模範解答


 以下の答えは複数ある解答の一つです。とはいえ、この通りにやっても、運がない時には勝てないこともあります。しかし、最も効果的な模範解答だといえます。

 まず、地形の分析をします。

 目標Aの西部には平地があり、道路が通っています。移動には便利な場所ですが、見晴らしがよいために敵が誘導ミサイルを持っているとひとたまりもありません。南部には高地と森、荒れ地があり、それが目標Aの南端と道路を挟んでつながっています。敵に視認されずに目標Aに近づくには都合がよい場所です。しかし、すべて南部を通るとかなりの時間を移動に費やしてしまいます。そこで、南部の地形を利用しながら、早く目標Aに近づく方法はないかを考えます。

初期配置 道路上の一カ所にユニットを配置すると操作が簡単になります。

 マップ中央に、小高地が二つあります。さらにその東方に森がある小高地があります。これら3つの高地のために、中央の高知付近までは道路上を進んでも、目標Aにいる敵から視認されずに済みます。そこで、全部隊を一番西側の高地付近まで進み、攻撃部隊(M1とAAVP7)は南下して高地を100m以上深く入り、敵から視認されないように慎重に目標Aの南端の近くまで進みます。約3分間かかります。

全部隊を小高地の南側へ移動させます。

 その際、81mm迫撃砲搭載ハンヴィーと60mm迫撃砲チーム、砲撃を誘導する歩兵部隊ユニット1個を敵から小高地の敵から視認されない場所に移動し、歩兵部隊は前進して目標Aを視認できる場所まで進みます。この時、歩兵部隊が小高地から出ると、敵に発見される危険があります。こうして、海兵隊は適当な場所を選んで調整射撃を開始し、照準の精度を高め、いつでも効力射を撃ち込めるようにします。迫撃砲チームを積載したAAVP7は、小高地でチームを降ろしてから、南部高地へ向かうことになります。(ゲームの操作上、歩兵部隊を一つだけ下車させるには、「Unload」ですべてのユニットを下車させた後で、「Load」で降ろすユニット以外を乗車させます)

攻撃隊の標準的な進路。あまり平地に近い場所を通ると目標Aから攻撃を受けることがあります。
迫撃砲チームと観測用の歩兵部隊を配置し、調整射撃を始めたところ。

 攻撃部隊は南部の高地にあがり、敵から視認されない100m以上高地に入った場所を通って、目標Aに接近します。まず、敵から視認されない位置に部隊を進め、歩兵部隊1ユニットを下車して前進させ、目標Aが見える場所に潜ませます。敵の車両部隊が目標南端にいることを想定し、対戦車兵器を持つ歩兵部隊を下車させてもよいでしょうが、それに使うAAVP7は1ユニットで十分でしょう。これにより、目標Aの南部へも間接射撃を行える態勢が整いました。すぐにHE弾かICM弾を誘導し、目標A南端を砲撃します。これにより、ここにいる敵部隊を消耗させ、味方の突撃を楽にします。

攻撃部隊が突撃位置についたところ。歩兵部隊が偵察用に下車しています。

 目標Aに進入するのに最適のユニットはM1ユニットですが、虎の子の部隊であるため、リスクをできるだけ小さくしたいところです。森に入る前に平地を通る時が最も危険なので、敵から視認されにくい場所を選びます。すると、最東端から目標Aに突入するのがよいことが分かります。高地が照準線を遮り、敵の側背を突けます。突撃の直前に、榴弾砲の砲撃を移動しなければなりません。敵兵が潜んでいる可能性が高い目標A西端で、友軍攻撃部隊に危険が及ばない場所を広範に砲撃していくとよいでしょう。

 M1ユニットが目標Aに突入し、車両ユニットと交戦を始めたら、状況を見てAAVP7ユニットすべてを投入しても構いません。その時、降車させていた歩兵部隊を忘れないで積載します。あとは、森を掃討しながら北上し、北端まで進撃します。各ユニットの連携行動、支援砲撃との組み合わせに注意し、損害を最小限に抑えることを忘れないでください。敵を発見したら、そのまま相手に突っ込んでいくのではなく、81mmや60mm迫撃砲で砲撃し、同時にユニットでも攻撃して弱体化させるのがポイントです。155mmは強力すぎて、味方に損害を与える恐れがあるので、遠方の敵がいると予想できる場所を事前に砲撃するのに使います。

首尾よく森に突入し、M1戦車がT80戦車を発見したところ。

 以上を上手くやれば30分くらいで戦いに勝ちます。しかし、誤った戦術を採用した場合、部隊は多くの場合、全滅するでしょう。下図は森の掃討が半分くらいで頓挫したところです。このように、森で車両を失うと、徒歩による移動を強いられ、制限時間内に目標を達成できなくなります。

車両が破壊されたり移動不能となり、時間内の掃討が不可能となった局面。もう、海兵隊に勝ち目はありません。

 以上の展開を見て、何を感じるかが軍事研究では必要です。ゲームが終わると結果の一覧が表示され、どれだけの損害が出たかが分かります。たった60分間の戦闘で、どれだけの死傷者が出たかを考えてみることです。それが損害に値するのか、避けるべきものだったのか。ゲームでは勝利条件を追求するだけですが、現実の戦争ではそうした問題を考える必要があります。ウォーゲームのよいところは、部隊から損害を出すことをプレイヤーに体験させ、それを現実の戦争にフィードバックできるようにすることです。こうした経験を積むと、マスコミが誤った戦争報道をした時に、疑問を感じるようになります。一般人がウォーゲームを行う意義はここにあるのです。


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