米陸軍が砲兵隊の射撃時間を短縮へ

2020.9.22



 military.comに よれば、米陸軍近代化当局は来週、標的を追跡し、射撃データを脅威に対して射撃をする砲兵部隊へ送るのに通常かかる時間を削 減するため、低軌道の人工衛星、ドローンと人工知能を使った2つのデモンストレーションを行うことになっています。

  「砂漠の嵐作戦とイラクの自由作戦の昔には、標的を特定して、実際に標的に砲弾を送るのに10分間かかるのは 問題がありませんでした」と、陸軍将来コマンドの指揮官、ジョン・M・マレー大将(Gen. John M. Murray)は陸軍のニュース・リリースでいいました。「しかし、我々が未来の戦場に見えるものを予測すると、10分間にはならないでしょう……それは並外れた致死性を もつために、活動は過剰となり、広く散開するものとなるでしょう」。

  リリースによれば、9月21日と9月23日に、アリゾナ州のユマ試験場(Yuma Proving Ground)で計画される2つのデモンストレーションは、兵士チームが標的を視認して命中するまでにかかる時間を20秒未満に減らそうとします。

 一つのシナリオは、地上のセンサーと接続するために、低軌道の人工衛星のセンサーを空中の無人機システムMQ-1Cグレー イーグル(Gray Eagle)のセンサーを統合します。リリースによれば、照準情報はワシントン州のルイス・マッコード統合基地(Joint Base Lewis-McChord)の代理の開発中のプログラムへ送り込まれ、それから標的と交戦するためにユマ試験場の榴弾砲へ送られます。

 陸軍高官らはデモンストレーションに参加する予定です。それは統合部隊の指揮統制網への陸軍の寄与を向上させる実験に関連 する複合的活動である、軍のコンバージェンス計画(Project Convergence)の一環です。

  戦場のペースを早め、兵士の致死力を強化するための試みとして、陸軍は3つの未来の戦闘能力、人間の意思決定 を向上する人工知能、自立性、ロボット工学もユマで試験します。

  「これらは未来において我々の闘い方を変えることになる基本的技術となるでしょう」とマレー大将はいいまし た。  リリースによれば、デモンストレーション参加者は、旅団規模とそれ未満の編成で用いられる人工知能の基本的青写真を形成す るのに役立つ2つのセンサー、2つの射撃手、2種類の標的を使います。

 「相互運用するために、どうこれらすべてを統合して接続しはじめるのか?」と、マレー大将はいい、これは新しい兵器システ ムを配備する以上のことだと説明しました。

 「それは人工知能です。機械学習です。そのすべてを支援するネットワークです。自立性でありロボット工学であり、根本的な データ・アーキテクチャであり、我々がデータを管理する方法です。突き詰めれば、データをどう管理するかということです」と 彼はいいました。「どう闘い方をかえ、どう未来の戦闘に合わせて組織するかを、我々は技術デモンストレーションから学ばなけ ればなりません」。



 これが米軍の武器開発能力の高さです。照準から命中まで20秒間とは、驚異的な早さです。自衛隊が一歩進む間に米軍はフル マラソンを走り切ります。

 最近行われた、自衛隊が参加した米本土での演習で、ある自衛隊部隊は敵に発見されたのに、司令部からの命令が届かないの で、その場に40分間も留まり、砲兵隊の餌食になったといいます。これが未来には20秒間になるのですから、いかに自衛隊が のんびりさんかということです。

 当サイトではるか昔に紹介したウォーゲーム「TacOps」は元海兵隊少佐が制作したものでしたが、このゲーム中でも敵に 発見された部隊を動かさないと、すぐに砲弾が降ってきてやられます。

 二見龍氏が書いた「自 衛隊は市街戦を戦えるか」を読むと、陸上自衛隊が非現実的な訓練を繰り返し、本土防衛の準備が何もできていない ことが分かります。二見氏は歩兵による市街戦の訓練を強化したと説明しますが、その内容は銃撃戦が中心で、地下道を使った移 動や外から見えない壁を破壊して通路にする方法やガスボンベなどを爆弾として使うといった、市街戦独特の戦術までは触れてい ません。歩兵と装甲車、戦車の連携は街を模した施設で訓練すべきです。米軍では車両の訓練シミュレータを連結して、部隊単位 での行動を訓練しています。さらに、部隊単位での戦術は図上演習で学ぶ必要があります。しかし、自衛隊は市街戦の銃撃戦の訓 練を始めたところだといいます。

 率直に言って、自衛隊と米軍ではレベルが違いすぎて話になりません。砲兵の照準・射撃時間を短縮するのは、自衛隊にとって 本当に必要なことです。ところが、自衛隊はそういうことに努力せず、シーレーンの確保だとか、敵基地攻撃能力だとか、金がか かる上に非現実的なことに手を出したがります。いまですら、世界第8位の軍事費を使う自衛隊は、今度、どれだけの金を浪費す るのか分かったものではありません。
 

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.