大統領選に影響する軍隊の不在者投票

2020.11.7


 military.comに よれば、2020年の大統領選挙の結果がいくつかの鍵を握る州で接戦となり、誰がホワイトハウスを勝ち取るかを決める上 で、軍隊の票がかつてなく重要となるかもしれません。

 火曜日朝までに、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)とジョー・バイデン元副大統領(Joe Biden)を競わせるレースは、ジョージア州、ペンシルベニア州、ノースカロライナ州、アリゾナ州とネバダ州で結果が出ていません。

 選挙の専門家は不在者投票をする米軍隊員は、配置される場所で投票する者たちと同じく、変化を生み出すかもしれませ ん。2016年に、252,000人以上の現役兵が不在者投票で投票しました。米国選挙支援委員会(the U.S. Election Assistance Commission)は、2020年の軍隊の不在者投票は初期の数字では、より大きくなると予測しました。

 「それについては疑いはありません。接戦です」と、退役海軍大佐でテキサス州大学の政治科学学部の元上級講師、ド ン・インボディ(Don Inbody)はMilitary.comにいいました。「少数の票はここ、少数の票はあそこと、それらが加わって違いを生みます。とくに接戦では。多分、ノースカロライ ナ州に行く沢山の軍隊票がありました」。

 州は選挙日の後、どけだけ長く不在者投票を受け取るかについて異なるガイドラインをもちます。今年、すべての隊員の投 票権が守られ、彼らの票が数えられることを目標にして結成した非営利・超党派団体「Count Every Hero」の調査主任、ジャック・ノーランド(Jack Noland)によれば、アリゾナ州は選挙日までに受け取った隊員からの表を受け付けます。

 ジョージア州は郵便投票を11月6日まで受け付けます。ペンシルベニア州とネバダ州は11月10日までそうします。 ノースカロライナ州は11月12日までだと、ノーランドはいいました。

 過去の選挙は軍隊の不在者投票は潜在的な決定力となり得ることを示していて、2000年に、海外の軍隊の票はフロリダ 州の選挙を揺さぶったとつけ加えました。

 「我々は記録から知っています。接近する選挙は最も後に到着する票で決することを。そして、我々はいま競っている状 態を考えたら、我々は開票の終わりに行き着く、ひどい接戦をよく見える場所にいることも知っています」。

 軍隊の不在者投票の大半は、この選挙でトランプがとったテキサス州とフロリダ州と、バイデンがとったカリフォルニア州 へ行ったと、2016年の本「The Soldier Vote: War Politics and Ballot in America.」の著者、インボディはいいました。

 「全体的な軍隊の票は、おそらくかなり均等に分割されているか、やや共和党よりかもしれません」と彼はいいました。 「大半の白人男性である将校はトランプに圧倒的に投票するでしょう。下士卒はまったく均等に割れるでしょう。しかし、白 人の隊員はトランプに投票する傾向があるでしょうし、非白人はバイデンに投票する傾向があるでしょう」。

 ニュージャージー州のラマポ大学政治科学教授、ジェレミー・テイゲン(Jeremy Teigen)には、「軍隊は人々が軍隊に入隊する理由に関係があり、ある種の抵抗しがたい保守派や共和党員のバイアスを示す」との認識があります。

 「しかし、下士卒のレベルでは、政治は職業上の懸念と、冒険的なことをする感覚や、復員軍人援護法の給付金を得よう とすることのために大幅に小さい」と彼はいいました。「人々は特定の政治的信条のために軍隊に志願していません」。

 テイゲンはほとんど白人男性から成る将校団は「男性の間では、より保守的な価値観に惹きつけられるようです」といい ます。  女性隊員は「より民主党員になり、ジョー・バイデンに投票するようです」。

 8月に、Military Timesの世論調査は現役隊員の間のトランプへの支持の下落を示しました。7月下旬と8月上旬に調査された1,018人の現役兵士は、49.9%が大統領を好ましくない とみて、好ましいと見るのは約38%だったとMilitary Timesは報じました。

 調査されたこれらの将校のうち、トランプが好ましくないと思うのは59.1% 、好ましいと思うのは35.1%だったとMilitary Timesは報じました。

 元高官はバイデンとトランプの両方に支持を約束しています。9月に、トランプは235人の退役軍高官が彼の再選を支 持する書簡に署名したと発表しました。しかし、10月にバイデンは元副大統領を支持する元陸軍将官、元海軍将官、元上級 下士官と元国家安全保障当局者291人のリストを発表しました。

 しかし、テイゲンは「退役軍人層に傾く共和党員は、性別と人種で全体的に説明できませんが、男性の退役軍人層によって 全体的に力を得ています」と述べます。

 「男性の退役軍人の共和党員は僅かに多くいますが、女性の退役軍人は政治的には男性の退役軍人と区別できないもの の、2016年にドナルド・トランプにより多く投票したようでした」と彼はいいました。

 軍隊の不在者投票が選挙に影響した一方で、郵便の遅れやシステムへの異議で、多くの票が数えられなかった可能性も あったとインボディはいいました。

 「軍隊票の重要なことは、海外の隊員とその家族にはひどくやっかいだということです。第一に投票の登録。第二に数え られるために印をつけた票を期日内に返送すること」と彼は説明しました。「さらに、郵便システムが選挙を支援できない と、派遣された軍隊と海外の家族に問題が起きるでしょう」。


 米大統領選挙はジョー・バイデンの勝利で決まりのところまで来ました。しかし、ここで米軍と選挙に関する記事がさら に出ていますから、米を知る上でチェックしておきたいと思います。

 2016年の軍隊の不在者投票が252,000人で、2020年にはもっと多かったのは記憶しておくべきことでしょ う。これくらいの票が後から追加されるのです。今回は派遣部隊の所在地、テキサス州、フロリダ州、カリフォルニア州の票 に追加されるということです。簡単にいえば、米軍基地がある地域はあとから軍隊の票が追加されるということです。どの基 地が派遣されているかは、その時によって異なりますが、一般的には基地が多い地域の票はそう動くということです。

 今回、共和党寄りといわれる軍隊の票も、バイデンに動いたのではないかと想像します。記事にある調査で、軍人の約半 数がトランプを好ましく思っていません。これは投票にも反映されたはずです。

 なぜか?。トランプがメキシコ国境の警備に国内法に違反して現役兵を投入したがったこと。トランスジェンダーの入隊 に反対したこと。最初に入閣した元軍人の側近たちが次々と辞任したことで分かるように、元軍人たちとまったく意見が合っ ていなかったこと。「ブラック・ライブズ・マタ―」を、国内法に違反して軍隊に鎮圧させようとしたこと。南軍の将軍の名 前がついた基地の改名に反対したこと。フランスに行った時、全大戦の戦死者の墓参を嫌がったこと。こうしたさまざまな軍 隊との意見の対立が、軍人のトランプ離れを促進したと考えます。軍人たちが怒り出すと選挙には勝てません。軍人は軍法に 縛られて政治的意見を表現できないけど、投票はできるのですから。

 今後、大統領選挙では軍隊の票の影響も考慮に入れて考えるようにしないとね。


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