を守れば済むので、よりコンパクトな防衛網を敷いて、まずは国土を保護することを実 行すべきでしょう。ところが、自衛隊の悲願は、中東からのシーレーンだ、敵地攻撃能力だと、金がかかるばかりで、効果が疑問 なことばかりに傾注しています。

 もともと、憲法を無理やり解釈変更して組織した自衛隊であり、旧軍の軍人を取り込んだために、その歪んだ戦略思考に毒さ れ、未だにまともな国土防衛体制が敷けないでいます。それをなんとか、それらしく見せることには成功しているものの、その戦 力には大きな疑問があります。
 

 


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