現在、サブマシンガンは特殊部隊などで使われています。それは、自動小銃は全長が長いので、狭い場所で使いにくいという問題があり、近距離では45口径弾は十分なパワーを持っており、1発で敵の動きを止めるという点で定評があるからです。事実、45口径弾を使うコルト社の拳銃ガバメントM1911A1を撃ってみると、強い安心感を感じま、拳銃を持つのならガバメントがよいと思ってしまうほどです。以前に、ある陸曹から「ガバメントはよい銃だけど、日本人の手には少し大きい」と聞いたことがあります。そして、唯一の問題が「反動が強すぎる」ことです。ガバメントは両手で撃っても、反動で腕が大きく持ち上がり、次弾を撃つために照準をし直すのが大変です。それでも、M16自動小銃の短くてきつい反動に比べると快い反動で、信頼感を感じさせるものではあります。しかし、反動の問題は連射式のサブマシンガンになると、なおさら顕著になるはずです。
以上の問題を考えると、クリスは対テロ専用の武器だと言えるのです。短距離、短時間の戦闘が多い用途には、サブマシンガンで使いやすい銃があれば、これに勝るものはありません。日本の特殊急襲部隊SATもサブマシンガンを装備しています。BW社の訓練場でデモンストレーションが行われたのは、同社がクリスの開発に大きく関わっている証拠です。あとは反動の問題が解決されれば、各所で導入されるでしょうし、BW社は真っ先に導入することでしょう。それにしても、第2次世界大戦で使われたサブマシンガンが対テロ戦のために脚光を浴びるとは思いませんでした。