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10月はイラク国民の死者数も減少

2007.11.2



 再び、テロ事件の減少に関する記事をmilitary.comが報じました。今回は民間人の死者数の下落についてです。

 AP通信の記録によれば、9月のイラク国民の死者数1,023人は10月には875人にまで下落しました。この数字は、警察、病院、遺体安置所からの情報に基づいており、実際の死者数は見積もりよりも小さいと見込まれています。

 国際関係協議会の上級研究員でウォールストリートジャーナルの前編集者マックス・ブート(Max Boot)は、これを増派の成果と評価しています。一方、戦略的国際研究センターの中東及び軍事問題の専門家、アンソニー・コーデスマン(Anthony Cordesman)は、バグダッドとアンバル州における致死的なテロ事件の下落が数字に反映されているとしています。この見解は先月私が示した見解に若干似ています。また、彼は会計検査院のデータからは、戦闘の全体像が見えず、民間人の死者数が下落したようには見えないとした上に、負傷者を出した攻撃の数が分からない点も指摘しています。クルド人とアラブ人間の対立、シーア派同士の暴力、民族浄化が減ったかどうかは完全に明らかにはなっていません。米軍の戦死者が減ったのは、主にアンバル州の部族長がアルカイダに反感を持つようになったためで、増派の成果ではないと彼は言います。そして、アンバル州の部族長たちはシーア派が支配するイラク政府から十分な援助を受けていないため、危険にさらされていると警告します。その上で、もっと明確な理由があるのかも知れないとも述べています。もともと、イラクでは死者数が厳密には記録されておらず、負傷者となるとなおさらです。これらのデータは戦争の血圧とも言える重要なデータですが、未だに完全に記録されていません。

 私はブート氏の見解には魅力を感じません。これは不注意な観察の結果です。海上阻止活動でこれだけの麻薬を押収したのだから、世界はより平和になったと言うのに似ています。一方、コーデスマン氏の見解は、私の見解と共通点があることもあり、強い興味を感じます。そして、以前から知りたいと思っていた「なぜアンバル州の部族長が宗旨替えしたのか」を知りたいと改めて思いました。

 変な話ですが、この戦争では米軍兵士の死者数や死因、死んだ場所を調べることが、戦況を知る上で非常に重要になっています。これに限らず、戦争を観察する時、何か指標になるデータを見つけ、それを定点観測するのが重要です。指標の見つけ方などは、人によって様々な方法があるはずです。テレビニュースやインターネットはそのために有益なメディアです。テレビニュースは映像が様々な手がかりを教えてくれますし、インターネットは手軽に世界中の情報にアクセスできます。


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