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45口径のサブマシンガンが開発中

2007.10.13



 military.comによれば、トランスフォーメーショナル・ディフェンス・インダストリー社(Transformational Defense Industries Inc.)が、45口径のフルオート・マシンガン「クリス・スーパーV(Kriss Super V)」を開発しました。

 ブラックウォーター社の訓練場で、Military.comの記者はH&K社製の45口径銃とクリスを射撃しましたが、クリスはH&K社製銃と同様の反動でした。開発段階の初期では、反動がかなりきつかったようです。女性がフルオートで発砲すると、第1弾は標的に命中するものの、反ダースは背後の安土にあたりました。彼女は反動に驚きながらも、45口径マシンガンにしては反動は小さいと評価しました。TDI社は反動の問題は燃焼ガスの向きを変えることで解決したと述べています。同社のウェブサイトのデモンストレーションビデオでは、問題はかなり解決されているように見えます。

 武器が対テロ専用に開発されていることを示す記事です。現在は歩兵の主力兵器である自動小銃の口径(銃身の直径)は、5.69mmや9mmが一般的です。45口径は約11.43mmにあたり、より大口径です。正規軍同士の戦いでは、敵の動きを止めれば目的を達するという発想で、弾をより多く持てるように小口径弾を採用する動きが増えています。

 自動小銃はライフル銃として開発され、その弾丸はライフル銃弾です。45口径弾は拳銃用弾です。拳銃弾よりもライフル銃弾の方が、数段大きな運動エネルギーを生み出します。拳銃弾を使う機関銃もあり、それがサブマシンガンと呼ばれています。(下の写真 左から3番目が代表的な45口径弾の45 ACP、さらに5番目が代表的な5.56mm弾のNATO 5.56 x 45mm)

写真は右クリックで拡大できます。

 現在、サブマシンガンは特殊部隊などで使われています。それは、自動小銃は全長が長いので、狭い場所で使いにくいという問題があり、近距離では45口径弾は十分なパワーを持っており、1発で敵の動きを止めるという点で定評があるからです。事実、45口径弾を使うコルト社の拳銃ガバメントM1911A1を撃ってみると、強い安心感を感じま、拳銃を持つのならガバメントがよいと思ってしまうほどです。以前に、ある陸曹から「ガバメントはよい銃だけど、日本人の手には少し大きい」と聞いたことがあります。そして、唯一の問題が「反動が強すぎる」ことです。ガバメントは両手で撃っても、反動で腕が大きく持ち上がり、次弾を撃つために照準をし直すのが大変です。それでも、M16自動小銃の短くてきつい反動に比べると快い反動で、信頼感を感じさせるものではあります。しかし、反動の問題は連射式のサブマシンガンになると、なおさら顕著になるはずです。

 以上の問題を考えると、クリスは対テロ専用の武器だと言えるのです。短距離、短時間の戦闘が多い用途には、サブマシンガンで使いやすい銃があれば、これに勝るものはありません。日本の特殊急襲部隊SATもサブマシンガンを装備しています。BW社の訓練場でデモンストレーションが行われたのは、同社がクリスの開発に大きく関わっている証拠です。あとは反動の問題が解決されれば、各所で導入されるでしょうし、BW社は真っ先に導入することでしょう。それにしても、第2次世界大戦で使われたサブマシンガンが対テロ戦のために脚光を浴びるとは思いませんでした。


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