軍隊は新型コロナ対策を主導すべきか
military.comが
陸軍大学の研究員らが書いた小論を掲載しました。大学の公式見解ではなく、研究員の見解ではありますが、これがアメリカ人一
般の考え方に近いはずです。
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COVID-19の連邦政府の対応で軍将校を担当させる時でしょうか?。
一部の人たちはそう考えます。アメリカで大流行が始まって以来、多数の官僚は対応に貢献するよう軍隊に要請しています。つ
い最近、一部の意見は軍当局の掌握を求めています。そうしたコメンテーターの一人は、将校に、HHS(保健福祉省)、
CDC(疾病対策センター)、FDA、DHS(食品医薬品局)、FEMA(連邦緊急事態管理庁)と国防総省、商務省、国務省
を含む、すべての機関から資源を徴発する権限を与えることを提唱しました。
この悲劇的パンデミックから来る計り知れない苦痛を最小化するための迅速な方法を見つけたい願望は共有しますが、我々は軍
隊の組織や現役将校が連邦の対応を取って代わるべきだということには賛成しません。軍隊はCOVID-19の対応では民間の
関係機関を支援すべきで、率いてはなりません。
非軍事危機ではないものにおいてリーダーシップをとるよう軍隊に反射的に求めるのは、組織としての軍隊への大衆のほぼ完全
な信頼と一致します。平均的なアメリカ人は、軍隊は機能するけど、ほかのほとんどの政府組織は機能しないと信じます。そして
危機においては、よりよい誰が責任を負うかに関しては、ドクトリンよりも実務であるほうが、よりよいと。
しかし、この議論は軍将校が連邦の対応を調整することが、関連するリーダーシップと疫学や災害救助の専門知識を持つ民間人
よりも当然上手だとみなします。
連邦政府自体はパンデミックへの適切な対応について、時々揺らいでいて、矛盾したメッセージを送っていて、多くの州、地方
当局そのものは厳しい状況の中でよく義務を果たしています。アメリカ人は不確実な時代に彼らの能力を立証する民間の公衆衛生
の専門家と科学者に目を向けてもきました。
それ以上に、連邦レベルでの混乱は有能な当局者が足りないのではなく、政治の結果です。アンソニー・ファウチ医師
(Anthony Fauci)とデボラ・バークス医師(Deborah
Birx)は彼らの専門知識を整理して適用する能力ではなく、政治的な制約の舵取りをする必要があって制限を受けているところです(訳注 2人の医師はホワイトハウス・コ
ロナウイルス・タスクフォースの主要メンバーの一人)。おそらく、軍将校は政治的な緊張を回避できるでしょうが、最近、注目
を浴びた立場を務めた現役および退役将官両者の経験はその希望が誤りであることを示します。
我々の一人が最近ツイートしたように、制服組の誰かにリーダーシップを与えることは、政治的な危機を流し出さず、制服組を
強く政治化するかもしれません。
確かに、軍隊のメンバーは国家的パンデミックの対応において重要な役割を演じることでステップアップしているところです。
州軍のメンバー約30,000人が動員され、現役メンバー4,600人以上が専門分野で貢献し、数千人の予備役隊員が同じこ
とをする途中にあるようです。
しかし、軍人だけが役目を果たすのではありません。無償で愛国的な公務員、民間人のすべてが自分自身を危険にさらし、高潔
なリーダーシップを示しています。医療従事者と科学者は突破口に踏み入っているところです。公共と民間のリーダーたちは雇用
者を守るために大きな犠牲を払う決断をしているところです。大学教授と幼稚園の教師たちは同様にオンラインで我が国を教育
し、生徒たちが同様しないようにするために戦いながら、彼ら自身の家族と健康の義務を果たします。サービス業界の労働者はア
メリカの民間人を食べさせるために健康を危険にさらしています。そして、海外の外交官たちは、足止めされたアメリカ人をでき
るだけ早くに帰国させるために働いているところです。
彼ら全員が、国内の多くの者たちがほんの数週間前は軍隊の特別な範囲と信じた、勇気、犠牲、リーダーシップを示していると
