コンバット・バイブル 現代戦闘技術のすべて
 この本は地上戦の技術書です。同種の本は色々ありますが、よくまとまっているので地上戦の基本を知りたい人にはお勧めです。

 ただし、兵士個々の戦闘技術や小規模の部隊の運用について書かれていて、部隊運用についてはほとんど書かれていません。当サイトで推奨しているウォーゲーム「TacOps」で描かれている大隊〜連隊規模の部隊運用ではなく、それよりも細かい部隊の動きについて書かれていると言えます。つまり、TacOpsのユニット1個の中で起きていることを解説しているのです。

 この本は、「自衛隊徒手格闘入門」で扱っている白兵戦の方法から説明をはじめ、小火器と爆薬、支援火器、特殊な地形での戦闘と進み、次に部隊戦術を説明するのですが、それも個々の戦闘技術が中心で部隊同士の連携技術についてはほとんど説明しません。このあとは、狙撃や人質救出などの特殊作戦の説明へと続きます。著者がイギリス人なので、イギリス軍が大規模な機動戦術よりも小規模な作戦を重視していることから、こういう内容になったのかも知れません。私としては必要な説明が抜けている気がするのですが、手広い内容をコンパクトにまとめているので資料として重宝な本です。また、TacOpsの副読本としても最良の内容です。TacOpsでかなり細かく再現されている砲兵隊や迫撃砲部隊の間接射撃で、調整射撃を実際どのように行うのかなど、「あれ、どうやるんだっけ?」と思った時に、辞書がわりにひけるのがよいところです。

 実は、原題は「コンバット・バイブル」ではなく「The encyclopedia of combat techniqes(戦闘技術百科)」ですから、これも当然なのかも知れません。表紙の写真が覆面姿の狙撃兵なのを除けば、満足できる内容です。(2006.12.25)

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