デモ隊にひざまずいた州兵に処分なし

2020.6.9



 military.comによれば、陸軍長官は最近、市民の動乱に対処する任務で直面する州軍隊員の感情的な課題を認めながら も、陸軍兵士と空軍兵士は 制服を着て抗議することはできないといいました。

 ミネアポリス警察の拘束の中で非武装の黒人、ジョージ・フロイド(George Floyd)が5月25日に死亡したあとで抗議が高まってから、約42,700人の州軍隊員がアメリカ全土で派遣されました。

 連邦と州の法執行機関を支援する州兵は、しばしば言葉で、時には身体的虐待をする怒った群衆に直面しています。

 しかし、時折、これら市民の陸軍兵士と空軍兵士もデモの感情に飲み込まれ、これらの人種的不公正への抗議へ連帯を表しまし た。

 テレグラフが投稿した「YouTube」のビデオ映像は、6月15日にミネソタ州で州兵が抗議者たちに膝を突くのを示しま した。

 「ミネアポリス市の市民として、私はジョージ・フロイド(George Floyd)の死を遺憾に思います」と、サム・アンドリュース中佐(Lt. Col. Sam Andrews)は膝を突いたあとで群衆にいいました。

 アンドリュース中佐はのちに抗議者たちとハグして、「皆さんの声は聞こえています。我々の財産を尊重してください。我々は 憲法と修正第一条の集会と言論の自由を100パーセント保護し、守ります」。

 ライアン・マッカーシー陸軍長官(Army Secretary Ryan McCarthy)は最近、この問題について述べ、彼はこの国のこういう複雑なときに州兵が直面する課題を理解するといいました。

 「我々は制服を着て抗議することを本来は認めませんが、この国で感情が高まっています」と彼はいいました。「多くの場合、 抗議者たちは兵士とハグしていて、非常に複雑で困難なときです」。

 「我々は国の反映です。我々はアメリカ人です」と、彼はつけ加えました。

 ミネソタ州の州兵は6月1日の抗議の間にデモ参加者に膝を突いたことでなんら懲戒処分を受けていないと、ミネソタ州軍報道 官、ブレア・ヒューズデンズ曹長(Master Sgt. Blair Heusdens)はMilitary.comにいいました。

 日曜日、11州の州兵はデモ参加者がしばしば障害物の背後に立つ州軍に直接怒りをぶちまけた 10週間の後、ワシントン特別区を離れはじめました。

 しかし、金曜日、特別区の州軍のある若い黒人の兵士が「Fox News」のビデオ映像の中で「私は黒人で、シュプレヒコールを叫ぶデモ参加者を誇りに思います」というのがみられました。

 特別区の州軍指揮官、ウィリアム・ウォーカー少将(Maj. Gen. William Walker)は記者団に、隊員たちは規律を守っていたが、しばしば抗議者たちと同じ感情を感じたといいました。

 「我々みんなが心を痛めています。国が痛んでいるのです」と彼はいいました。「御存知のように、家族がやって来て、批判し た隊員がいます。『ここで何をしている?。お前は黒人だろ?』と」。

 時が経つと、デモはさらに平和的になり、国防総省に州兵の存在を元に戻すよう促しました。
 
 これに続く作戦後の評価で、感情が高まっていることを認めながら、指揮官たちは抗議の外にあり続けることの重要性を強化す るために尽力するだろうと、マッカーシーはいいました。

 「我々は兵士を処罰したくありません」と彼はいいました。「その多くは、我々が互いに話をすることであり、我々はとても難 しく、居心地の悪い会話をするでしょう。我々は互いの話を聞くでしょう。そして、我々は単に全員が理解してほしいだけです。 制服を来て抗議して欲しくないと」。



 まず、米軍では隊員に政治的発言を禁止していることを説明しておきます。勤務中かどうかを問わず、隊員は政治的発言をして はならず、合衆国憲法と国際法に従うことが義務づけられています。政治集会に参加するときは私服を着なければならず、発言は できません。違反した者には軍法裁判か監督上の処分があり得ます。隊員はこういう制約の中で、自分たちの権利は二の次で、国 民の言論の自由を守らなければなりません。日本の自衛官とは、まったく違う教育を受けているのです。

 州兵がデモ参加者の前で跪いたことは知っていました。この行為には問題があるかめしれないとは思いましたが、群衆の感情を なだめるためと思っていました。しかし、それ以上に州兵たちは、デモ参加者に同調していたようです。ハグまでしていたとは驚 きです。

 こんな中に現役部隊を投入したら、州兵が現役部隊から群衆を守ろうとして大混乱に陥ったでしょう。映画『マーシャル・ ロー』でも、陸軍兵士とFBI捜査官が撃ち合いそうになると、陰謀を巡らした張本人の将軍が兵士たちに銃を下ろせと命じま す。連邦の組織が互いに対立したらアメリカは終わるという概念は、省庁間の喧嘩が普通の日本では理解されにくいことです。ア メリカでは、ただ一人、トランプが理解していなかったようですが。

 この面からも、国防総省の判断は正しかったといえます。トランプはその混乱を生んだ張本人として、さらに非難されたはずで す。

 父親が白人至上主義者のトランプはその影響を受けていて、黒人嫌いです。今回、彼はレイシストであることを自ら暴露したも 同じで、そういう人物が人種差別を禁じる米軍の最高指揮官であることもアメリカ人に認識させました。次の大統領選挙の結果は すでに見えています。

 


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