2年前のインサイダー攻撃の詳細

2020.6.10



 military.comに よれば、陸軍の調査報告は、2018年に州軍に勤務するユタ市長を銃殺したアフガン人特殊部隊隊員は数週間、殺害を計画して いたと述べました。

 ユタ州のオグデン市(Ogden)の新聞「Standard-Examiner」が請求した公文書を通じて得られた報告に よると、米情報分析官は、ブレント・テイラー少佐(Maj. Brent Taylor)が訓練した特殊部隊隊員の急進化の兆候に足るよう素早く行動できませんでした。

 39歳のテイラー少佐はアフガニスタンへの派遣のためにノース・オグデン市長(North Ogden)を1年間休職していました。

 在アフガン米軍指揮官、オースティン・スコット・ミラー大将(Gen. Austin Scott Miller)は、当局が2018年11月3日のテイラー少佐の死を防ぐ多数の機会を逸したのを確認したと、報告の要旨の中でいったと、同紙は月曜日に報じました。

 射撃者と面談した人物は、彼がアメリカ人への侮蔑を表したことを含め、いくつもの急進化の可能性の兆候に対して行動しな かったと、報告は述べました。

 「我々はよりよく振る舞えたはずで、そうすべきでした。我々はこの悲劇から学ぶでしょう」とミラー大将はいいました。

 ミラー大将は調査結果の大半に同意しましたが、基地の指導層が保安の手を抜いたという結論には不同意でした。

 市長の妻、ジェニー・テイラー(Jennie Taylor)は、彼女と他の家族は昨年秋に調査について簡潔な説明を受けたといいました。彼女は新聞社に、夫の死に関与したかもしれないミスについて腹を立てていないと いいました。

 「人は完璧ではなく、システムにエラーがありました」と彼女はいいました。「我々すべては個人として見ることができて、恨 みを持つのではなく、改善の余地を見つけ、間違いを見つけられます。人生に恨みを持つ時間はありません」。

 殺害はブレント・テイラーと訓練生が毎週の歩行訓練の間にあった時に起きたと、報告はいいました。テイラー少佐が訓練を助 けていたアフガン特殊部隊のアスファル・カーン軍曹(Sgt. Asfar Khan)が2、3発を撃ち、テイラー少佐の後頭部に命中させたとき、彼らは基地に戻るために最後の折り返しをしていたところだったと当局者はいいました。

 歩行訓練に同行した米陸軍の仲間の一人は背中を撃たれましたが、カーンに撃ち返しました。カーンが逃げようとした時にアフ ガン人特殊部隊隊員が彼を撃って殺しました。

 殺害のあと、調査官たちはカーンの電話機の中に、テイラー少佐殺害計画を概説する9分間のビデオ映像を見つけました。報告 書は、カブール市出身(Kabul)の20歳と他の特殊部隊隊員は、警察署長がアフガン軍の手を借りてアメリカ人が殺さるた と考えていたといいました。

 電話機から見つかった録音の中でカーンは、すべてのイスラム教徒を殺そうとする人々とみなすものと戦う運動の指導者に彼が なれるのを示す計画の一部としてテイラー少佐殺害を計画したといいました。

 「このグループはアメリカ人が打ち負かされるまでは敗北を認めない……そして、我々は決して生きて降服しないだろう」と録 音を引用して報告書は述べました。

 アフガン治安軍の隊員による米兵へのインサイダー攻撃は2012年以来、繰り返される問題になっていて、米軍指揮官により 強力な警護手段をとらせています。



 この事件は発生時にも紹介しました。事件の詳細が明らかになったのは、今回がはじめてです。

 相変わらず、アメリカ人を敵と思い込んだがための反抗だったようです。これがアフガンでの戦いを困難にしています。

 イラクでも米兵が自分たちのやり方を押しつけるためにイラク兵と信頼関係を結べないということが起きました。

 異民族間では、かくも信頼を結ぶことがむずかしいと分かります。八紘一宇のように広大なエリアを一つの文化でまとめるの は、とてもむずかしいのです。太平洋戦争の話となると、とかく連合軍との戦いばかりが取り上げられますが、日本人に一番参考 になるのは、占領地域で日本がどんな統治をしたかです。そして、その資料は終戦時に焼かれたりして比較的少ないのです。

 日本人はこういう文化的障壁をどう乗り越えるかについて、あまりにも単純に考え、乱暴なやり方で解決できると考えがちで す。それは、実際には、想像を上回る内容があるものなのです。

 


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