米海軍で中国を揶揄する記章に勧告

2020.6.28


 military.comに よれば、米海軍の航空母艦ジェラルド・R・フォード(Gerald R. Ford)に乗艦中の小規模な訓練分遣隊の航空兵たちは最近、承認されていない、不適切な記章を着用したあとで、指揮官により勧告を受けたと、米海軍はいいました。

 ツイッターの写真によると、記章の半分は「America's Newest Carrier」と「Integrity at the Helm.」いう文字がついた航空母艦のロゴを含みました。しかし、もう半分は「China's Newest Carrier」という文字がついたコウモリの絵が描かれ、新型コロナウイルスの起源についての一つの説を引き合いにしていました。


写真は右クリックで拡大できます。

 「問題の記章は不適切であり、国家の記章は適切で、指揮官による承認を受けなければならないという軍規に合致しません」と 大西洋海軍飛行隊の報道官、ジェニファー・クレッグ中佐(Cmdr. Jennifer Cragg)は木曜日に電子メールでいいました。

 当局者は1週間前にこの記章に気がつくようになったと、グレッグ中佐は電子メールでいいました。それがどこから由来したの かは不明です。

 「記章を持っていた少数の航空兵は勧告を受け、指揮官たちは飛行隊の全員に、記章は着用するために承認されなかったことを 明らかにしました」と彼女はいいました。

 2017年に就航し、バージニア州、ノーフォーク市(Norfolk)に拠点を置くフォードは、そのクラスの一番艦であ り、過去数カ月間にわたり空母の能力認定を断続的に行っています。


 
 「Carrier」という単語には意味が複数あって「空母」や「保菌者」という意味でも使われることから、皮肉を込めた中 国への批判をしたつもりだったのでしょうが、飛行兵たちは記章を作る前に軍規を確認すべきでした。

 米軍人は政治的意見を公言することを禁じられています。新型コロナウイルスに関して、中国が事実を隠蔽したことは、トラン プ大統領自らが主張しており、政治的問題となっています。大統領と同じ意見だから、主張しても構わないと、彼らは考えたのか もしれません。しかし、それも軍規に反します。軍人に許されるのは合衆国憲法を守ることを表現する程度です。

 米軍の軍人は世界中どこででも活動する必要があることから、問題を起こし得る記章を着用することはできないと考えられてい ます。よって、指揮官の承認は得られず、そもそも許可を求めていなかったのですから、初手から間違っていたということです。

 その点、自衛官たちは、こういう問題をまったく気にしていません。かつて、航空自衛隊の隊員がフェイスブックで盛んに発言 していました。上官から止められたのか、ある日、まったく投稿しなくなりましたが、彼はいつも「政府の意見と同じなら、公言 することは許される」と主張していました。どうやら、航空自衛隊ではそのように教育しているようです。自衛官にも国民と同じ 「表現の自由」があるというのは、自衛隊で普遍的に認められているようです。民主主義の国では、軍人の表現の自由は制限を受 けるのが当たり前ですが、自衛隊は国内では行政機関とされているせいか、そんな教育は隊内ではされていないようです。

 他にも隊内の文化として不適切なものも放置されて、改善される見込みはありません。これでは自衛隊は永遠に世界をリードす るような組織にはなれません。組織内で大きな改革をしないと三流どまりと決まっています。ただちに改めてほしいと思っていま す。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.