米空軍で人種格差が継続か

2020.5.29



 military.comに よれば、権利擁護団体「Protect Our Defenders」が公表した新しい研究が、米空軍は長きにわたる軍司法システムの中の人種格差の問 題を改善するための本格的な解決をまったく実行せず、問題を分析するときにそれ自体の矛盾について適切に情報を開示していな いことを明らかにしました。

 水曜日に公表された研究「連 邦訴訟が明らかにする空軍の隠蔽 軍法第二章の中の人種格差(Federal Lawsuit Reveals Air Force Cover Up: Racial Disparities in Military Justice Part II,)」は、もう一つの2017年の「Protect Our Defenders」の報告と、2019年に公表された政府説明責任局の研究に引き続きました。どちらの研究も、それぞれの部局で黒人の兵士は白人の兵士に比べて2倍多く 捜査対象にされることを明らかにしました。

 最初の説明責任局の研究によれば、情報公開法を通じて得たデータを引用すると、空軍は「軍事裁判と非司法的処罰において、 どの軍の部局でも最高の人種格差」があります。

 しかし、USA Todayが最初に報じた最新の説明責任局の研究は、空軍が問題を解決するための重要な手順をまったく踏んでいないことを示す資料を隠そうとしたと非難し、問題が残ってい ることについてのデータを明らかにします。

 同紙の情報公開法の要請を補完するための連邦訴訟を通じて得たスライドによれば、「Protect Our Defenders」は、空軍が人種的な不正が広まり、続いているという2017年のワーキンググループの研究を通じて公に認めていたことを見い出しました。

 「我々の司法システムの中に人種格差があるかないか?。ある。データは永続的で矛盾する人種格差を反映する」と、5月に説 明責任局の報告で明らかにされた無編集の空軍のスライドの一つは述べます。

 もう一つのスライドによれば、一番下の階級は最も標的にされています。

 「E-2レベルでの処罰を受ける黒人/アフリカ系アメリカ人空軍兵の千人あたりの割合は、他の同一の層のそれの2倍です」 とスライドは述べ、2012年と2016年の間に収集されたデータを引用します。

 「Protect Our Defenders」の理事で退役空軍大佐のドン・クリステンセン(Don Christensen)は水曜日に、解決を図るかわりに、軍はワーキンググループの発見を過去3年間にわたり組織から、その次に政治家たちから隠そうとしたと Military.comにといいました。

 「空軍が軍司法の中の人種格差に対処するために使えたかもしれない貴重な資源を、大衆とマスコミに隠しておくために無駄に していることを理解するのは極度に厄介です」と、カルフォルニア州選出の民主党議員、ジャッキー・スピアー下院議員 (Rep. Jackie Speier)は水曜日に声明でいいました。「同じ努力が実際に問題を解決するために充てられていたらなされたはずの進展を想像してみてください」。

 彼女は、都合がつき次第、公聴会を開催したいとつけ加えました。

 「問題があることを認め、問題に対処するためには、高位の人たちが必要です」とクリステンセンはつけ加えました。彼は軍の 主席検察官でもありました。

 空軍は声明で、軍は未だになすべきより多くの作業があり、部隊レベルの取り組みが進行中だといいました。

 「2017年に、空軍は無意識のバイアスを自覚し、その影響を減らすための広範な取り組みを始めました。これらの取り組み は複数の接点にまたがる様々な指揮官、曹長と指導層のフォーラムに統合されています」と、アン・ステファネック報道官 (Ann Stefanek)は電子メールでいいました。「これらの議論は飛行隊指揮官課程、曹長アカデミーと将校と下士卒の軍隊の専門教育のような場で促進されています」

 2019年に「空軍は追加の分析を行い、指導プログラムのような若い空軍兵が軍隊の文化に適合するのを支援するための追加 の活動と共に、第一線の監督者に無意識のバイアスの訓練を命じました」と、彼女はつけ加えました。

 ステファネックは、完全なスライドの公表が遅れているのは「格差の原因を理解、評価、対処するための審議プロセス」の一部 だと述べました。

 クリステンセンはスライドが利用できなかった空軍の最新の説明を、単にいくらかの威厳を守ろうとしただけと呼びました。

 「私が本当に困っているのは、今日の対応で彼ら(空軍)がいま、訓練中だと主張することです」と彼はいいました。「しか し、過去3年にわたり、私は連邦裁判所に、彼らは訓練をしていないと主張していて、それが彼らが決定をしなかったためにスラ イドを開かさない理由です。それは本当に公正さがないことを示します」。

 元大佐は本当の変化の実行は指揮系統と共に始まるといいました。

 彼は戦没者追悼記念日の週末に出版された最近のニューヨークタイムズ紙の記事を引用しました。記事は、少数派の隊員は軍隊 の中で代表的で、現役の部隊の約43%を占めるが、国防総省の高官層に黒人のリーダーシップを見るのは稀だと報じました。

 「いま、幸いにも、空軍は最初のアフリカ系アメリカ人の参謀長を得るようです」とクリステンセンは述べ、チャールズ・ CQ・ブラウン大将(Gen. Charles "CQ" Brown)の22番目の参謀長への任命に言及しました。「しかし、未だに少数です。彼らはもっと行う必要があります」。

 以前から米軍では下層の兵士への処罰が厳しいことが知られていました。かといって、上層部への処罰が軽いとはいえ ず、米軍は軍規に関しては極めて厳格です。

 日本人は在日米軍兵士の非行行為ばかり見ているので、自衛隊の方が規律が高いと考えがちですが、実際には米軍の方が厳しい のです。

 その上で、人種的格差が存在することが明らかになりました。確かに、空軍でアフリカ系アメリカ人の高官を見ることはほとん どありません。陸軍ではもっと多くのアフリカ系アメリカ人が軍高官になっていることが知られていました。

 米軍に限らず、アメリカ社会には特定の分野にアフリカ系アメリカ人がいないことがあります。ゴルフでもタイガー・ウッズの ような例外を除くと、ほとんどのプロ選手は白人です。射撃の世界でもそうだといわれています。そんな傾向が空軍で大きく反映 されているということです。

 しかし、日系アメリカ人で最初に陸軍参謀長になったエリック・シンセキ大将は人種を超えて尊敬を集めていました。ラムズ フェルド国防長官との確執で辞職したことは同情を集め、オバマ大統領が後に復員軍人援護局の局長に任命したほどです。

 現在、米海兵隊は南軍の旗を軍の施設内で使うことを禁じています。奴隷制を思い出させる旗は、あらゆる人種が団結すべき海 兵隊にふさわしくないと判断されたからです。人種差別を米軍は最も忌避していますが、それでもまだ問題は残っているのです。

 自衛官はロシア人を平気で蔑称の「露助」と呼びます。こういう習慣は単なる習慣ではなく、判断にも影響していきます。言葉 遣いから変えていかないと、自衛隊も米軍並みのモラルは定着しないでしょう。

 


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