米軍へのテロ攻撃計画で米兵が起訴へ

2020.6.23



 military.comに よれば、米司法省は月曜日、ヨーロッパの白人至上主義団体に機密の情報を送り、彼の陸軍部隊に対して「命を奪う待ち伏せ攻 撃」を計画したとして、米兵を起訴したと発表しました。

 司法省の発表によれば、当局者は22歳のイーサン・メルツァー2等兵(Pvt. Ethan Melzer)を米国人殺害の共謀及び未遂、軍隊員の殺害の共謀と未遂、テロリストへの物的支援の提供と提供未遂、外国における殺人と傷害の共謀で起訴し、事件の封印を解 いたと発表しました。

 ケンタッキー州、ルーイヴィル市(Louisville)出身のメルツァーは、彼の部隊の位置、移動と警備手段に関する情 報をオカルト主義のネオナチで白人至上主義団体の「the Order of the Nine Angles: O9A」へ送ったと発表は述べます。

 「起訴状が述べる通り、イーサン・メルツァーは憎しみと暴力をからませたイデオロギーの悪魔のような混合物で軍の同僚の兵 士に対する命を奪う待ち伏せ攻撃を計画しました」とジョン・デマーズ国家安全保障担当司法次官補(Assistant Attorney General for National Security John Demers)は発表でいいました。「制服を着た男女は我が国のために命をかけていますが、彼ら自身の手によって、こうした危機に直面されてはなりません」。

 軍捜査官とFBIとの任意聴取の間に、メルツァーは攻撃の計画における彼の役割を認めました。

 「メルツァーは彼は彼の同僚をできるだけ多く殺すことになる計画された攻撃を行おうとしたといいました」と発表は述べま す。「メルツァーは合衆国に対する裏切りだともいい、自分の行動を反逆に等しいと表現しました」。

 発表の中で、オードリー・ストラウス司法長官代理(Acting U.S. Attorney Audrey Strauss)は、メルツァーが情報がジハード主義のテロリストに伝えられることを意図して、「不法に部隊の位置、兵数、武器をネオナチ・グループへ開示することで彼の 部隊への命を奪う待ち伏せ攻撃」を組織したとされます。

 司法省当局はメルツァーの軍歴について少ししか開示していません。

 Military.comはメルツァーの仕事と彼の部隊と派遣について情報を得るために陸軍に連絡しました。

 「イーサン・メルツァー2等兵は2018年12月に陸軍の遅延入隊プログラムで志願し、2019年6月に現役の兵役服務期 間をはじめました」と、陸軍報道官のエマニュエル・オーティス中佐(Lt. Col. Emanuel Ortiz)は声明でいいました。

 発表によれば、陸軍犯罪捜査部とイタリアのビチェンツァ(Vicenza)に拠点を置く第173空挺旅団が捜査に参加しま した。

 2019年にメルツァーはO9Aに加入したと司法省当局は発表でいいました。そのメンバーと支持者は暴力的なネオナチ、反 ユダヤ主義と悪魔崇拝を信奉し、アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)のようなナチスと、2011年5月に米特殊部隊がパキスタンのアボタバッド(Abbottabad)で住居を襲撃した時に殺された元アルカイダ指導者のオサ マ・ビン・ラディン(Osama Bin Laden)のようなイスラムのジハード主義に称賛を表明しています。

 発表によれば、メルツァーは10月に陸軍とともに海外に派遣され、「仲間の隊員に対する命を奪う攻撃を手助けしようとして いた」とき、2020年4月にもう一つの派遣のために準備をしているところでした。

 メルツァーはO9Aと関係がある「RapeWaffen Division」として知られるグループのメンバーと準メンバーに、O9Aへの彼の義務に関する意思疎通と彼の彼の部隊の予想された派遣に関連する機密情報を含めたメッ セージを送るために暗号アプリを使いました。

 メルツァーとその共謀者たちは派遣中に、彼の仲間の隊員を生贄にする「大量の死傷者」を起こす目的で、彼らが「ジハード攻 撃」と称するものを計画しました。

 メルツァーは電子通信の中で、攻撃の中で彼が殺されるかもしれないと認めました。死の願望を表現して、彼は「構うもんか」 と書いたと、発表は述べます。

 発表によれば、「もう一つの戦争になるだろう……俺はうまく死んだと思う……中東でもう一つの戦争を起こすことは間違いな く足跡を留めるだろう」とメルツァーはいいました。

 攻撃の計画に先立って、メルツァーはO9Aとイスラム国(the Islamic State of Iraq and Syria)としても知られるイラクとアル・シャムのイスラム国(the Islamic State of Iraq and al-Sham)を含めた複数の過激派グループからのプロパガンダにのめり込みました。

 4月に、FBIはイスラム国が発行した書面をメルツァーが運営するiCloudのアカウントから押収しました。それは「兵 士の収穫」とのフレーズと米軍隊員の攻撃と殺害の説明を含みました。

 発表によれば、5月17日、メルツァーは予測される派遣に関する情報をアルカイダのメンバーとされる人物へわたすことにつ いて電子通信を交わしました。

 5月24日と25日の間に、彼は彼の部隊の派遣予定について、移動する兵数、部隊が派遣されるとメルツァーが予想する施設 の位置と施設の監視・防衛能力についての情報を含めた具体的な情報が載った追加の電子メッセージを送ったと、発表はつけ加え ました。

 「彼の部隊に対する成功を収めた攻撃の可能性を最大にするために、メルツァーは新しい派遣の場所に到着したら、さらに情報 を漏らすと約束しました」と発表は述べます。

 発表によると、メルツァーは米国民殺害の共謀、米軍隊員殺害の共謀と外国での殺人と傷害の共謀の起訴のそれぞれについて終 身刑の最高刑に直面します。

 発表によると、彼は米国民殺人未遂で刑期20年、米軍隊員の殺人未遂で別の刑期20年にも直面します。さらに、彼はテロリ ストへの物的支援の提供未遂と提供で刑期15年に直面すると、発表はつけ加えます。



 いろいろな意味で非常に驚きました。

 ヒトラーとビン・ラディンの両方を崇拝するという、こんな変な過激派団体があったことに驚きました。両者は思想が過激だと いう点でしか共通点がありません。とにかく、現状に不満を持ち、暴力にはけ口を見い出した人たちの集まりなのでしょう。

 さらに動機が、中東で新しい戦争を起こすことだったとは。ジハード主義の団体が米兵を殺せば、アメリカが怒って、また中東 に兵を出すと考えたのでしょう。人生への失望と政治的野心が入り混じった行動だったのかもしれません。

 発表が米軍ではなく司法省からあった点はいつもと違います。普通、この種の事件は軍が扱いますが、先に捜査機関がメル ツァーの行動に気がついて捜査をしたためかもしれません。

 米連邦政府は米軍内の過激思想には敏感です。軍には過激派グループに参加する隊員がいないかを常に把握するよう求めていま す。軍学校に通う学生すら例外ではなく、必要なら捜査機関による捜査の対象となります。

 その点、のん気なのは我が国の自衛隊です。旧日本軍の指揮官の慰霊祭をやるは、旧日本軍の軍歌を歌うは、路上で国会議員に 暴言を吐くは、ネトウヨ化するは、自分たちの役割をまったく考えようとしません。おまけに、米軍は自分たちよりもずっと自由 度が高く、恵まれた環境にあると誤解しています。こういう自衛隊が将来、どんな姿になるのか、本当に心配です。


 


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