ころです。
学校教師、消防士、警察官、医師、看護士、司書、ソーシャルワーカーと政府の官僚までが、休むことなく持ち場にいます。
9/11後、さらにアフガニスタンとイラクを通じてです。経済危機とオピオイド危機を通じても。奉仕とリーダーシップは、軍
隊の制服組の中だけでなく、いたるところにあります。
だから、この瞬間はもしかすると、彼らが共有された任務と市民としての義務をどう考えるかを再調整するか、軍隊に過度に依
存し、その他の民間機構を資源不足にする傾向に陥るかのいずれかになる展開点です。
これは軍人がCOVID-19の対応において、多くな役割を果たすべきではないと主張するものではありません。軍隊は、危
機が深まるときにより多くをできるし、できるでしょう。しかし、その活動は、彼らがいま行うように、民間当局の背後での、支
援であるべきです。民間当局を支援する上で軍隊の活動を調整するために三ツ星の将官が指揮する統合タスクフォースを設立する
ことは堅実かもしれません。しかし、軍将校は国防長官に答えるべきであり、国防長官やその他の民間人の閣僚に仕事をさせるこ
とはできません。
パンデミックへの連邦政府の対応は遅く、一様ではありません。そして、民間機関がしばしば我々を失望させ、アメリカ人が必
要とするものを供給できないのは事実です。しかし、彼らがやる時は、我々が向かなければならないのは軍隊ではなく、それ以外
の民間人です。
軍隊はCOVID-19から我々を救えないし、我々はそれを求めるべきではありません。
軍隊は民間機関の支援をするというのは、ここで示されたように、アメリカでは一般的な考え方です。日本では、危機
が起きると、すぐに自衛隊を出せと言い出す人たちがいるのと比べると、対象的です。
阪神淡路大震災のときに、大災害が起きているのに、政治家の一部からは自衛隊が出るのは望ましくないという発言がありまし
た。確かに、消防や警察だけでは対処できそうにない大規模な災害においては、自衛隊が出動する必要があるのは当然です。
こうした経験をしたせいか、最近は何かといえば自衛隊を出せという要望が聞かれるようになり、それだけでなく、自衛隊に大
きな権限を与えろという声すら聞こえてきます。それらの中には、非知性的な意見があるのも気になるところです。
国内に関しては、自衛隊はすでに大きな権限を持っています。治安出動が行われると自衛隊には警察権が与えられます。米軍で
は連邦軍にはその権限はありません。海外で戦うことを前提としているので、国内問題は民間が取り仕切るという発想が主流だか
らです。
一方で、自衛隊は戦時において、民間人の死傷者のケアはしないという不思議な組織でもあります。自衛隊に限らず、日本人に
はバランスがある人権感覚がない、と私は考えています。イラクで日本人が人質になって、犯人が自衛隊をイラクから撤退させる
よう要求した時、自己責任論が吹き荒れ、国の意向に逆らう者は自国民であっても守らないという意見が主流となりました。
いま、新型コロナウイルスのために、移動手段を奪われ、海外に置き去りになった日本人を日本政府は帰国させるために活動し
ていません。文中にあるように、アメリカの外交官はやっていることです。安倍政権は邦人保護を政策に掲げていますが、なぜい
まこそ、それをやらないのでしょうか?。
新型コロナウイルスのために営業活動ができなくなった国民は、自己責任なのであって、それを政府が救う必要はないというの
が安倍政権の考え方です。公明党から連立を離脱すると脅され、渋々、十万円を供給することになりましたが、本来、やりたくは
なかったのです。諸外国の政策をみると、十分な補償をした上で徹底的に休業させるところが多いのに、日本では政府は国民を救
うことは自分たちの仕事ではないと考えています。
こうしたバランスを欠いた感覚が蔓延する日本で、自衛隊に強い権限を与える時、それは極めて大きな問題となるのは間違いが
ありません。民主主義国と名乗ることができないほどの、深刻な権利侵害が行われる危険性があります。
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