活躍の場なく病院船が撤退の見込み

2020.4.27



 military.comに よれば、新型コロナウイルスのパンデミックと戦う地元病院を助けるために、先月ニューヨーク市に急遽送られ、十分に活用され ない病院船コンフォート(Comfort)は、必要に応じて別のCOVID-19の任務の準備をするために、来週にもバージ ニア州、ノーフォーク(Norfolk)へ戻ると、国防総省は金曜日にいいました。
 
 同様の任務で先月、サンディエゴからロサンゼルスへ送られたコンフォートの姉妹艦、マーシー(Mercy)もすぐに引き揚 げそうですが、カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム(Gov. Gavin Newsom)と、ロサンゼルス市長エリック・ガーセテッイ(Mayor Eric Garcetti)の承認がまだだと、国防総省主任報道官ジョナサン・ホフマン(Jonathan Hoffman)は会見でいいました。

 おそらく1〜2週間でノーフォーク州の母校に帰還して、コンフォートは整備を受け、別の任務の準備をするために補給を受け ますが、それはFEMA(米連邦緊急事態管理局)の要請になるだろうと、ホフマンはいいました。

 コンフォートは3月30日にマンハッタン、ウエストサイドの第90番埠頭に到着しました。ジョン・ホプキンス大学コロナウ イルス・リソース・センター(the Johns Hopkins Coronavirus Resource Center)によれば、それは金曜日の時点で16,640人以上を出したコロナウイルス流行のアメリカにおける中心点の街を支援する活動における決定的なステップ、と当 時はみられました。

 コンフォートの任務の重要性を強調するために、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)は、ノーフォーク州の艦の見送りに参加するために珍しくホワイトハウスを出ました。

 しかし、火曜日の時点で、1,000床のベッド、12ヶ所の手術室、約1,000人の医療スタッフをもつ艦は、合計179 人の患者しか治療しておらず、その日は56人を乗せただけでした。

 利用が限定されているのは、コンフォートに与えられた任務の移行のせいもあります。艦は非コロナウイルスの患者だけを治療 する予定でしたが、当局はその後、ロックダウンの街で非COVID-19の患者の過多と戦うニーズは小さいと判断しました。

 艦はCOVIDの患者だけを治療するよう転換されましたが、ジャビッツ・コンベンションセンター(Javits Convention Center)を1,500床のCOVID専用施設に転換したために、そこでもニーズはありませんでした。

 先週、軍はコンフォートの医師、看護師、看護助手の一番よい活用は、送られる患者を待つよりも、街の病院へ直接送ることだ と判断しました。

 火曜日に、あるホワイトハウスの定例記者会見で、トランプはニューヨーク州知事、アンドリュー・クオモ(Gov. Andrew Cuomo)とニューヨーク市長、ビル・デ・ブラシオ(Mayor Bill de Blasio)に、コンフォートが引き揚げられるかどうかと、彼らが同意するかを問い合わせているといいました。

 「私はアンドリューに、コンフォートが他の場所に配置できるようにするために、バージニア州の基地に戻れるかを問い合わ せ、彼は我々がそれをできるだろうと答えました」とトランプはいいました。

 ニューヨークでの金曜日の定例会見で、クオモ知事は入院数は減り、地元病院へのプレッシャーは緩和されたものの、過去24 時間でさらに422人死亡という、心を砕かれる数字も指摘しました。



 この記事で新しく知るのは、コンフォートが途中から任務を変更し、新型コロナウイルスの患者を受け入れることにしたことで す。

 患者が予想を下回ったので、80床ある集中治療室をその患者向けに使うことに意味が出てきたのです。集中治療室でなら、伝 染病患者にも対応できます。

 それでも、コンベンションセンターに1,500床の病室が作られたら、そちらで治療した方がよいのは歴然としています。

 まさに、これは病院船を造るよりは地上の医療施設を改善した方がよいことを証明しています。

 病院の能力が間に合わない場合、船よりも地上の臨時病院を造るシステムがあった方が簡単です。米陸軍の野戦病院システムみ たいに、エア式のテントをつなげて病院にするシステムを研究するのなら意味があります。

 大規模災害時に機動式の病院を被災地に近い場所に建設できれば、船はいりません。さらに小規模な医療施設を被災地の中に設 けて、初期治療に活用すべきです。多段式の医療システムは米軍の戦地医療で用いられています。

 日本の議会は早く、病院船構想を捨て、機動式病院システムの開発に転向してほしいものです。

 


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