上訴裁判所が女性の徴兵を却下

2020.8.15



 military.comに よれば、連邦上訴裁判所は木曜日、1981年の米最高裁の判決を引用して、女性禁止の徴兵制度の合憲性を支持しました。

 2019年のテキサスに拠点がある連邦最高裁の判決を覆した判決で、ニューオリンズの第5米巡回上訴裁判所の陪審団は「そ の判決を見直すのは最高裁のみ」といいました。

 裁判は3月に審議され、「the National Coalition for Men」の男性1人と男性2人が女性禁止の徴兵に意義を申し立 てた結果でした。彼らは1981年の訴訟は女性がほとんど戦闘にいなかった時に判決が出たと主張しました。

 木曜日の3人の裁判官による満場一致の判決は、「最高裁の判決を支配する事実に基づいた根拠が変わったこと」を認めまし た。しかし、裁判官は「それは判例を無視したり却下するための上訴裁判所の権限を認めない」と指摘しました。

 この裁判の原告は完全な17人の上訴裁判所で再審理するか最高裁へ進めます。「the National Coalition for Men」の理事、ハリー・クローチ(Harry Crouch)は、団体の指導者たちは弁護士と共に次の動きを議論するだろうといいました。「私がいえるのは、我々は裁判を前へ進めるということです」と彼はいいました。

 米政府は1973年に若い男性を軍隊に徴兵するのを止めました。しかし、すべての男性はいまだに18歳になると徴兵のため に登録されています。

 今年早く、第5巡回裁判所での審議のあと、連邦の委員会は軍隊の徴兵制度に女性を含めることを勧告しました。

 「委員会は選抜徴兵制度登録に18歳から26歳の男女を含めるよう拡張するために適切な時だ」と結論しました。「これは必 要で、公正な手順であり、国家緊急事態時における統一された国家の技量を引き出す可能性を作る」と委員会の最終報告書はいい ました。

 女性禁止の徴兵を違憲であるとした2019年の地区裁判所の判決は、徴兵を管理する連邦部局の選抜軍務システム(the Selective Service System)が上訴していました。上訴はチューレーン大学(Tulane University)での第5巡回審理の間に議論されました。裁判官はカール・スチュワート(Carl Stewart)、ドン・ウィレット(Don Willett)とジェイクス・ウェイナー(Jacques Weiner)でした。

 「the National Coalition for men」のために論争したのは、7月に銃殺されたマーク・アンジェルッチ(Marc Angelucci)でした。当局は後に、カリフォルニア州でのアンジェルッチ殺害を72歳のロイ・デン・ホーランダー(Roy Den Hollander)と結びつけました。彼は米地裁判事エスター・サラス(Esther Salas)の20歳の息子を殺害し、彼女の夫を負傷させたニュージャージー州での待ち伏せの銃撃の翌日、7月20日に自傷による銃撃で負傷し、死亡して発見されました。



 訴えは却下だったもののら男女同権のコンセプトから、男女が徴兵登録される可能性は徐々に高まっています。連邦議会で動き があるなら、連邦最高裁で判決が出たら、またはその前に男女を徴兵登録することになるかもしれません。

 しかし、徴兵登録がはじまっても、徴兵制度が復活しなければ徴兵は行われず、その可能性は極めて低い。なので、この動きを アメリカが戦争をするためにやっていると勘違いするべきではありません。

 徴兵は兵士を大量に必要にする場合におこなわれます。第二次大戦みたいな大規模な戦争にならない限り、実施はされません。 冷戦終了後にいくつもの国が徴兵制度を止めたのは、頭数が必要なくなったからです。

 ところが、日本では徴兵制度について議論する立場にある国会議員が適切とはいえない議論を繰り返しています。

 自民党の石破茂氏は、ハイテク兵器が増えた時代には頭数を集めるだけの徴兵制度は合わないといいます。ハイテク兵器でも歩 兵が扱う兵器は数カ月の訓練でものになります。

 同じく稲田朋美は、週刊誌「女性自身」のインタビューで徴兵制度を憲法違反だといいながら、男子も女子も自衛隊に体験入隊 したらシャンとすると主張し、全員を体験入隊させる案を提示しています。さらに自分の子供は徴兵にとられるのは嫌だと、支離 滅裂な意見を披露しています。米軍でもいま徴兵制度を復活させたら、訓練施設が不足するといわれているのに、若者全員を体験 入隊させたら自衛隊の能力を超えることは明らかです。そんなことも考えずに、徴兵論を論じているのだから驚かされます。

 マーク・アンジェルッチ弁護士が殺害されていたことは、この記事で初めて知り、驚いています。先に、徴兵制度裁判の件で彼 の活動を紹介していました(過去の記事はこ ちら)。他の記事も参照すると、ホーランダーは配達員を装ってドアを開けさせる手口でアンジェルッチとサラス一 家を銃撃していて、自殺した彼の車からアンジェルッチに言及したメモが見つかったことから、殺害犯とみなされています。ホー ランダーは弁護士でもあり、男性の権利活動家でもありました。サラスが裁判長を務める裁判で弁護をしたこともあり、彼女を非 難していました。ホーランダーは末期癌の診断を受けていて、その診断をした医師も含めて殺す計画を立てていました。死に直面 した結果、錯乱して殺人に走ったようです。
 

 


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